変態イケメンお兄ちゃんと内気で可愛い妹ちゃんの、すれ違ってそうですれ違っていない少しすれ違った日常
小説的なセオリーを守っていない作品です。
読み辛いなと感じられましたら、ブラウザバックする事をおススメ致します。
【妹ちゃんside】
私のお兄ちゃんが格好良すぎて辛いです。
まずは顔……お顔が格好良過ぎます!
巷に溢れかえっている雰囲気イケメンとは違い、本物のイケメン。イケメンオブザイヤー待ったなしの男前です。
それでいて、すっごく優しい。
いつだって私を労り、守ってくれます。どんな些細な事にも気が付いて心配してくれます。
はぁ……お兄ちゃん、好き……。
【お兄ちゃんside】
俺の妹が可愛すぎて辛い。
この前なんて、あまりにも可愛いせいで妹のパンツ盗んじまった。俺は悪くない。仕方がなかったんだ。
純心な笑顔で「お兄ちゃん」と慕ってくれる可愛い可愛い妹。
ちょっと内気でシャイで、いつも俺の後ろをトコトコとついてくる妹。
あぁ……妹よ。お兄ちゃんはもう限界かもしれない。
【妹ちゃんside】
とんでもない事実が発覚してしまいました。
な、なんと……私とお兄ちゃんは血の繋がりが無かったのです。
お兄ちゃんはお従兄ちゃんでした。お母さんのお姉さん……つまり、叔母の息子だったのです。
お従兄ちゃんがお兄ちゃんになった詳しい経緯は知りませんが、重要な事は一つ。
私とお兄ちゃんは男女の関係になっても問題がないという事です!
あぁ……想像するだけで鼻血が出そう……。
【お兄ちゃんside】
妹が風呂に入ったタイミングを見計らって今日も“NPH”を決行する。
一日頑張った妹パンツは今日も甘美なり。
妹の使用済みパンツを手に入れた俺は、すかさず新品と入れ替えて部屋に退散。
脱酸素剤と乾燥剤を入れた密封袋へ捕れたて新鮮な妹パンツを入れ、厳重に管理する。俺の“IPC”に死角はない。
……だが、妹は知らない。俺が本当の兄ではない事を。
はぁ……妹よ。君を“女”として見ている駄目駄目な兄貴でごめんなぁ。
【妹ちゃんside】
お兄ちゃんとあんな事やこんな事をする妄想が溢れ出して困っています。
悪い妹でごめんなさい。
お兄ちゃんは私を“妹”として大切にしてくれているのに不純な妄想する自分に罪悪感を覚えます。
それ故かこの頃、お兄ちゃんを直視できなくなってしまいました。
お兄ちゃんの格好良すぎる眼差しと声を聞くと、下半身が熱くなってキュンキュンしてしまいます。そして気が付けば私の視線はお兄ちゃんの股間へ……。
あぁ……お兄ちゃん。こんな変態な妹でごめんなさい。
【お兄ちゃんside】
最近、妹の様子がどこか余所余所しく、心配して声を掛けるがやっぱり素っ気ない。まさか……嫌われたのだろうか?
杞憂だと信じたかったが今日も瞳を逸らされてしまった……。
構い過ぎてウザがられた? 兄貴風吹かせた言動がキモかった? それとも……NPHやIPCの秘密がバレた!?
俯いて顔を赤くしている妹を見て、俺は白目を剥いていた。
もし、IPCがバレたと仮定すると、妹の態度は俺に激怒している……いや、優しい娘だから怒らずに失望しているのか。
はぁ……もう死ぬしかないかもしれない。
【妹ちゃんside】
下校中、変な人達に絡まれました。
お兄ちゃんと同じ位の年齢で大学生くらいのチャラそうな男が三人。カラオケに行かないかと執拗に誘って来ます。
気持ち悪いし、息が臭い。
私がお兄ちゃん以外の男性に靡くはずがないのに――そう考えながら逃亡しようとしたところで、お兄ちゃんが颯爽と現れました。
「俺の大切な妹から離れてもらおうか」
鋭くも綺麗な眼光と凛々しいご尊顔に、思わず鼻血を吹き出しそうになりました。
お兄ちゃんは背が高く、私を守るためにと格闘技も習っている為、凄く迫力があります。現にチャラ男たちはみっともなく去って行きました。
みすぼらしい自分達と完璧なお兄ちゃんを比較して、今頃は劣等感に苛まれている事でしょう。
はぁ……お兄ちゃん。格好良すぎて私、気絶しそうです……。
【お兄ちゃんside】
アルバイトへ出勤する前、俺はわざわざ遠回りして妹の下校路を通った。
可愛い妹へ変な虫が付かないように、俺は出来る限り妹と遭遇するようなスケジュールで動いている。
え?! ストーカー? ハハッ……ご冗談を。
さて、駅前で妹を見つけた俺はすかさずストーキn……追s……ご、護衛を開始するが、そこで妹へ近づく不審な男達を見つけた。
妹の知り合いの可能性もある為、少し様子見をしていたが間違いない。あれはナンパだ。
俺の可愛い妹をナンパするとは……目の付け所だけは褒めてやるが、到底許せるようなものではない。
俺はサクッとナンパ男共を撃退すると、妹へ向き直る。
そこで気が付いてしまった。妹が何とも言えない微妙な表情をしている事に……。
あぁ……妹よ。君はこの不自然さに気が付いてしまったんだな。俺は君のストー……。
【妹ちゃんside】
かつてこれ以上の絶望を味わった事がありません。
お兄ちゃんが……家を出て行くと言いました。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんを引き留めず、逆に「遂に一人立ちするのか」と、子供の成長を喜んでいるような発言をして、その決断を肯定しています。
どういう神経をしているのでしょうか? 心を黒い影が覆ってゆくのを感じます。
もう躊躇している時間はありません。
私に残された少ない猶予の中で、確実にお兄ちゃんを引き留める楔を打ち込む為、その準備をするのです。
あぁ……お兄ちゃん。私はもう、貴方の前で良い妹を演じられそうにありません。
【お兄ちゃんside】
大切な妹のために何ができるのか。
それは俺のような変態兄貴から解放してあげる事だろう。
NPH、あるいはIPCが発覚し、ストー……陰ながら護衛している事もバレた今、妹の中で俺の評価は最悪だろう。相当嫌われているに違いない。
それでも優しい妹は俺を糾弾する事ができない。ならば、俺の方から潔く身を引こう。
今後は絶対にバレないように完璧な変装して、陰ながら妹を見守り続ける人生……言うなれば“KIM人生”を送って行こうと思う。
はぁ……どうしてこうなってしまったのか……。
【妹ちゃんside】
お兄ちゃんの引っ越し先を突き止めて、合鍵も手に入れました。
いつでも忍び込める準備を整えて、私は運命の時を待ちます。
午前4時、お兄ちゃんが引っ越し先の家へ帰って来ました。
お兄ちゃんは夜のアルバイトをしている為、明け方にいつも帰って来ます。アルバイト先は居酒屋らしく、帰りに自分も少し飲んで来るのか少しお酒臭い時がありますが、今日はいつも以上にお酒が臭いました。
私はクローゼットに隠れ、シャワーを浴びて就寝の準備を整えるお兄ちゃんを待ちます。
……来ました!
お兄ちゃんは下着一枚でベッドへ潜り込むと、直ぐに寝息を立て始めました。
あぁ……遂にこの時が……!
【お兄ちゃんside】
一人暮らしを始めてから妹と顔を合わせる時間が激減した。
それに反して酒を飲む量が増えたのは何の皮肉だ。酒より妹の甘露な汗が(以下略)
妹には内緒にしているが、俺はホストクラブでアルバイトをしている。
今日は浴びるように飲んだ為、危うく客からお持ち帰りされそうになったが、鉄壁の妹愛精神で耐えきる事ができた。
ベッドで美女とピロートークするより、ベッドで独り、スマホに保存してある秘蔵の妹画像集を眺める方が遥かに有意義なのだ。
はぁ……妹のいない日々はなんと無機質な事か……。
【妹ちゃんside】
熟睡したお兄ちゃんを夜這う、妊娠待ったなしコース。略して“JOY”を決行しようとした私が「レッツ既成事実!」と意気込んでクローゼットから飛び出そうとした時でした。
クローゼットの中にパックされた女性物の下着を見つけて、私は目を見開きました。
お兄ちゃんに彼女が……?
どす黒い感情に支配されそうになった私でしたが、よく見るとその下着は私が使っている物と同じ。
クローゼットの中には他にも綺麗に整頓された下着が収納されており、そのどれもが私が使っていた下着でした。
あぁ……お兄ちゃん、貴方はそんなにも私を……。
【お兄ちゃんside】
目が覚めると、部屋に妹がいた。
幻覚でも見ているのかと思わず頬を抓った俺だったが、紛れもなく現実だった。
満面の笑みを浮かべた妹。
その手には何故か処分したはずのリコーダーや運動靴、学ランなどが握られており、俺は更に度肝を抜かれた。
「それ……俺の?」
俺の問いに妹は頷いた。
「はい。全部、全部全部全部……お兄ちゃんのです。捨てるなんて勿体ないじゃないですか?」
「勿体ない……」
呆けた表情でオウム返しする俺に妹は小悪魔のように微笑む。
「お兄ちゃん……私たちはとても似ていると思います。相性抜群です」
「そんな事は――
「ありますよね? だってお兄ちゃんだって集めてましよね? 私のPA・N・TU」
「――っ!?」
はぁ……やはりバレてたのか。もう終わりだ。俺はそう思っていたが……?!
【妹ちゃんside】
白目を剥いて今にも倒れそうなお兄ちゃんに覆いかぶさり、その唇に吸い付きます。
やはり初めてのキスは意識のある内にやるべきでしょう。寝ている隙に奪うなどナンセンスの極みです。
リコーダーを舐め回した時とは違い、新鮮なお兄ちゃんの唾液を接種した私は完全に発情してしまい、その場で服を脱ぎ始めました。
状況に着いていけず、パニックへ陥ったお兄ちゃんの下着も即座に脱がし、下半身を露出させます。
お兄ちゃんはいつも格好良いですが、今日は何だか可愛く感じます。偶には狼狽えているお兄ちゃんも良いものです。いと尊きです。
動画で予習してた私は淀みない動きでお兄ちゃんの■■■を(以下略)
はぁ……お兄ちゃんのお兄ちゃんもやっぱり素敵……。
【お兄ちゃんside】
何が何だか解らない間に唇を貪られ、下半身を露出させられていた。そして、いつの間にか臨戦態勢にさせられていた俺の息子が妹に(以下略)
知らぬ間にとんでもない事態に陥っているが、不思議と後悔はない。
妹の瞳が歪な光を放っている事だけ少し気にはなるが、そんな妹もまた可愛く思える。問題なしだ。
俺の妹は今日も最高に可愛い。
惚けた顔で「レッツ既成事実!」と連呼している妹をそっと抱き寄せ、優しく口付けをする。
俺から妹へする初めてのキス。
それはお兄ちゃんから男へ、妹を女へ変貌させる儀式。
あぁ……妹はやっぱり宇宙一可愛くて、大切な存在だ。ずっと一緒にいような?
【???side】
ウチの会社に入って来た新人はとにかくイケメンだ。
あまりにもイケメン過ぎて気に入らない為、意地悪して退職へ追い込んでやろうかと思ったが、どうやらその新人は既に結婚しているらしい。……というか、子供もいるらしい。
既婚者で家庭持ちならばウチの女性社員たちを搔っ攫う事はないだろうと、一先ず安心した私は彼に話し掛けてみる事にした。
……変態だった。
彼は自分の妻の話をし始めると止まらない。如何に妻が可愛らしいか、どれほど愛しているのかをノンストップで伝えてくる。
100m離れていても妻の匂いを嗅ぎ分けられる嗅覚とか、もはや意味が解らんだろう。
ウチの女性社員たちも彼を“残念イケメン”と呼び始めているらしい。私もそれには激しく同意を示したい。
あ、そうそう。彼の妻はとてつもない美女だった。
まだ若い為、美少女と言ってもいい容姿だが、それは兎も角……何と言えばいいのか。妻が彼を見つめる瞳にどこか狂気めいたものを感じた。あれは明らかにヤバい生き物だと思う。
人間は飽きる生き物だ。
より新鮮な刺激を欲するようにプログラムされた存在だ。
それ故に向上心を持って生きていけるし、飽きるが故に嫌な事に“慣れる”事ができる。言い換えれば、人間の脳は好きな事も嫌いな事も“普通”へ向かって修正する特性を持つという事だ。
酸いも甘いもいずれは“無”になる。そう考えると恋や喜びといった一時的な感情の無機質さに失望してしまいそうになる一方で、彼とその妻を見ているとそれらを肯定してみたくもなる。
どこかには“永遠の愛”が存在するのだと信じたくなるのだ。
まぁ……妻が着用した下着の色を1ヵ月分記憶している変態性を愛と呼んでいいものかは甚だ疑問だが……な。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
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