長い廊下
オレは廊下に出た!
数十メートルは続く廊下の先には誰もいない。
「静かだ!」
オレはつい、呟いた。遠くで鳥の鳴き声がかすかに聞こえる以外は何の音もしなかった。
廊下の左の部屋で女性が二人死んでいることを覗けば、なんて穏やかな風景だと感じてしまう。
オレは廊下をさらに進んだ。
隣の部屋には、冴子さんや、ひかるが寝ているはずだ。
「がばっ」
オレは思いっきりよく、女性陣の部屋のふすまを開けた。
「いない!」
誰もいなかった。布団がひかれていたが、使われた形跡もない。
「どういうことだ! みんなは?」
そういえば、泉や、山田君はどうしたんだ! どこ行ってしまったんだ!
おれは再び廊下に出た。
この廊下の先には左側に畳敷きの部屋がずっと続いている。右側には縁側がありその先には日本庭園がある。
オレは廊下をさらに進め、左側のふすまを順番に開けて行った。
「がばっ」
「がばっ」
「がばっ」
「・・・・」
誰もいない・・・・
「どういうことだ!」
この先には昨日、夕食をとった大広間がある。
「がばっ」
オレは思いっきりよくふすまを開けた。
やはり人っ子一人見当たらない。
「外に出てみるか・・・・」
オレは玄関の方に向かった。
その間数十メートル、やはり誰にもあわない・・・・
「どういうことだ! みんな殺されてしまったのか?」
それにしては死体がない・・・・
オレはとにかく誰かにあって、話がしたかった。
「うっ」
外に出たオレは、夏の日差しに一瞬目を奪われた。
まだ朝だというのに太陽の日差しは強く、汗がにじんだ。
オレはあたりを見回した。
やはり誰の姿もみあたらない
「ざざっ」
何か黒いものが小屋の奥に見えた!
オレは全速力で小屋に向かった。
「がばっ」
オレは勢いよく小屋の扉を開けた。
いたっ! 人がいた!
「ブルブルブル」
しゃがんで震えている冴子さんであった。