宴会
「おそいよー、おなか減った! 」
おれたちはヤマタノオロチを討伐したという神社や、河童ケ淵という河童が出るという噂の小川なんかを回り曾おばあさんの家に帰ってきたころには、もう日が傾いていた。
ひかると冴子さんは待ちくたびれたようだった。
「おなか減ったでしょう」
おれたちは食事が容易されている、30畳ほどの大広間に向かった。
そこにはおれたち6人の他に、曾おばあさんの息子の秀さんと、お嫁さん、それに秀さんの娘さんの浜子さん、他には使用人が数人、それぞれのお膳の前に腰を掛けていた。
「すみません、遅くなって」
おれたちは軽く頭を下げて、空いているお膳の前にそれぞれ腰を掛けた。
曾おばあさんは足が悪いため自室で食事をとるようだ。
「いただきます」
家長の秀さんの掛け声で、全員が食事を始める。
「遠慮せずにどんどん食べてね」
秀さんは案外気さくな人だ。
「お酒もいっぱいあるから、どんどん飲んでね」
泉と冴子さんは20歳を超えているので進められるがままに酒をあおっている。二人とも案外お酒は強いみたいである。
「一休君達ものんでみたら」
オレやミカン、ひかるも、つい進められて飲んでしまった。
おれたちは3時間ほど飲めや歌えの楽しい時間を過ごした。
「うーっ、飲みすぎてしまった!」
部屋に戻ると布団が引かれていた。
オレは布団に横になるとそのまま眠りについてしまった。
「ちゅんちゅんちゅん」
オレはまぶしい日差しで目を覚ました。
「あーっ、昨日は飲みすぎてしまった・・・・気持ち悪い」
どうやら二日酔いのようだ!
「んっ」
オレは手にぬくもりを感じた!
「うっ!うわああああああああああああああああああああああああああっ!」
オレの横には血まみれのミカンが横たわっていた。
「えっ、えっえっ?」
オレは訳が分からなかった。
ミカンの腹には、映画で見たことがあるドスのようなものが刺さっている。
「なっ、なんで?」
オレの思考はミカンの死体の横で固まってしまった。
「ぴたぴたぴた!」
その時廊下をこの部屋に向かってくる誰かの愛音が聞こえてきた。
「ど、どうしよう! どうする?」
オレの思考は全く働いていなかった。