曾祖母の家
「疲れたー」
オレたちは2時間半ほどのドライブを経て曾おばあさんの家についた。
大きなお城みたいな石垣や壁、蔵がある。村の中の山奥の家だとしてもかなり大きなお屋敷だ。
「いっちゃん、いらっしゃい」
迎えてくれたのは、この家のお嫁さん、正確にいうと曾おばあさんの息子の奥さんである。
お嫁さんといっても50歳くらいだろうか。
「久しぶりー
「よろしくお願いします」
「お世話になります」
おれたちは、それぞれにあいさつした。
3000坪くらいの敷地の中に大きな建物が二つ、その他に蔵や小さな小屋のようなものがいくつかある。おれたちは西側にある屋敷の中に案内された。
長い廊下を5分ほど歩いた。途中にははく製や、壁には日本刀や槍のようなアンティークが飾られている。
「この部屋を使ってね」
おれたちは男女それぞれに10畳の部屋をあてがえられた。畳の部屋で大きな床の間がある。隣の部屋といえ、ふすまでつながっているのでいつでも出入りできる。他にもいくつか部屋がつながっていて、全部の部屋をつなげれば、100畳ほどになりそうだ。
「夕飯は18時くらいでいかな-」
お嫁さんはそういうと部屋から出て行った。
「じゃあ、いくか」
泉が荷物を置いて立ち上がった!
「ちょ、ちょっとー早くない! 少しはのんびりしよーよ」
ヒカルが畳に猫らがってゴロゴロしながらはしゃいでいる。
「じゃあ、ここでのんびりするグループと俺と一緒に出掛けるグループに分かれよう」
泉はいつも、こういうやつである。ひかると冴子さんは残ることになり、残りのメンバーは、歩いて近くの沢まで行くことになった。
もともと、この辺りには神話時代のいろいろな伝承があって、ヤマタノオロチ等の伝説が残る地である。
「気持ちいいねー」
ミカンが小川に足をつけて、はしゃいでいる。山田君はその横でうろうろしている。
「一休、例の洞窟はこの奥にあるのか」
泉が食い気味にオレに尋ねてきた。
「ああ、ここから山側に30分ほど歩いたとこだと思う」
もともと泉がこの田舎に興味を持ったのは、神隠しの伝説があったからだ。
「一応、村のおきてのようなもので、この先には行ってはいけないってことになってるがな
」
泉はずぐ勝手な行動するからくぎを刺しておいた。
「ははは、わかってるよー」
泉は案の定わかっていなかった。いくな、こいつは!オレはそれ以上追求しなかった。