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「緑原物語 ―或いは世界はオレのカキフライ―」  作者: 上田クロ
第四章:王都サーリア
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『「「「「「え?」」」」」』


 おお!

 全員が口を揃えた!!


「なんだっけ? お前らエルフの?」

「ア、アヴェロンの民でしょうか?」

「そうそれ。そっちの陣営についてなんやかんやする」


「ダーリン?!」

「ユーリ?」

「水瓶の主?」


 うんうん。

 そうだね。


「ど、どうしたのよ? ダーリン? 悪いものでも食べたの? 病気? 頭の病気?!」

「死んじゃうの? ユーリ死んじゃうの?」

「それは、良いとして私たちは付き合わないわよ! ダーリンだけ鉄火場(てっかば)に突っ込んで! それを囮に女王から逃げ切って見せるわ!」

「アルメリィリイも! 犯罪者は嫌なの!!」


 こいつ等!!


「何故に火中の栗を拾うような真似をするのであるか? 正義の心とか言うなよ水瓶の主よ」

「ID君。どうしてボクの正義の心を疑うのでしょうか?」


不肖(ふしょう)、水瓶のククルカン兜森 勇里! 鉄火場に突っ込んで火中の栗拾ってアヴェロンのエルフのために尽力いたす所存」


 大マジで言ってみた。

 エルフ達が、歓喜の声を上げる。


「嘘を吐いているの!!!」


 このクソロリ。

 どうしてくれようか。


「騙されないで! ダーリンがそんなこと云うわけないじゃない! 偽物よ! このダーリンは偽物なのよ!!」


「い、いいのですか? 水瓶のククルカン様?!」

「レッド。いい加減長いから勇里でいい」

「ゆ、勇里様!!」


 ガッシと手を握られた。

 レッドに、ブルーに、イエローに。


「助けてほしいといった手前何なんですが、報酬は正直それほど期待しないでください」

 本当にすまなさそうにレッドが伝えてくる。


「報酬なんて期待していないさ。君たちの役にオレは立ちたいだけだ」


「「嘘くせぇええええええええ!!!!」」

 ハモる水瓶とロリ。

「うるせぇ!!」


「なるほど。エルフの女であるか」


 くっ!

 IDめ!


「どういう事なの? ID?」

 黙れロリ!

 それ以上この話を展開するのはヤメやがれ!


「さぁ! レッド君! ブルー君! イエロー君! 君たちの同胞(どうほう)を助けるための作戦を聞かせたまえ!」

「エルフの女を水瓶の主は狙っていると吾輩はみたのである」

「や、辞めてくれないかID君。それは僕を見くびっているというものだよ」

「棒なの! ユーリのセリフが棒読みなの!!」


 おい。

 エルフども。

 その疑いに満ちた目を向けるのをヤメロ!!


「でも、それっておかしいわよID」

「何がであるか?」

「水瓶やチィちゃんという正ヒロインが居るのに今更エルフのヒロイン必要?」


 チッパリィが頷く。

 残った全員が声に出さずに突っ込んだはずだ。


『何を言っているのだろうか? この二次元は?』


「思わない? 美少女で妖精な水瓶が居るのよ?」

「アルメリィリィも! ロリ枠で!!」


 鎧娘が水瓶を(かか)げ、壁際の花と化していた鰐達に同意を求めた。

 ヤメテやれ。

 爬虫類が目を逸らしたところ初めて見たよ。


「今までオレがこの世界で出会ったヒロイン候補の話をしよう」


 オレは座りなおす。

 両指を目の前で組み、眼鏡を光らせる。

 眼鏡ないけれども。


「先ずはお笑い系二次元妖精。次いで変にエロいスケルトン。そして、知能指数が残念なロリ鎧」


 キョトンとする水瓶とロリ。


「お前らの事だ! そのビックリした! みたいな態度をヤメロ!」


 指をさされたことに対しブーイングをしてくるアホな娘達。


「エロスケルトンはカナタなの?」

「カナタって誰よ?」


「水瓶も船で会っただろう? Eカップのヒロイン候補」

「あぁ、あのフードの娘ね。何であの子がヒロイン候補? 骨だけになって海の藻屑(もくず)でしょ?」

「いや、生きてたんだよ! スケルトンだったけれども! 肉が付いていた時のカナタが一番いい感じだったじゃん?!」


「わからないわ。キャラ薄い巨乳がヒロインって無理でしょ?」


 全員が目を逸らした。


「キャラ薄いから、スケルトンとか云う思い切った属性つけたの? でも、それってヒロインとして失敗じゃない? そう思わないダーリン?」

「い、いや。あぁ。うん」

「骨って無いわぁ、どこに萌えろと? 鎖骨(さこつ)? 橈骨(とうこつ)? 骨に萌えるってどれだけ二ッチなのよ?」

「おまけに硬いわよ? ヒロインとして硬いって」

 鼻で笑うダブレット。

 自覚がない事に驚くオレ。

 お前は更にスカイン属性じゃねぇかと。

 心の中で突っ込んでおいた。


「まぁ良いわ。それで教えて欲しいんだけど。何でエルフの女の子を狙っているわけ? あぁ解った。たまにはジャンクフードも食べたないな? そんな感じなわけなの?」


 どーーーしよう!!

 血の涙を流しながら叫びたい!


 どーーーしよう!!


 エルフの女の子だよ?

 それも、レッド達イケメン族の女の子だよ?

 もう、Cカップで妥協しても良いよね?

 そんな感じのパツキンだよ?

 当たり前のように助けに行くよね?

 そういう流れにしようと思っていたのに、完全に勘違いした二次元女が格下扱いしてますよ!


 ナニコレ?

 嫉妬?

 いや違う。

 あいつマジで自分がヒロインだと勘違いしているのではなかろうか?

 本人的には、メインディッシュなのである。

 フレンチなのか? 懐石(かいせき)なのか? イタリアンなのか?

 でもさ!

 レッドも、ブルーも、イエローも、鰐男達でさえ思ってるよね?


「「「うまい棒じゃん」」」って!!


 おいしいよ。

 嫌いじゃないよ。

 でもさ!

 違うだろ!!


 やりにくい!

 この勘違い女を何とか躱して話を先に進めなくては!


「そ、そうんだぁ。お、オレはコーンポタージュ味好きだよ。レ、レッドはどうよ?」


 レッドが。

 目を見開いた。

『振るのか? 俺に振るのか?』と云っている。


「う、うまい棒って良くわからないんで」


 解ってんじゃねぇかよ!

 エルフなのに食ったことあるんじゃん!! 

 イケメン逃げやがった!!


「良くわからないのは水瓶たちよ。何でダーリンはそんな簡単にエルフに肩入れできるのかしら? ねぇどういう事なの? ID?」

「……」


 なんかリアクションしろよ、乙女の妖精。


「ねぇねぇ。アルメリィリィもIDの主として聞きたいんだけど。その辺りマジでどうなの?」


 ヤバい。

 二人とも語尾とキャラ設定捨ててきやがった。


「せ、正義の心?」


 IDがムッチャ渋い低音で(つぶや)く。

 こいつ! サイテーだ!

 自分から女目当てだろって振ったくせに!


「まぁ、正義なら仕方ないかなぁ。で? ウチ達手伝うわけ? どうよ? チイちゃん?」

「えー。別にぃイイけどぉ。ヒロインとして当然っていうの? 義務っちゅぅか」

「そうよねー。ウチ等ヒロインだもの。仕方ないかなぁ。どう思う? レッド?」


 またか!

 そんな言葉がイケメンの顔に書いてある。


「ヒ、ヒロインの皆様に()いては、ご尽力頂きまして誠に有難く思っておりまして」


 政治家の答弁みたくなってるじゃねぇか。


「で? 主人公的にはどうなのよ? これから出てくる女なんてポット出のサブヒロインよ? それがメインヒロインより優遇されるなんて許されるパターンじゃないわよね?」

「もうさ、ぶっちゃけ、ユーリも結構この世界にも慣れてきたわけだしぃ。今更新ヒロイン登場って、アルメリィリィも仲良く出来ないっていうかぁ」


 うわぁ。

 こいつらマジ鬱陶(うっとお)しい。


「やっかましいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ちゃぶ台どころか、テーブルひっくり返してやったわ!!


「ふざけんな! お前らがヒロインなんて認められるか! ぶっちゃけお前ら固いじゃん! おかしいだろ! ヒロインが固いってなんだよ? フロム・ソフトウェアが作ったギャルゲーか? 攻略法は死んで覚えろってか?! 柔らかエンジン登載しろや!!!」


「ぎ、逆切れよ! ダーリンが逆切れしやがったわ!!」

「ロ、ロボットヒロインだって居るの! 固いけどヒロインなの!」


「既にシミュレート済みですぅ! 良いか! ロボ(っこ)の基本は固い体に優しいハートだ! (ひるがえ)るにお前らはどうだ? 優しさ何処に忘れてきた? 完全にステータスお笑いに全振りじゃねぇか!!!」


「良いか! お前らはヒロインじゃねぇ! お笑い担当だ!!」


 ドーーーーン!!


 そんなオノマトベを背中に浮かべ、水瓶とチッパリィを指さすオレ。


 アレ?

 なんでこいつ等そんな不思議な顔してるの?


「お、おい。水瓶、チッパリィ」


「なぁに? ダーリン?」

「なぁに? ユーリ?」


「何か言い返さないのか?」

「うん? だってなの」

「そうよね、チィちゃん」


「「ヒロインからお笑いとったら何が残るの?」」


 真顔でハモリやがった。

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