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魔王の書斎から Ⅲ


魔王城の破損から



 今回も魔王城の書斎から


 ・・・・・・


 魔王が今日もまた書斎で仕事をこなしていると、ドアをノックする音が聞こえた。


「入れ」


「失礼いたします」


 入ってきたのは執事長のベロニカだった。


「どうしたベロニカ?」


「先日破損した魔王城の修繕の見積書が出来ましたのでお持ちしました」


「受け取ろう」


 ベロニカから見積書を直接受け取り、中身を確認する。


「概ね予想通りか。これで進めよ」


「畏まりました」


 ベロニカは一礼して一歩下がる。


「……魔王様、つかぬ事お伺いいたしますがよろしいでしょうか?」


「何だ?」


「私もここに務めて長いのですが、魔王城が破損するという事態は前代未聞です。並大抵の事では魔王城はびくともしないとお聞きしていましたので」


「…………そうだな、ベロニカが務めて1000年になるか」


「はい」


 魔王は長い溜息をついて机に手を置いた。


「実を言えば、魔王城は何回か大損害を受けている」


「そ、そうなのですか?」


「と言うのも、魔王城は外部からの攻撃において堅牢さを発揮するが、内部からの攻撃には脆いのだ」


「(それは魔王様基準では?)」


 ベロニカがそう思うのには理由がある。以前訓練場でアギパンが【黒滅】を放った際、魔王城の壁に激突したのだが無傷だった。過去の十二魔将の攻撃でも一切傷は付かなかったのだ。


 一瞬呆気に取られたが、すぐに会話に戻る。


「もしよろしければ、どんなことがあったのかお聞きしても?」


「隠す事でも無いからな、話してやろう」


 魔王は椅子から立ち上がり、窓の外を見る。


「あれはそう、今から1200年前程だったか、アズラエルがこちらに来て宴会をしていたのだが、珍しく酒に酔ってな、酔った勢いで魔術を連発して魔王城の2割が吹き飛んだ」


「(後でアズラエル様に怒られそうな内容だ)」


「更に1300年前には我と一夜を共にした時に何を気に食わなかったのか寝室ごと爆散させて3割が吹き飛んだこともあった」


 魔王から何か黒いオーラが漏れ始めた。


「1600年前はやっと建てたばかりの魔王城1号をデザインが気にいらないと言って全壊させたのは今でも忘れん」


「(これはもう完全に恨み言に移行している!)」


 口には出さないが心の中だけでツッコミを入れる。


「出会った時から色々と難のある性格なのは分かっていたが、あそこまでとは思わなかった……」


「で、ですが今でも奥様として傍に置いておられるのは何故ですか?」


 つい出てしまった質問にしまったと思いながら口を手で塞いだ。


「そんなのは決まっている」


 魔王は振り返ってベロニカと向き合う。


「好きで愛してるからだ。今も昔もな」


「そ、そうなのですか……」


 直球ストレートな告白に背中がムズムズするのを感じながら聞いたベロニカだった。



 ・・・・・・



 廊下を掃除していたオーガ族侍女のレイは向こうから早歩きで近付いてくる影に気付いた。七つの冠の一柱アズラエルだ。


「ごきげんよう、アズラエル様」


 レイはすかさず礼をして首を垂れるが、アズラエルはそれに気付かず通り過ぎてしまった。普段なら嫌みの一つでも言っていく。


「全く、何なのじゃあのバカは……!」


 ブツブツと何か文句を言いながら去ってしまったが、その真意を知る事は無かった。



 ちなみに、アズラエルがやってきた方向には魔王の書斎がある。


 これが何を意味するかは、ご想像にお任せしよう。





お読みいただきありがとうございました。


次回は『マリーナというエルフ Ⅰ』になります。

お楽しみに。


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