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魔后・アズラエル


第一の魔境、始まりの女帝



 ホープ大陸 魔族領


 この大陸における最果てと言われる地、『ラストギャリア』。


 そこに草木が生える事は無く、地面は枯れ、鉱山から流れた汚染水で異臭に包まれている。空も独特な魔力の影響で暗く、紫色に変色している。まさに不毛の土地と言って過言ではない。


 

 そのラストギャリアの中心に巨大な城が存在する。


 長い堀は毒で満たされ、高い城壁はあらゆる敵を寄せ付けない頑丈な作りをしている。城自体も縦に長く、登るのが困難な風体をしている。



 魔王とサクラは城門前に立っていた。



「『開城』」


 魔王が一言呟くと、巨大な門がゆっくりと開き、城から跳ね橋が降りて来る。跳ね橋を渡ってもう一度門を潜り城内へ入る。中は侵入者を阻むために複雑な造りになっており、道を知らなければ迷うのは必至だろう。


 魔王達は迷わず突き進み、城の奥にある居住区へ辿り着いた。


「待てい侵入者!!」


 魔王達の前に4つの影が立ちはだかる。


「久し振りだな、四天王」


 魔王の表情はどことなく柔らかかった。


「黙れいワッパ! 今日こそはこの『首切りザンギャク』がその首取ってくれる!」


 声を荒げているのは、プレートアーマーと呼ばれる重厚な鎧を身に纏った騎士の男だった。


「意気込むのはいいが後ろの3名が既に瀕死だぞ?」


「え?」


 ザンギャクが振り返ると、3名、と呼ぶには怪しい存在が倒れていた。


「ふご、ふごふご……」


「ああ、わしの足骨があ……」


「ぐおおお、すぴー」


 体長6mある魔族『屈強のサイク』は入れ歯がずれてずっと口をモゴモゴし、魔法使いの『幻想のファンダ』は骨だけの体でバラバラになっていて、悪魔の『凶悪のバットム』は寝てる。


 ザンギャクを除いた全員が弱った年寄りか骨なのだ。


「おい! しっかりしないかお前達!?」


「ふごお」


「何言ってるか分からん?! 入れ歯ちゃんと入れなさい!」


「ああ、今度は腕が……」


「今拾うからジッとしてて!」


「すかー、すぴー」


「お前は起きろ!!」


「……ふん」


 もはやコントとなっている状況で魔王がザンギャクの腰に軽く蹴りを入れる。


 蹴りを入れられた瞬間、グキッと嫌な音が鳴ったと同時に倒れてしまった。


「こ、腰が……!!」


「後は任せる」


「行ってらっしゃいませ、魔王様」


 サクラは4名を介抱しながら魔王を見送った。



 ・・・・・・



 居住区にある一番大きな塔の螺旋階段を上り、最上階へと到達する。最上階には大きな扉が一つだけある。魔王は部屋の扉を叩いた。


「何者じゃ?」


 中から低い女の声が聞こえる。


「魔王だ。扉を開けてもらおうか」


 扉が独りでに開き始め、中に招かれる。


 中は天井、奥行きともに広いドーム状の空間というシンプルな部屋だった。壁に様々な絵が描かれており、物語の様に繋がっているのが分かる。これといった家具は無く、部屋の最奥に大きなベッドが一つあるだけだ。


「久しいな魔王。半月ぶりくらいではないか?」



 ベッドの上に横たわっていたのは、青肌の妖艶な女だった。


 

 紺と金が混ざった長髪、燃える様な深紅の大角、白目が黒で瞳は琥珀色、薄い青で染まった艶のある肌、胸と尻は丸々と肉が付き、それと反比例するように腰は細い。背中からは蝙蝠の様な翼、尻にはトカゲの様な尻尾が付いている。そしていやらしい肉体を見せつけるデザインをしたドレスを着ている。



「もう少し頻度を上げることくらいできるだろう?」


「そう言うな、『アズラエル』。備えるのに必要な時期だったのだ」



 彼女の名は『アズラエル』。


 七つの冠の一柱であり、



「妻を放っておく時点で問題であろう」



 魔王の妻である。



 ・・・・・・



 魔王はすぐ手の届く距離まで近付き、椅子を出してアズラエルと対面する形で座る。


「これは前の礼を兼ねた物だ。受け取れ」


 【収納空間】から取り出したのは一本のボトルだった。


「ほう、酒か」


「蒸留酒、好きだろう?」


 アズラエルは魔王との間にスタンドテーブルを出現させる。テーブルの上には丁寧にグラスを氷塊が入った小さいバケツも置いてある。


 体を起こしてグラスを魔王の前に出す。


「ストレートじゃ。注げ」


「いいだろう」


 魔王はボトルを開けてグラスに注いでいく。半分程で止め、ボトルをテーブルの上に置いた。


 アズラエルは蒸留酒を一気に飲み干す。喉から音が出る程勢い良く飲み、飲み終えたと同時にグラスをテーブルの上に置いた。


「っ……、はぁあああぁ……!」


 満足げな表情で口から酒気を吐き出した。少し顔が赤くなり始めていた。


「うぅむ、いい度数じゃ。魔王も飲め」


「ならばロックだ」


 魔王はアズラエルと同じ様にグラスを持って前に出した。


「よかろう」


 アズラエルは氷塊に手をかざす。



「【砕けよ】」



 一言告げると、氷の塊が一瞬で砕けグラスに合ったサイズの氷の山に変わった。



 アズラエルは一言宣言するだけでその現象を起こせる魔力量を有している。つまり、周囲に魔力を放つだけで対象を好き放題できるのだ。




 砕いた氷を【浮遊】させて魔王のグラスに入れ、ボトルは持って注ぎ入れた。なみなみと注いだところで止める。


 ゆっくりと口に付け、少しずつ飲んでいく。半分程飲んで口から離した。


「………………」


 しばらく口に留めた後、ゴクリと飲み干した。


「ふう……」


「いい飲みっぷりじゃ。ほれ、もう一杯」


「いや、今度は我が入れよう」


 発火しそうな度数の蒸留酒をつぎ合い、代わる代わる飲んでいく。1時間でボトル一本を飲み干した。


「何じゃ、もう無くなってしもうた」


「安心しろ。まだまだあるぞ」


 さっきと同じ蒸留酒と他の酒も取り出して見せた。アズラエルは笑みを浮かべて魔王の手から酒を取る。


「あるなら最初から出してくれれば良いものを」


「それでは風情が無いだろう」


「どんな風情じゃ」


 互いにクスクス笑いながら次々と酒を開けて飲み干していった。



 ・・・・・・



 飲み始めてから3時間。


 ハイペースで飲み進め、既に20本以上は飲んでいる。その間は昔話に花を咲かせていた。アズラエルはかなり飲んだせいで酔いが深かった。


「それでザンギャクの奴、勝手に私のドレスを選択して縮めてしまったのじゃ」


「その話はもう30回目だぞ?」


「何度話しても気が済まんのじゃ。お気に入りだったんじゃぞ」


 魔王は溜め息をついた。


「我と出会う前ならば、もう2900年近く前であろう」



 

 魔王がアズラエルと結婚したのは2898年前、魔王が降臨してから102年経ってから結婚したのだ。



 結婚するまでに数々の激闘があったのだが、それはまた別のお話。



 

「そんな細かい事はいいじゃろ。それよりも酒だけで私の機嫌を取れると思っては無かろうな?」


「……まあ、そうだろうな」


 魔王は酒を飲み干しグラスを置いた。


「して、何が望みだ?」


 魔王がどっしりと構えアズラエルと向き合う。アズラエルはニヤニヤとにやけながら魔王に絡み始めた。


「この前の礼と称して七つの冠の皆に会いに行くのだろう? なら『あの女』にも嫌でも会うじゃろうなあ」


 アズラエルは魔王の体に自身の胸、腹、太股を密着させ、手でなぞるようにして魔王の体を弄る。


「だから、ちょっとだけマーキングさせてもらおうかのお」


 ゆっくりと手を股間に滑り込ませ、中の物を優しく握る。


「そんな事でいいのか?」


「こんな事が重要なのじゃ」


 唇を重ね、舌を絡ませて唾液を混ぜ合わせる。いやらしい水音を立てながら魔王の股間が盛り上がる。


「ん……、やる気十分ではないか……♥」


「そうさせたのはお前だぞ」


 魔王はアズラエルをベッドに押し倒した。手を絡める様に握り、激しくキスを始める。


 そして互いに着ている物を全て脱ぎ捨て、男女の営みに突入する。



 ・・・・・・



 サクラは四天王を治療室まで運び介抱していた。


「うぐぐ、こ、腰が痛むうぅう……」


「特製の湿布を貼りましたからすぐよくなりますよ」


 ザンギャクはうつ伏せでベッドに沈んでいた。他の3名もベッドで寝ていたり茶を飲んだり本を読んだりとゆっくりしていた。


「サクラちゃん、お茶」


 サイクは震える手で茶器を前に出す。


「はい、ただいまお持ちします」


 サクラは茶を入れるために少し離れた別室へ歩いていく。



 その途中、アズラエルの声が窓から聞こえた。



 サクラは一旦足を止め、窓の外から見えるアズラエルの部屋を見た。


「…………もう、アズラエル様ってば……」


 サクラは赤面して早歩きで茶を汲みに行った。



 サクラに聞こえたのは、アズラエルの嬌声だったのだ。



 治療室を中心に遮音保護がされているため四天王には聞こえないが、本当は獣の雄叫びの様なアズラエルの嬌声が城の外まで響いていた。


 周知の事実なのだが、四天王がボケていて聞こえる度に襲われたと勘違いして突撃してしまうのだ。その為の遮音保護だ。



 それから2日間、休み無しで魔王とアズラエルはまぐわい続けたのだった。



 


お読みいただきありがとうございました。


次回は『精霊母・シャイターン』になります。

お楽しみに。


その光は全てを無力にする。


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