表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/135

目の前の景色は本物ですか? Ⅱ


性の思い出、過去の幻、快楽の火蓋は開けられた。



「……ん?」


 サンディが目を覚ますと、そこは見覚えのある場所だった。


「ここは……?」


「サンディ、もう起きなさい。朝の7時半よ」


 彼女がいるのは、転移する前にいた世界の自分の部屋だ。


 そして今、自分はベッドから起きた所だった。下の階から母親が呼んでいる。


「(何だか忘れてる事がある気がするけど、何だったかな?)」


 夢の内容を思い出せず少し悶々とする。


「(まあ思い出せないならそれでもいいか)」


 ベッドから起きて、下の階に降りた。そこには父に母、そしてペットの犬『マット』がいた。


「やあサンディおはよう」


「おはようダディ。マットもおはよう」


「おはようサンディ、ほら、早く朝食を食べて。遅刻するわよ」


「あれ? 今日って何かあったっけ?」


「何を言ってるのサンディ。あなた今日デートがあるって言ってカレンダーに書いてたじゃない」


「え?」


 カレンダーを見ると、確かに自分の字でデートだと書いてあった。


 カレンダーを確認し、時計を見る。約束の時間まではまだ余裕があるが、のんびりしている程でもない。


「うわそうだった?! 明日だと思って油断してた!!」


「なら早くしなさい。私もダディと一緒にお買い物に行くから、その途中まで送ってあげるわ」


「分かった!!」


 朝食を急いで食べて、すぐに着替えに行く。


「どれにしようかな、うーん……、これにしよう!」


 お気に入りのジーパンをメインにコーディネートを決め、バックに必要な物を詰めていく。


「ああもう! 昨日用意しておけばよかった!」


 慌てて階段を降り、既に用意を済ませた父親と母親が待っていた。


「お待たせ!!」


「準備はいいな? それじゃあ行こう」


 マットが一吠えしてサンディ達にすり寄ってくる。


「それじゃあマット。行ってくるね」


 顔の横から撫でて、落ち着かせた後家を出た。大型の乗用車に乗り、家から発進する。


 マットは窓越しから3人を見送った。


「それじゃあ行ってくるねマット!!」


 サンディは車から顔を出してマットに手を振った。



 ・・・・・・



 真車 茜は学校を終えて、帰宅している最中だった。


 いつもの商店街、いつもの野良猫、いつもの帰り道、いつもの光景を目にしながら歩いていく。


 しばらくして、自宅である2階建てアパートに帰ってきた。


「……帰って来ても誰もいねえんだよな」


 茜の両親はロクな人間ではなかった。


 父は母の妊娠を知ったと同時に蒸発、その上借金を押し付けた。

 母は昔から男と遊んでばかり。水商売で体を売って日銭を稼いでいる。最近は借金と子育てから解放されたせいか、男としけこんで1週間帰って来ないのは珍しくない。


 そんな家庭環境で育ったものだから、周囲から良くは思われなかった。それなら悪く生きようと吹っ切れ、今ではレディースの一員として夜の街を走っている。


 ただ、学校だけは卒業しとけと言われているので、登校出席だけはしている。


 自宅である部屋の鍵を開け、電気を付ける。部屋には酒瓶やら脱いだ物があっちこっちに散乱している。


 茜は特攻服に着替えて、早々に自宅から出ようとする。


「あれ? 華音ちゃんじゃないの?」


 部屋に入って来たのは、母と関係を持っている男の一人だった。流行のファッションに身を固め、サングラスをしている。イケメンなので印象は良い。


「母さんならまだ帰って来てねえよ」


「そう? じゃあ茜ちゃん、俺とデートしてよ」


「あん? 見て分かんねえのか? これから集会だ」


「嘘言っちゃって。ここらへんのレディースは今日集会ないでしょ」


「……何で知ってんだよ」


「俺こう見えても暴走族の元総長ですから。ここらへんの連中とは顔見知りなんだ」


「…………遠回しに脅してんのか?」


「あ、違う違う! そういうつもりじゃないんだよ! 気悪くしちゃったらごめんね」


 謝る仕草をして謝罪する。


「まあいいっすよ。で、何でデートなんすか?」


「良い質問だね。実はパーティーに招待されたんだけど、ペアじゃないとダメなんだ。だから華音ちゃんにお願いしようよ思ったんだ」


「それで私を連れて行こうと」


「そうそう! 悪い様にはしないから、ね?」


 少し悩んで、イケメンと一緒に出掛けられる事も滅多にないだろうと考える。


「いいぜ、着替えるからちょっと待ってな」


「ありがとう! じゃあこれに着替えてよ!」


 男は持っていた紙袋を渡す。中を見ると、凄い際どい真っ赤なドレスだった。


「……変態」


「否定はしない」


 茜はそれに着替えて、男の車に乗り込む。



 そして、ネオンが光り輝く街へと繰り出した。




 ・・・・・・



 サンディは筋骨隆々の黒人彼氏『マテオ』と公園デートを楽しんでいた。


 時間は夕方、人は閑散とし、残っているのは2人だけだった。


「今日もデートしてくれてありがとう。マテオ」


「いいんだよサンディ。俺も楽しかった」


 2人は腕を組んで公園を歩き、帰りの途についていた。しかし、マテオが道を急に変えた。


「どうしたのマテオ? こっちは……」


「サンディ、俺は今日覚悟を決めたんだ」


 少し治安の悪い地区に入る。両側の建物にはいかがわしいお店の看板が目立つ。


「サンディ、ただの恋人から、男女としての恋人になってくれ」


 真剣な眼差しでサンディを見つめ、ある建物の前に止まった。


 いわゆる、ラブホテルというところだ。


「マテオ……」


 サンディも今年で21歳。そういった経験は一切無いが、興味が無いわけではない。


「ダメかな?」


 しばらく間が開いてから、


「……いいよ、行きましょう」


「!! ああ!!」


 

 2人はホテルへ入り、男女としての一線を越える。



 ・・・・・・



 茜はダンスパーティーで一緒に踊った後、車に乗って夜の街を走っていた。


「ノリノリだったね」


「何も嫌いとは言ってないだろ」


「楽しんでもらえて何よりだよ。……そろそろ着くよ」


 到着したのは、裏道の小さな駐車場だった。


「? おい、ここ家でも何でもないだろ」


 言い切る前に、唇を奪われる。


 ゆっくりと唇を離し、見つめあう。


「……抵抗、しないんだ」


「………………」


「続けるよ」


 男は座席を倒し、茜のドレスを脱がしていく。口づけをしながら徐々に絡んでいく。


「いいの? 俺みたいのにいいようにされて」


「……こうなる事、分かって付いて来たんだよ。察しろ」


 男は微笑んで茜を脱がし、自身も脱いでいく。



 車を激しく揺らし、男女の営みを過ごす。




 ・・・・・・



「何、これ」



 その2人の情事を、ショウコは画面越しで見ていた。



 ショウコはホラーゲームに出てくる様なボロボロの監視室にいた。一人用のソファに座り、画面をまじまじと見つめている。


「良い光景でしょう♥」


 その隣には、リリアーナがいた。


「あなたにも味合わせたかったのだけど、まさか思い出を『否定』で消しちゃうなんて思わなかったわ♥」


 ショウコの体を片方の手で嘗め回す様にまさぐり、もう片方の手で顎を沿うように指先でなぞる。


「これはそんなあなたへのご褒美♥ ここから先は未知の領域よ♥」


 顔のすぐ横で囁くように語りかけ、耳に吐息をかける。


「こ、の……!」


 ショウコは抵抗しようと『否定』を使おうとするが、リリアーナの姿が見えず対象に取れない。


「さあ、快楽の底へ招待するわ♥」


 リリアーナが指を鳴らすと、ショウコの目の前にあった光景が液体の様に溶けだした。


 溶けた光景がショウコを飲み込み、ソファがバナナボートへ姿を変え、時計の大海原へ放り投げられる。バナナボートは泣きながら微笑みの穴にショウコを連れて行く。




「堕ちる所まで堕ちなさい♥」





 【夢幻(ゆめまぼろし)無限快楽事変(むげんかいらくじへん)




 ここから先、ショウコとして自我を保てるかが試される。





お読みいただきありがとうございました。


次回、リリアーナ戦、決着です。

お楽しみに。


もし気に入って頂けたなら、評価、コメント、ブックマークの方、よろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ