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幕間:魔王城にて



 魔族領 魔都 魔王城



 魔王は書斎でフェニーチェと連絡を取っていた。通信用の魔道具『フォルン』を耳に当て、外に漏れないようにしている。


「先に通信を入れたか」

『そこまでやる事を分かっていながら止めなかったのだろう?』

「我が出れば逆探知される可能性は否定できない。魔都を危険に晒すわけにはいかないからな」

『なら私はいいと?』

「対策をしておいてよく言う」

『天才の私に抜かりはない。そもそもの座標が狂っているとは想定していなかったようだしな』

「あの魔道具は遥か上空から映していた。複数あるという事は地図を作るという用途も考えられる」


 ティターニアが何かが上空に上がるのを発見したのがきっかけだった。


 魔王自身が確認しに行くと、見た事の無い技術で作られた魔道具が大気圏外で浮いていた。調べた所、様々な調査を行うための物だという事、その調査結果を現在進行形で送っている事が分かった。


 魔王は書類仕事を行いながら、通信を続ける。


「なら逆に利用して、正常に取れていると思わせる。誤った情報は何より恐ろしいからな」

『光と魔素を屈折させられていたとは夢にも思うまい! 流石私!』

「ほぼティターニアのおかげだろう」

『しかし立案したのは私なのだから私のおかげと言えよう!! フハハハハハ!!』


 どこで情報を仕入れたのか、フェニーチェが関わって来たのだ。


 第1発見者であるティターニアとも話し合い、いっその事逆に通信を入れようとフェニーチェが言い出したので却下。ティターニアが情報操作を提案したのでそちらを採用した。


 ティターニアの魔法と魔王の技術、それとフェニーチェの発想の機転で位置座標の誤送信をさせる事に成功した。更に、結界装置も取り付け、大掛かりな転移を感知した場合、こちらで転移先の位置の把握と調整ができるように細工したのだ。


 魔王は溜め息をつきながら書類仕事を片付けた。


『ところで、転移の位置はこちらで把握できたのに、何故他の魔将達に教えない? 待ち伏せさせておけば楽だったろう』

「それではただの訓練にしかならん。実践が必要なのだ。それが民に危害を与える脅威なら、なおさらだ」


 今回の侵攻を利用して、十二魔将全体で実戦経験を積んでもらう算段だった。


 レオールがテルモピラーでかなり深手を負ったが、それも経験として吸収してもらう事にした。


『その割にはすぐ戦闘が始まっても問題無さそうな場所に変更していたがな』

「……そこまでリスクを犯すわけにもいかんからな」

『流石魔王だな! 加減ができる!』


 腹の立つ笑い声を上げていた。


「フェニーチェよ。まさか自分の所に行っていないと思っているな?」

『違うのか?』

「そんな訳無かろう。そろそろ到着するはずだ」


 大掛かりの転移には、到着までに時間差が発生することがある。


 今回は事前に察知できたため、どれくらいの時間差で転移が完了するか分かる。


『な、謀ったな魔王?!!』

「フェニーチェも経験を積むといい。安心しろ。負けても尻拭いはしてやる」

『余計な仕事が増えるだけではないか!? ええい覚えていろ魔王!!』


 通信が切れ、魔王の書斎に静寂が訪れる。


「……さて、我も動くか」


 席を立って、書斎を後にする。



「侵攻したツケは、払ってもらわないとな」




お読みいただきありがとうございました。


次回はラディオン戦になります。

お楽しみに。


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