宇宙を駆け、蹂躙せよ
周囲とデウス・エクス・マキナから無尽蔵に兵器が溢れかえり、魔王達へ襲い掛かる。
縦横無尽に大群で宇宙を駆け巡り、遠距離攻撃の弾幕を降り注ぎながら突撃してくる。
魔王達は一度散開し、攻撃を分散し回避する。数億にも上る敵の大群はそれぞれ後を追い、攻撃を続けながら追跡していく。
シャイターンとサザーランドは身体が大きいため、被弾面積は必然と多くなる。よって、
『防御結界』
『超硬化』!!!
シャイターンは自身の周囲に攻撃を防ぐ結界を張り、サザーランドは全身の鱗を極限まで硬くして攻撃を防いだ。残り数百mの距離でも攻撃は弾かれ、一切効いていない。
兵器達はすぐに解析を始め、有効な攻撃を思考する。
「遅いわ!!」
【全方位滅却型・龍の砲撃:改】!!!!!
魔王から貰った術式を更に手を加え、高火力の攻撃を連発する。
巨大な翼と身体、口から、火力が高すぎてプラズマと化した一直線の炎を連射する。魔法陣を複数出現させ、それを輪にして回転させることで、断続的な攻撃を実現したのだ。
サザーランドの攻撃によって次々と兵器達は溶解と高熱で爆破粉砕されていく。断続的に放たれる攻撃と爆発のおかげで、宇宙に凄まじい明かりが断続的に繰り返される。
シャイターンは巻き込まれないようにサザーランドの背中に位置取り、再度『防御結界』を張ってサザーランドの背後を援護する。
「後ろは任せて~」
「任せよう!!」
サザーランドの砲撃は更に激しさを増す。
「オオオオオオオオオオオオオ!!!!! 消え去れイイイイイ!!!!!」
サザーランドの弾幕をくぐりながら、アズラエルも攻撃を撃ちこんでいく。
【拒絶術式】【改変・黒幻無情飛沫】
さっきの【大往生弾幕】とは違い、アズラエルの背後に大きな黒い穴が出現する。
穴から水滴が落ちる様にして前方に黒い弾が何十発も発射された。
弾に当たった兵器は、当たった箇所を中心に波紋の様にして黒い液体が広がる。そして、全体を覆うと、一瞬にして圧縮し小さくなり、小さな破裂音をさせて消滅する。
次々と直撃させ、サイズの大小関係無しに潰して消滅させていく。
アズラエルはこれを【飛行】で動きながら乱射し、向かってくるモノ、背後を取ったモノ、隙を見せたモノ全てに当てる。
「ほれほれどうしたどうした? この程度で終わりか!?」
アズラエルは不気味な笑みを浮かべながら、両手に【黒鎧】を纏い、突進して抉りながら撃墜数を増やしていった。
ディアーロ、セラフィム、アモンはデウス・エクス・マキナへと向かっていた。
巨大なせいか、いくら高速で接近しても、中々距離を詰められない。
「……妙だな」
アモンが呟き、迫りくる兵器達を薙ぎ倒しながら一時停止する。
「ここまで近付けないのは何かあるぞ」
セラフィムも一旦止まる。その背後から大勢の兵器達が押し寄せる。
「しつこい」
セラフィムが舌打ちしながらそう言うと、背中の翼を大きく広げる。翼は光り輝き始め、閃光となってエネルギーを解放する。
【楽園追放】
光が容赦なく兵器達に降り注ぎ、その身を焼き、溶かしていく。
セラフィムの十八番であるこの魔術は、【固有概念魔術】と呼ばれる独自の魔術だ。セラフィム自身が自身の【固有魔術】を改良し、ディアーロの様に概念化させた。
効力は光を浴びた敵を溶解させる。どんな環境であろうと原形を留めなくなり、ドロドロの液体と化し、最終的には蒸発して消滅する。高温でも反応でも無い、そういう物だと決定されているのだ。
兵器達も例外ではなく、光を浴びたモノは次々と溶解していき、消滅していった。
「ふん、他愛もない」
「……小細工だったか」
アモンが【解析】を使ってデウス・エクス・マキナを調べる。
「ディアーロ、叩き壊せ」
「いいだろう」
ディアーロは拳を構え、正拳突きを放つ。
突きはデウス・エクス・マキナの手前で直撃し、波紋を起こして拡散してしまう。これにはディアーロも驚き、眉をひそめていた。
「……なるほど、時空を一つ挟み、そこへ偽の存在を投影して接近も攻撃も許さなかったわけか。最初の魔王の攻撃で学習していたようだな」
ディアーロはもう一度正拳突きの構えを取り、そこから更に腰を落とし、拳を後ろへ下げる。呼吸を整え、ディアーロは深く溜めた一撃を放った。
『黄金獅子流奥義・断空割り』!!!!!
目にも止まらぬ一撃が、視認できない時空の壁を殴る。
さっきと同じ様に波紋が伝わり、その後、時空にヒビが入り、崩壊を始める。
崩壊した先に、デウス・エクス・マキナの本体が再び現れた。
『断空割り』は本来対異空間先対象用の技だが、応用して今の状況を打破するために少々改良し、時空の壁を破壊するために対象を変更した。
本物のデウス・エクス・マキナの姿を捕らえたセラフィム達は、そのまま本体へ突撃する。
「このまま取り付くぞ!!」
セラフィムの【楽園追放】で道を切り開きながら、デウス・エクス・マキナへ接近する。
一方魔王とサクラは、他の者達よりも多くの兵器が押し寄せ、デウス・エクス・マキナに近付けまいと躍起になっていた。
周囲は兵器達で先が見えなくなる程敷き詰められ、絶え間ない攻撃が襲い続ける。
魔王とサクラは【防御結界】を張り、全ての攻撃を防いでいた。
「近付けさせまいと押し寄せてきたか」
「いかがいたしましょうか?」
サクラの問いに、魔王は不敵な笑みを浮かべ
「一点突破だ」
「はい!!」
魔王とサクラは最高速度で兵器の大群へ突撃した。
魔王はアーティラ、サクラは桜花輝嵐を構える。
『一振千斬』!!!!!
『一振百斬』!!!!!
千と百の斬撃が次々と兵器を切り裂き、進むべき方向を切り開いていく。その速度は落ちず、まるで一筋の光の様に突き抜けて行った。
デウス・エクス・マキナの頭部目掛けて直進し、セラフィム達が時空の壁を破壊したのと同じタイミングだったため、難なく近付けた。
だが、敵は惑星サイズ。そう簡単に取り付かせてくれはしない。
デウス・エクス・マキナのあちこちから大型の兵器が出撃し、魔王とサクラに向かってくる。サイズは10mもある鳥型と蛇型だ。どちらも口からビームを吐いて攻撃してくる。
魔王とサクラは回避しながら接近する人型兵器を斬り倒し、接近し続ける。
襲い掛かる兵器達に、サクラは刀を振り上げた。
「どきなさい」
『桜花剣舞・落涙枝垂桜』
刀を振り下ろしたのと同時に、サクラの頭上から大量の花弁型のエネルギー弾が、豪雨の如く降り注いだ。
兵器達は、容赦なく降り注ぐ花弁に飲み込まれ、揉まれる様にして粉砕された。
花弁は無尽蔵に溢れかえり、次々と飲み込んで粉砕と破壊を繰り返す。
「魔王様!」
「分かっている!!」
魔王は溢れかえる花弁の上を滑空しながら、デウス・エクス・マキナの顔面に向かう。
デウス・エクス・マキナも魔王が接近してくることに危機感を感じ、目と口から大量の破壊光線を発射する。自身が作り出した兵器を巻き込んでもお構いなしだ。
しかし魔王にはあまりにもお粗末な攻撃であり、隙だらけで全く当たる気配が無い。
(妙だな。的を絞る位容易であるはずだろうに)
魔王の疑念はすぐに解決された。
何故なら、魔王目掛けてデウス・エクス・マキナの両手が、虫を叩き潰すかのように迫っていたからだ。
ここまで気付かなかったのは、時空の壁で隠蔽していたからだろう。
魔王は回避を試みるが、破壊光線が邪魔で回避ルートが無い。
(そういう事か)
魔王が納得している間に、デウス・エクス・マキナの両手が叩かれた。衝撃が周囲に伝わり、兵器達を吹き飛ばしていく。
「お父様!!!!!」
サクラの叫びが、宇宙へと木霊した。
お読みいただきありがとうございました。
次回は『八天開眼』
お楽しみに。
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