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デウス・エクス・マキナの星


敵は星に



 魔王達は敵を退け続け、デウス・エクス・マキナがいる惑星へ降り立つ。



 惑星自体そこまで大きく無いが、大気圏は無く、ただただ無機質な構造物で覆われた地面が広がっていた。所々光が見えるが、工場の連絡用の様な物だけで、生物が暮らしている様子は一切ない。


 魔王は『千里眼』で罠が無いかを透視し、安全を確保して着陸する。七つの冠達も続いて着陸した。周囲を見渡すが、夜の様に暗い空、無機質な構造物で覆われた大地、冷たい空気だけしか見当たらない。


「何だ、何もないぞ?」


 セラフィムは【探索】が使えないのを確認し、目だけで周囲を探す。


「着陸地点からは近いのか?」


 アモンの質問に魔王は視線を向け


「ここから5000㎞先だ。下にだがな」


 サクラは下を向く。


「なるほど、惑星の一部ではなく、この惑星そのものが敵のプラントというわけですね」

「そうと分かれば我の出番じゃな」


 アズラエルは手をポキポキ鳴らしながら拳を振り上げる。


「身体から数m以内なら半減程度で済む。ならばこれじゃ」


 

 【拒絶術式】【死屍流転】



 振り上げた拳に長さ2mの黒いドリルが生成され、高速回転を始める。


「ふん!!」


 アズラエルはドリルを地面に向かって突き刺した。


 ドリルで刺した場所を中心に、構造物の大地に大穴が広がっていく。穴は直径1㎞にもなり、一回で10㎞以上の深さまで抉ってみせた。


「ざっとこんなものじゃろう」

「……だが、中に入る必要性は無くなったようだ」


 魔王がそう言って上を見る。


 夜の様に暗い空が更に暗くなった。


「? 何じゃ?」

「ああ、そういう事か」


 サザーランドが上を見て理解した。アズラエルも見上げてその存在を目の当たりにした。


 

 そこにあったのは、サザーランドよりも遥かに大きい手だ。



 手は魔王達を襲うように落ちて来る。


「サザーランド、ディアーロ、行けるな?」

「問題無い」

「無論だ」


 魔王、ディアーロ、サザーランドは【飛行】で手に向かって飛び立つ。


 亜音速まで加速し、巨大な手と数十秒で激突する。


 激突の衝撃で轟音と衝撃波が発生し、アズラエル達のいる場所まで振動が伝わった。


 ぶつかり合った魔王達は、衝撃の反作用で構造物の大地まで吹っ飛んだ。手もまた大きく仰け反るようにして上へと戻って行く。


 魔王達は何とか宙で態勢を整え無事に着地していた。アズラエル達は何百㎞も離れた魔王の下へ飛んで来た。


「ご無事ですか?」


 サクラが魔王の傍まで来て安否を確認する。


「問題無い。今出せる全ての力でぶつかったつもりなのだが、それでも傷一つ付かないとはな」

「我の概念攻撃も通じていなかった」

「儂の強化した体当たりも通じてなかった。中々手強いぞ」


 感想を言っていると、地面が大きく揺れ出した。同時に、地面のあちこちが割れ始め、変形を始めた。


「全員退避だ」


 魔王の合図で全員が【飛行】し、割れていく大地から脱出する。魔王達は上昇を続け、惑星だった物から離れていく。


 魔王は振り返って惑星の姿を確認する。


「なるほど。だから敵の兵器が追って来なかった訳か」


 

 惑星は球体を止め、超巨大な人型兵器へと姿を変えていた。



 その姿は禍々しくも神々しい 意匠をしていた。構造体の大地は全て超巨大兵器の肌となり、背中からは悪魔と天使の羽を10枚も生やし、目と牙は全てを呪っているかのようにおどろおどろしく、あらゆる業を煮詰めた様な存在が出来上がっていた。



 魔王達はその超巨大兵器の正体に確信を持った。


「これが、デウス・エクス・マキナ……」


 サクラが呟き、その巨大さに驚きを隠せずにいた。


「あらあら~……。これは大きいわね~……」


 シャイターンも驚きで呆然としていた。



 しかし他の者達は違った。



「これはこれは、破壊しがいがあるのお」

「奇遇ですねアズラエル。私もそう思っていたところです。可能であれば解体していくらか資料にしたいですよ」

「解体には興味は無いが、これだけデカければちょっとやそっとじゃ死なないだろう。全力の出しがいがある」

「ハッハッハッハッハッ!! 少々制限はあるが、倒しがいがあるのは確かだ!!」

「我が黄金獅子流の試し打ちには丁度いい。年甲斐もなくうずうずしているな」


 アズラエル、セラフィム、、アモン、サザーランド、ディアーロは不敵な笑みを浮かべ、突撃する気満々だった。


 一方で、魔王は【並列思考】【未来予知】【仮想演習】を繰り返し、有効打を導き出す。


「さっき通じなかったのは、ハイネス因子以外にも他の世界から未知のエネルギーを吸収、放出していたからか。ならば」


 魔王は【収納空間】から一本の剣を取り出す。


 剣身は虹色に輝く両刃、柄は金色に輝いており、少々派手な剣だ。


「抜剣、『星願成就・アーティラ』」


 魔王がアーティラにエネルギーを流し込むと、アーティラの虹色の輝きが増し始める。


 魔王は剣を上に振り上げ、両手で握り、全力で振り下ろした。




 『ハイネス型戦闘術:剣式・空撃』!!!!!



 

 魔王の新たな一閃は宇宙を飛び立ち、空間を切り裂きながらデウス・エクス・マキナの腹に直撃する。



 デウス・エクス・マキナの体で爆発が起き、発光する。


 爆発が晴れると、デウス・エクス・マキナの体に傷ができていた。魔王の攻撃が通じたのだ。


 魔王は剣を何度も握って感触を確かめる。


「全てのエネルギーとの相性が良いのがこの剣だったとは、驚きだな」


 一番目を丸くして驚いていたのは、サクラだった。


「あ、あの。それは、確か、私が小さい頃に魔王様にプレ、献上した剣……」

「覚えていたか。小さいと言ってもあの時の年齢は15だったではないか」


 サクラは恥ずかしそうに俯いてしまった。隣にいたアズラエルは励ますように、半笑いでサクラの肩を優しく叩く。


 そんな事をしている内に、周囲は敵の兵器達で囲まれ、デウス・エクス・マキナ自身も動き始めた。


 魔王は作り上げた術式を【念話】で七つの冠全員に渡す。


「これを使えば問題無く今までの術式が使える様になる。全員思う存分戦え」

「「「「「「「仰せの通りに!」」」」」」」


 七つの冠達は術式を発動し、制限されていた力が元に戻る。


 魔王はマントを翻し、剣をデウス・エクス・マキナに向ける。


「目標、デウス・エクス・マキナ!! 蹂躙せよ!! 蹂躙せよ!! ここからは我らの独壇場である!!!」



 




お読みいただきありがとうございました。


次回は『宇宙を駆け、蹂躙せよ』

お楽しみに。


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