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混沌の宴

試験の翌日。晴れて丙級冒険者! ということで、アリアさん、フローラさん、ミーナさんを含めた6人でパーティを組んで、森の深層に遊びに行く事に。したかったんだけどなぁ。


ギルドにつくなりギルマスに捕まって依頼を押し付けられたっていうね。


何でも昨日の甲級冒険者が受ける予定だった依頼を変わりに受けてほしいとかなんとか。


一応俺たちのパーティは乙級扱いらしいので問題無いとか。


まぁ別になにかこれ!っていう予定があるわけでもなかったからいいんだけどさぁ……。


「何かやつれてますけど大丈夫ですか?」


「睡眠時間は足りてるんでしっかり飯食えば多分なんとか」


「リリィかえ? ヘレンかえ?」


「リリィですけど、目が赤かったんで多分同時です……。頭のお花ってあんな使いみちあったんですね……」


「ほう、楽しめたか?」


「楽しむ間もありゃしないですよ。アレはヤバいです。あんなもんに慣れたら普通の女抱けなくなりますよ……。


ものの10分ほどでミイラにされるかと思いましたよ……」


なお、10分後には気を失って、気づいたら口に薬草がいっぱい突っ込んでありました。


今は冒険者ギルドに集合してひとまず朝食中。


俺は……、消耗した体力を回復すべく、試験対策に作ってもらったあまりの、真っ青で食欲減退する見た目の麦粥食ってる所です。


なんていうか、青1号でも放り込んだご飯みたいな見た目です。


「朝っぱらからそんなもん食ったら元気が出てしかたないじゃろ」


股間に拳持っていって親指立てるのやめてもらっていいですかね。


っていうか、その見た目でなんの違和感もなくその下品なジェスチャーするのはどうかと……。


ほんとに見た目ロリのエロオヤジなんだよなぁ……フローラさん。


「頭の花が散って実がついてますね……?」


「実の色が金色に見えるのはきっと光の加減ですよね。本当に金色だったら売れば一財産ですよ……」


「ミーナよ、誰がどう見ても金色じゃ。まぁ心配せんでも誰も手なんぞ出さんじゃろ。レベル1にされたくも無いじゃろうし、リリィにとってはサトルとの間の愛娘じゃぞ?


ぶち殺されるぐらいで済めばいいがの?」


「えぇ……。愛娘て……」


「話をきく限り、肌を重ねて愛を確かめ合うなんて言うより、遊びなしのガチ子作りじゃしのぉ。多分あの金色の実を植えたらお主とリリィの子供が生えてくる。


それにしてもマンドレイクは実の色が個体ごとに違うが……、金の実だったらどんな子が生えてくるだろうのー?」


「調合や錬金の素材としてかなり優秀ですから後先考えない人も居そうですけどね。


生まれて来る子は……災害級で済めばいいですねぇ……」


そういってミーナさんが遠い目をする。えぇ……、そんなヤバいの……? まぁ、リリィの子だし、きっとだいじょうぶでしょ。


そういうことにしておいてください。


「まぁそれはさておき、パーティの手続き、終わりましたよ」


ミーナさんも現実逃避したいのか、話題が変わる。


パーティ構成結構バランス取れてるんだよなぁ……。ミーナさんフローラさんが前衛。アリアさんが斥候。俺は中衛~前衛で兼荷物持ち。ヘレンが後列。VIT後列のリリィが殿。


アリアさんも1日でなんかすっかり馴染みました。まぁ、元冒険者らしいしこういうノリは得意なのかもしれない。


でも、服装はメイド服のままだし、ごく自然に料理持ってきてくれたりするあたり流石メイドさん。


「パーティ名はどういたしますか?」


「闇鍋とかどうでしょう? みんな種族がバラバラでごちゃまぜなんで」


「もうちょい格好いい感じにせんか? そうじゃのー、ごちゃまぜ……って事なら、混沌、『魔女の釜』とかどうじゃ?」


「『混沌の宴』なんていかがでしょう?」


「パーティ(チーム)とパーティー(宴会)をかけてるわけですか。いいですね、それにしましょう」


まぁすっごいこう、厨二臭が漂ってくるけど、他のパーティも名前がある所はそんなもんだしなぁ……。


別に俺自身は黒歴史になるほどの中二病は患ってなかったからダメージは少なめだし。


まぁ、それなりには患ってましたけどね。


朝食を済ませて『混沌の宴』でパーティ登録を行い、改めて依頼の確認をする。


「で、混沌の宴の初依頼になるのはこれじゃ」


「ランドドラゴンの討伐ですね。ランドドラゴンはまぁ……。普通の冒険者からすると強敵……というか面倒くさいですね」


「強敵」


「ですが、混沌の宴の相手としては、非常に楽に狩れてしまうカモです」


よくあるファンタジーでランドドラゴン、地竜といえば、いわゆる4足歩行のを行う、翼の無いタイプのドラゴンで、恐竜かデカイトカゲ、というものもあるが、デカイ亀の場合もある。


ミーナさんの解説する所によると、この世界の場合は後者。バカでかい亀さんらしい。


火を吹くし、デカイし、クソほど硬いしでまぁまずもって冒険者が狩りたがらない。


「どうにでも料理出来るのぉ」


「私の出番はなさそうですけどね」


そういって苦笑するのはアリアさん。確かに、暗殺者系のアリアさんはデカイ相手は苦手かもしれない。


「場所はブラボー平原の奥の方、街道の方に来かねないから早めの討伐を希望……か」


「私の仕事は斥候になるでしょうけれど、平原であればランドドラゴンは遠くから見えるのであまり斥候の意味が無いんですよね。


茂みに隠れた魔物に無駄に遭遇しないよう気を使う程度ですか」


「そうなりそうですねぇ」


「まぁ、幻覚系の魔法を使えるので、軽い足止め程度なら可能です」


「まぁ問題は、ランドドラゴンをどうやって料理するかじゃの」


「リリィが叫ぶ?」


フローラさんの発言にリリィがカクンと首をかしげて問いかける。可愛いなぁ……。


「それでもよい。候補としてはそうじゃな、土魔法で下から突き上げてひっくり返し、ワシとサトルで腹側を叩き割る。とかもいいじゃろうの。


まぁ奴自身も魔法を使うし、自力で起きてきたりもするんじゃが、リリィが根を張ったら干渉できんようになるじゃろうし、ひっくり返ったままじゃろうな。


あとはミーナかアリアが顔の前をうろちょろして気を引くぐらいかの。


もしくは、他の魔物にちょっかいを出されんように周囲警戒になる」


「なるほど……。でもリリィが叫んだら終わるんですよね?」


「多分終わります。呪いの耐性を持ってる相手って、せいぜい悪魔かアンデットぐらいのものなので」


なお、ミーナさんとフローラさんは、耳栓越しとはいえ何度もリリィの悲鳴を聞いたためか、呪い耐性が生えたらしく、喜んでらっしゃいました。


無効じゃないから相変わらず耳栓は外せないらしいけど。


「まぁ……、正直この戦い方を提案したのはワシの我儘じゃの。最近森で魔物をかき集めるのに走ってばっかりじゃから、たまには思い切りハンマーを振りたくての。それにじゃ」


そこで言葉を切って、机の下からハンマーを取り出す。頭のサイズが10キロハンマーの3倍ぐらいあって、柄まですべて金属の見るからに重そうなハンマーだ。


「昨日の試験の賭けでボロ儲けさせてもらったからの、サトル用に買ってきたから、せっかくだから使えればいいと思ったんじゃ。この前話しに出ておったミスリル合金製のハンマーじゃな」


「んー、やってみます? 危なくなったらリリィに叫んでもらう感じで」


「最初に私が叫べば足止めになるだろうし大丈夫かも?」


そういったのはヘレン。確かにヘレンの悲鳴って、物理的な威力もすごいけど、状態異常も強烈だからなぁ……。


「じゃあ裏返すのはリリィがやればいい?」


「なら、私とミーナ様は周囲警戒が仕事になりますね」


「それでメイン火力は俺とフローラさんと。でも良いんですか? 腹割っちゃって」


「腹側なら問題無いじゃろ」


話が決まった所で席を立ち、ランドドラゴン退治に向かうべく冒険者ギルドを後にした。

今回も最後までお読みいただいてありがとうございます。


もしよければ評価、感想等いただけると嬉しいです。

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