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エル……フ……?

異世界生活14日目


間1日おやすみを置いて、今日も森に繰り出す事に。


今日はフローラさんとミーナさんとパーティを組めるように、ランクアップのための大物目当てで森の奥の方へ。


一応冒険者ギルドの規定では、パーティを組めるのは最大ランクの人の一個下までだそうなので、目標は丙級。


なお、一昨日の報酬については5人でキッチリ等分しました。


今回はフローラさんもミーナさんも釣りでキッチリ仕事をしてくれたので、報酬はケチりませんとも。


そしてリリィも一日で戊級冒険者になりました。はっきり言って相当な数のオークを狩ってるので、3人共丙級までは後少しだとか。


なのでもうひと押しを何とかするのに森の奥へ。


今日は保護者無しでぶらぶらしてます。ただまぁ……


「えい」


「やー」


連れの二人の魔法がひどい威力なんで俺の仕事無いんですけどね。


モンスターの足元から土の槍が出てきて串刺しになったりとか、首が真空波?で吹っ飛んだりとか。


しかも詠唱とかしないのな……。


一応クロスボウ10本持ってきたんで1本は手に持ってるんだけど、片付けても良さげ。


仕方がないので、掲示板にあった森の中層より奥で手に入る薬草を探しながら歩いてます。


「おとーさん、ヘレンお姉ちゃんが叫ぶよー」


「いいぞー」


流石に耳栓して森を探索するわけにも行かないので叫ぶときは言うようにお願いしてある。


「キャアアアアァァァ!!」


耳を塞ぐとヘレンの絶叫。こんな雑な連携で良いんだろうか。まぁ回ってるからいいか。


ため息をついている所に、ポトリと、上からなにか落ちてきた。


「小人?」


落ちてきた『なにか』は、人の形をした、手のひらサイズの小さな女の子だった。


体長……30センチぐらいかね? 羽も無いからフェアリーじゃないだろうけど、多分。耳が少し尖ってるかな?


葉っぱっぽい意匠の緑色のワンピースに、長い薄く緑がかった髪をこれまた濃い緑のリボンでポニテにしてる。


人間サイズだったら相当な美少女だなぁ。そこそこいい胸してらっしゃいますし。


「あ……、エルフさん……」


「あぁ、これエルフなんだ……」


なんかイメージと違うなぁ……。


「回復するよ」


ヘレンに回復魔法を使ってもらい、ゆさゆさと軽く揺さぶると、ゆっくりと目を開き、こちらを見て非常に驚いた様子で飛び退く。


「……すごい組み合わせね、人間にバンシーにマンドレイクなんて」


「お騒がせしてます」


「ほんとよ! 死ぬかと思ったじゃない! 全くもう!」


ムキーって感じで全身で怒ってますよジェスチャー。


……してるみたいなんだけど、サイズのせいかイマイチ迫力ないっていうか、ただ可愛いだけっていうか。


ヘレンもなんだか嬉しそうにその様子を見てるし。


「申し訳ないです。お詫びといってはなんですけど」


そっと、空間収納からクッキーにジャムの乗ったお菓子を差し出す。


買ったはいいけど、俺には甘すぎて今ひとつだったんだよね……。


「あ、甘いもので買収なんてされないんだからね!」


そういいながら受け取って食べるんっすね。


っていうか器用だな、魔法できれいに一口サイズに切ってもぐもぐと早速食べてる。


クッキークズが散ったり、ジャムが飛んでいったりしないのがすごい。


「うわぁ、こんな甘いの久しぶ……ハッ!?」


あ、これは落ちましたわ……。2コマ即落ちっすか。


「まだ狩りをやる予定なんだけど、見かけたら耳を塞いでくれると助かるかなーって」


「リリィ達は数が多いと叫ぶのが一番だから……」


「ん、分かった、他の子にも伝えとくわ。ただし、たまにはお菓子持ってきなさいよ!」


「かしこまりました、お嬢様」


小さなお嬢さんに追加で普通のクッキーが入った袋を手渡す……というか、エルフさんにはでかい袋なんで、横に置く。


「ありがとう!」


ちゃんとお礼言ってくれるのね。エルフさんはそのまま、袋と一緒に魔法で木の上へと飛んでいき、姿が見えなくなった。


「おとーさん、次いこー」


「手頃なのが居るといいんだけど……」


「まぁ、もう少し歩いてみるかー」


その後、しばらく森の中層をうろついてみた結果、トロールとビッグベアを1匹ずつ狩る事が出来たので撤収する事になった。


しかしまぁ、ヘレンとリリィの攻撃方法の進化が止まらないなぁ……。


手に風魔法を剣のように纏わせて手刀で首落としてみたりとか、身体から生えたつる草使って縛り上げてみたりとか。


色々試行錯誤してるようで何より……。


俺? 俺は相変わらずクロスボウとハンマーです。主に不意打ち警戒が仕事だからあんまり攻撃には参加してないけど。


……魔法銃買おう。クロスボウじゃそろそろ火力が追いつかん。トロール相手だと流石にキツい。


━━━━━━━━━━━


ギルドの酒場にやってくると、そこにはジャンさんが居たので、挨拶ぐらいはするかとそちらに足を向ける。


ヘレンとリリィはたまには、ということでトロールとビッグベアを買取査定に出しにいってる。


毛皮を痛めたく無いビッグベアだけ空間収納に入れて、トロールは足を掴んでずりずり引きずって帰って来ました。


ほら、対外的には空間収納の容量はショボい事になってるから……。


「お疲れ様です」


「おーう、おつかれさん。中層行ってきたって? 何も変わりないか?」


「変わった事といえば……、エルフに会ったくらいですかね?」


「エルフ? エルフってどっちだ?」


「どっち?」


ジャンさんの言うどっち、という意味がわからずに首をかしげる。


「んー、あー、小さかったか?」


「はい」


「じゃあ、昔エルフだな。エルフにゃ二種類いて、人間サイズの『エルフ』と、手のひらサイズの『昔エルフ』ってのが居る。


なんで人間サイズになったかとかはしらねぇけどな。ていうか森に昔エルフ居たのかよ、全然知らんかったわ……」


「あぁ、そうなんですか……」


エルダーエルフとかエンシェントエルフじゃなくて昔エルフなのか……。まぁ通称なのかもしれないけど。


「奴らはイタズラ好きだし、フェアリーに近い。魔法を使わせたら右に出る奴はいねぇが、フェアリーみたいな尖ったステータスだったはずだ。


エルフは弓と魔法のハイブリッドが主流で、ステータスは人間よりでマイルドになってるらしいな。


ちなみに、繁栄してんのは昔エルフって話しだぜ?」


「へぇ、意外です」


「そりゃお前、物理的に『使えない』から狩られる事が無かったんだよ。


そもそも奴らクッソ強いし。狩りにいったら返り討ちだ。


素のエルフは一時期奴隷狩りにあったから、今でも人嫌いの部族があるらしい。裏じゃいまだにあるらしいしなぁ……。


まぁ昔エルフが繁栄してるっつっても、どこに何人住んでるかなんて、本人達でも知らねぇと思うがな。興味があるとも思えねぇし」


身も蓋も無いなぁ……。


「ちなみに、相当な曲者だが、昔エルフとフェアリーだけの特級冒険者パーティなんてのも存在する。俺は見たこと無いがな。


色々と伝説は聞いたことがあるぞ。街滅ぼしたとか。


確か……、領主の依頼断ったら街出禁にされて、狩りから帰ってきたら、門から入れられないって言われて、


じゃあ持ってきた獲物どうしようか? めんどくさいし置いていこう、って、


シメてない高ランクモンスター街門前に放置してったらしい。後は目を覚ました魔物が大暴れ、街はメチャクチャ」


「怖い話しだなぁ……」


「アイツらに限らず、フェアリーと昔エルフは、強いが飽き性でイタズラ好きだし、面倒くさがりだし、曲者揃いなんだよ。


その時楽しきゃいいって感じで、報復を考えずに下手すりゃ王侯貴族さえイタズラのターゲットにするからな。


パーティに入れるなら気をつけろよー?」


「今の所その予定は無いですけど、せいぜい気をつけます」


「ソレよりお前、あの子、この前のマンドレイクだろ……? なんでもう出来上がってんだ?」


ジャンさんの視線はヘレンと一緒に受付の人と話すリリィへ。


顔が変わってないからすぐわかるか。


「毎日土を変えて水と魔力をやってただけなんですけどねぇ。まぁ魔力と一緒に余分な物も大分送っちゃいましたけど……」


「ほー、で、具合は?」


「エグいです。何故かまだ叫ぶんで、ヘレンと2人で殲滅力がひどいです。中層の敵でもバタバタ倒しますし……」


「バッカお前そっちじゃねぇよ、アッチの具合だよアッチ」


「あぁー、それはですねぇ」


「おとーさん、報酬もらったよ!」


受付で話し終えたリリィがトテトテとこちらに走り寄ってきて、俺の隣に来るとにこーっと笑う。


見た目は普通に大人といって差し支えないのに、どうしてこう仕草がロリロリしいのか。


豪快なフローラさんと中身入れ替えれば丁度よくなりそうだなぁ。……フローラさんだとイメージ違うか。


とりあえず撫でとこう。


「…………。あぁ、納得した。すごい納得した。こりゃ抱けねぇわ。いや背徳感あってこれはこれで……。


まぁ頑張れ、おとーさん。しかし大事にしすぎたのかね? 親認定されるって」


「まだこんなでかい娘が居る年じゃ無いはずなんですけどねぇ」


「まぁ、俺はボチボチ宿に戻る。そいじゃあな」


「よーし、俺らも帰るとするか」

━━━━━━━━━━━

<<学生さんの会話の一幕>>


「兵士の人にエルフ、居るんだな」


「なんだ、今頃気づいたのか」


「俺らと絡み無い部署の人だったから知らんかったわ」


「エルフといえば、この世界には昔エルフとエルフ、二種類のエルフが存在するそうだ」


「へぇ? ハイエルフとかダークエルフじゃなくて昔エルフなのか」


「ソッチ関係も居るらしいが、まぁこっちはエルフとしてひとくくりにされてる。


さて、ここでも俺等の世界との関わりが何となく見えるんだが、俺らがパッと思い浮かべるエルフってのは、トールキン氏が定着させたとされるイメージで、それ以前にあったエルフのイメージは全く違う」


「そうなのか」


「エルフのイメージはまぁ、お前さんも知ってるだろうし多くは語らない。


古いエルフのイメージは、森に住んでいるのは共通だが、手のひらサイズの小さな妖精で、男は爺、女は子供の姿でいたずら好き。


パンやミルクを盗んだり、果ては赤子や家畜を連れ去ったりすることもあるという。


木の穴に王国があったりするらしいが、外に出て草や木の葉の上で寝てみたりとまぁ自由な性格だ。


また自分の領域を侵そうとするものへ、当たると病気になる石の鏃を飛ばしてきたりする」


「ほんとにいわゆる『妖精』みたいなイメージなんだな」


「ちなみにこの世界の昔エルフは強烈な魔法の使い手だから、絶対敵対してはいけないとされる」


「イメージ的には?」


「ゲーム終盤に覚えるレベルの全体攻撃魔法が詠唱無しでバンバン飛んでくる」


「もう昔エルフが魔王退治やれよ……」


「やる気出せばできるだろうなぁ、やる気出せば。昔エルフがやる気だしたら、簡単に世界取れるだろうって話だし」


「おおこわ……。で、やる気出るの?」


「出ないだろうなぁ……。自由らしいし」


「普通のエルフと昔エルフってつながりあんの?」


「さぁ、そこまではわからん。そもそもが別種であるとか、昔エルフと人間の恋人が魔法にモノを言わせて無理やり交わって出来たとか諸説あるらしいけどな。


なお、昔エルフやフェアリーは木のマタやお花から生まれるそうだ」


「oh...ファンタジー」

今回も最後までお読みいただいてありがとうございます。


もしよければ評価、感想等いただけると嬉しいです。

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