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生首を手に入れた!

異世界生活7日目。


今日は冒険者活動はお休みです。……と、言いながらも来てる所は冒険者ギルドなんですけどね。


ヘレンは、ミーナさんとフローラさんと一緒にお買い物にいくそうだ。


発端は、昨日酒の席で、ヘレンが服を一着しか持ってない事が発覚。


というか現在着ている服さえ、魔力を編んで自分で出した代物でまともな物じゃないそうな。


まぁそこから当然のように服を買いに行く流れになったのだ。


え? 俺は行きませんよ。女性3人の買い物についていくとか勇者でしょ。


と、言うわけでギルドの訓練場でクロスボウで射的したり魔法を練習したりと訓練中。


他にやることも無いしなぁ……。


「よう、やってんな」


なんて言って現れたのはジャンさん。何か妙に汚れた感じで、今日はサンタクロースが持ってるようなデカイ袋を担いでいる。


まぁ、あんな真っ白な袋じゃなくて茶色くて、使い込んだ形跡のあるボロい袋だけど。


「今帰りですか?」


「そうなんだよ、森の奥の方まで行ってきたから閉門に間に合わなくてな。野宿するハメになった」


「で、その収穫が担いでる袋っすか」


「おう、お前に土産だ」


そういって、袋を地面に置き、中に手を突っ込んで取り出したのは。


「キャアアアア!?」


「お前が叫んでどーすんだ」


生首だった。


「とうとう人殺したんですか!? ていうか俺屍体性愛者じゃ無いですよ!? しかも首だけだし!」


「人じゃねぇよ。よく見ろ」


言われた通りによくよくその首を観察してみる。


緑色の長い髪の、顔だけで判断するなら女だ。胴体がついていれば、腰までの長い髪だろう。


ちょっと可愛い感じのお姉さんに見える。花の髪飾りが頭について。んん?


この花と葉っぱの飾り、本物か?


「まぁ、マンドレイクだな。マンドラゴラが魔物化したもんって言われてるが本当にそうなのかはしらねぇ」


「でもコレ死んでますよね?」


胴体無いし。


「まぁ、確かに現状死んでる。魔法鞄にも入るらしいし。


さて、死人は生き返らないのが常識なんだが、こいつは例外なんだよ。


非常にアレなたとえではあるんだが。種イモみたいなもんなんだ」


「つまり?」


「土に植えて世話すれば胴体が生えてくるし、復活する。まぁ放置すると腐って完全に死ぬが」


マジっすか……。植物系モンスター半端ねぇな。しかしこれ植物なのか。触った感じは完全に人肌なのになぁ……。


ほっぺたがモチモチして触ってると気持ちいいです。冷たいけど。


「大事に大事に世話をしてやると、1~2ヶ月ぐらいで育って動くようになるらしいな。


大事に育ててやれば懐いてくれるし、大事にした分尽くしてくれるらしい。物好きな貴族はメイドにすんのに手ずから育てるって話しだ」


「しかし、これを育てるならデカイ植木鉢が要りそうですねぇ……。土は森から取ってくればいいですけど……」


「酒樽でいいんじゃねぇの? 人が入るサイズの奴。レベルが上がっていくらか空間収納デカくなったんだろ? もう入るだろ」


「あー、多分入ります」


しかし、そのサイズの酒樽にコレ植えるのか。……危機一髪な見た目だなぁ。


「目から上を土から出すようにして植えるらしい、あとは肥えた土と水と日当たりのいい場所だな」


「宿の庭に置かせてもらえるか聞かないとなぁ。酒樽は……、ギルドでもらえるかな?」


「タダじゃくれないだろうがくれるだろ。ちなみにソレもタダじゃないからな」


「土産なのに金取るんですか……。っていっても、物好きな貴族が買うぐらいだし、良いお値段するのかコレ……」


「まぁ、お友達価格のコレでいい」


ビシっと人差し指を立てるジャンさんに苦笑しつつ、空間収納から金貨を取り出し、ピンと弾いてジャンさんの方に飛ばせば危なげなくソレをキャッチする。


「まいどあり。アフターサービスだ、土を取りに森に行くんなら付き合うぞ? ってもヘレンちゃんが居るか」


「ヘレンは今日はミーナさんとフローラさんに連行されてお買い物に行ってますよ。何でも、今の服が魔力を編んだブツだから新しいのを買いに行くとか」


「あー……。それだと防御力は有るが魔法を消す系の効果を食らうと素っ裸になるからなぁ……。


王都周辺ならその手のを食らう事は無いと思うが、人間相手だと可能性有るからな」


そういう事情もあったのか。


確かに突然素っ裸になったら……。


…………。条件反射で叫び声を上げて俺の鼓膜が吹っ飛ぶ所まで想像出来たわ。


ミーナさんフローラさん頑張って可愛い服を買ってあげてください。


「ま、期待のビギナーサトルさんでも女の買い物に付き合う勇者にゃならんか。


女の買い物に付き合うと長いしキラーパス飛んでくるし荷物持たされるし下手すりゃたかられるし、良い事無しのイメージしか無い。


イケメン勇者は上手に捌くんだろうがなぁ。で、どうする?」


「樽買って行きますか」


ひとまず酒場に行って要らないデカイ樽を購入。元はエールが入ってたらしい。


片方の蓋をハンマーでもって叩いて抜き、ひっくり返して11ミリの木工ドリルで水抜きの穴をあける。


当然手回しでキコキコと。中央と四隅に穴を開け、土が無駄に流れないように、網を接着剤で貼って固定する。


「これで特大植木鉢の出来上がりっと……」


「しかし植木鉢でマンドレイクを育てるって聞いたことねぇけど、大丈夫なのかね? すげぇ勢いで土が痩せるって聞くが」


「マジですか……」


「そりゃ人間の胴体が生えて来るんだから、土も痩せるだろ。


庭に植えれば痩せる頃には小さいながらも手足が生えるから勝手に肥えた所に移動するらしいが」


「予備の樽と土も取ってこないとかぁ……。でも、特大って言っても高さ1メーターぐらいだから、最終的に地面に植え替えるハメになりそうだなぁ……」


サイズ的には200リットルのドラム缶ぐらいなんだよなぁ……。


「樽2つも入るのか?」


「腐葉土って軽いんで、デカイ袋に入れて担いで帰りますよ」

━━━━━━━━━━━


と、言うわけで森までやってきました。身体強化して駆け足で。


いやー、身体強化って偉大です。森までマラソンしても息切れしない。


ジャンさんも当然のように涼しい顔で走っている。


「マンドレイクは良いらしいぞ。猟奇的なプレイでウッカリをやらかしても、時間が経てば生えてくるから。


新しく生えるんだから当然処女だし、処女厨のサトルさんも安心って寸法だ」


「ちょ」


なんてことを言い出すんだこの人は。


「まぁ、冗談はさておき、冒険者活動につれて行って腕とか足とかふっ飛ばされても生えてくるっていうのは強みだろう。


人間だったら神殿の坊主にどんだけ取られるか……。というか王都の神殿に欠損修復出来る奴居たっけな……?」


森の浅い所で適当にダベりながら、足元に視線を落とし、土を調べる。


まぁ土なんて持ってかえる奴はそうそう居ないらしく、森の浅い場所でも足元はフカフカした良い腐葉土がとれそうだ。


「マンドレイクを従魔にしてる人って居るんですか?」


「見たこと無いなぁ……。一回首を切ると叫ばなくなるらしいし、弱いらしいから。薬効成分も落ちるらしいし。


でもまぁ、荷物持ちぐらいは出来るだろ」


「マンドレイクって何食べるんだろうなぁ。植えとけば要らないんだろうか」


剣先スコップ(武器屋で購入)で地面を掘り、横倒しにした樽に土を放り込んでいく。ジャンさんは俺の作業中の見張りだ。


……何か土を採取してるっていうより、死体埋める穴掘ってる気分だわ。


「普通にメシ食うって話しだけど、埋め戻したらどうなるかは知らない。試してみたらどうだ? 本人に聞いてもいいし」


「そうしましょうか」


樽一杯に土を詰めて、人の頭が入る程度のくぼみを作り、それにそっとマンドレイクの頭を置く。


……どっからどうみてもさらし首にしか見えねぇ……。


これで、目から下を埋めると……。多少マシになったようなならないような……。


宿に置かせてくれるかマジで不安になってきた。


「しかし、採取中の見張りについてきたものの、なんにも出なかったなぁ」


「この浅いところでそうそう出てたまりますかって……。それに樽一杯に土を詰めるっていってもそんなに時間がかかるもんでもないですし」


ひとまず、マンドレイクの鉢植えを空間収納にしまい、少し場所を移動してデカイ袋に土を放り込む。


でもこれ、身体強化がなかったら絶対途中でヘバるんだろうなぁ……


「でもお前あれだろ、大量に狩ったんだろ?」


「音と血でおびき寄せて待ち伏せ狩りですけどね。ヘレンが居て数が来ても殲滅するアテがあったんでできたことですけど。


そういえばジャンさん、素朴な疑問なんですが」


「ん? なんだ? 俺の初体験なら名前も知らねぇ娼婦の姉ちゃんだぞ」


「違いますよ!? いえね……、今もなんですが、簡易ステータスを表示させっぱなしで行動するようにはしてるんですけど……。


魔法使った時ってLPとか減るもんですかね?」


「いや? SPはともかく基本的にLPってそうそう減らねぇよ?」


「何か身体強化にせよ魔法にせよ、使うとMPもSPもLPも減るんですよねぇ……。


それとメシ食った後ってなぜか現在HPとかの数値が100%超えるんですけどコレも普通じゃないんですかね?」


話すとジャンさんは顎に手を当てて首をかしげながら


「制御系スキルが無いから要らないもんまで消費してんのかね? 俺にも詳しい事はわからん。


メシを食ってのソレは……、多分『無芸大食』の所為だと思うぞ?


全然別種のスキルだが、『食い溜め』ってスキルがあって、余分にメシを食うとHPとかが100%を超えるらしい。


コレもユニークスキルだから、又聞きの怪しい情報だけどな。ユニークスキルって基本的に不条理っていうか理不尽なモンだからなぁ」


「俺のスキルもいい方向に理不尽なら良かったのになぁ……」


俺は理不尽にもスキルが一切生えない事を呪い、ため息を付きながら、袋に土を詰め続ける。


「でもお前、そのまま強くなったら、ダンジョンのスキル封印領域で無双できるんじゃねぇの?


なにせ器用な指先なんかの基礎スキル含めて全スキルの効果が一気に切れるから大概まともに動けなくなるらしいが、お前さん関係無いだろ」


「あぁー……。一縷の望みを賭けてそのうち挑戦してみようかな……。ちなみに普通の冒険者はスキル禁止領域はどうやって超えるんです?」


「乙級以上の高ランク冒険者は、財力に物を言わせて、消耗品大量投入でゴリ押しするって聞いたなぁ。そりゃもうゴリゴリに。


荷物持ちを何人か雇って消耗品をてんこ盛りに持たせて行くらしい。それに見合うリターンが有るかはわからんけどな。


大赤字出したって話しも聞くし分の悪い賭けではあるみたいだぞ?


ついでに言えば種族特性は消えないから、ヘレンちゃんも活躍できるぞ。


……ダンジョンなんかでバンシーが悲鳴上げたら大惨事になりそうだけどな」


反響で攻撃力がドンと上がりそうですね。俺も耳血流してぶっ倒れるハメになりそうだ。


「俺のパーティって、護衛依頼は受けられないですね。護衛対象が真っ先に耳から血を流してぶっ倒れる事になりそうです」


「違いないな。でも名前が売れると護衛してくれっていう指名も来るぜ? 乙級から上はお貴族様から指名があったりするらしいしな」


ヒョイと肩をすくめるポーズをするジャンさん。他人事っすね……。そう言えばジャンさんは乙級に上がらないのかなぁ


「うわぁ、面倒くさそう……」


「乙級へは試験もあるが、試験するまでもない実力があると判断されたら勝手にランク上がるしなぁ。


まぁ、フェアリーみたいに森に住めばお貴族様も怖くないんじゃねぇ?」


「フェアリーってそんなに怖いもの知らずなんですか……」


「だってアイツら森で住んでるから税金云々関係ねぇし、街の門を通らず城壁飛び越えて勝手に入って勝手に出ていくし、


寝床は木の(うろ)がありゃ上等で、メシはりんご一個でもありゃ腹いっぱいだ。


街に住めなくしてやる、ったって、お好きにどーぞでお終いだぞ? アイツらが街に来るのは娯楽メインだからな。


定宿もねぇから呼びにもいけねぇ、森の住処はほとんど誰もしらねぇ、これでお貴族様が怖いわけがないんだよなぁ……。


お貴族様がブチ切れたとしても、森に火でもかけたらその森のフェアリーに加えてエルフが敵に回ってとんでもないカウンター食らうのがわかりきってるからやれないしな」


あぁ、確かにそりゃお貴族様も怖くないわ……。だって影響力の外側だもん


ランクがあがったら俺も森に住むのもいいかもしれないなぁ……。


そんなとりとめもない事を考えながら、一杯になった袋の口をしっかりと縛ってドッコイセと掛け声とともに担ぐ。


「用事も終わったのでもどりましょう」


「おーう」

今回も最後までお読みいただいてありがとうございます。


もしよければ評価、感想等いただけると嬉しいです。

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