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【余話】 望まぬ同居人

多くのブクマと評価に感謝して余話投下します。




「うわあ」


 私は思わず部屋に入って声を出してしまった。


「どう?いい部屋でしょ?」


 部屋のよさで声を出したと友人は勘違いして、そう言った。


 実家から通っていた友人が、やはり通学が大変だからと大学の近くにアパートを借りた。そこに今日は招かれて、3人でプチ女子会をすることになっていた。


 そして部屋に招き入れられて驚いたのだ。


 部屋に3人のおっさんが座ってこちらを見ていたのだ。


 こちらをと言っても要するに彼女を見ているのだ。


 しかも3人が口をそろえて「おかえりなさい」と言ったのだ。

 肝心の彼女には当然「見えていない」し、聞こえていないのだ。


「じゃあ、そこら辺に座って」

「えーっと」


 私はおっさんを避けて座るが、もう一人の友人はおっさんと重なるように座った。

 住人の彼女がワインを持ってくるのをおっさん三人がにこにこ見ている。


 悪い感じはしないが、おっさん達がいるということは、彼女は寝顔も着替えも全部見られているということになる。


「かんぱーい」


 私たちに合わせて乾杯の動きをしてニコニコするおっさん達。


「つゆり、なんでそんな端っこにいるの?こっちおいでよ」

「う、うん」


 どうしたもんか。こんなパターンは初めてだ。この子、こういうのに好かれる体質なのかもしれない。


「じゃあ、私たちの友情に、一本締めっ」

「え?つゆり、そういうのって最後にやるんだよ」

「まあまあ、いいから。景気づけ景気づけ」

「つゆりはおもしろいねえ。いいよ、やろやろ」


 乗ってくれた。


「では、私たちの友情に、いよーおっ」


 ぱんんんっ


 おっさん達が消えた。


 私はずりずりと動いておっさんが消えた場所に座った。その後は楽しく女子会をすることが出来た。






 後日、また招かれて部屋に上がると、今度は若い兄ちゃんとおっさんが座っていた。やはりこの子は連れて来ちゃう体質みたいだ。


 その子が、ビール缶を持って来て、それをテーブルに置きながら言った。


「ねー、また一本締めからやる?」


 もちろんです。





余話は病院関係なしで。

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