お願い、いいでしょ?
20XX年 ○○新聞 朝刊
それはとある地方新聞のすみっこに書いてあった
ちいさなちいさな記事
深夜の公園でのおはなし
「ねぇ、私のお願い聞いてくれる決心ついた?」
「ああ、べつにいいよ。ただし――――っておい!はえーよ!まだ俺のお願い言ってないだろ!」
「えーだって絶対マトモなお願いじゃないし」
「そんなことないかもしれないだろ」
「じゃぁ言ってみ?」
「俺、じつはまだ童貞なんだ」
「まともじゃないじゃん!私に何させようと思ってたのさぁ!」
「いいじゃねーか別に。俺お前のこと好きだし」
「うっわ今まで一回も聴いたことないこと言ったよこの人」
「それにお前も俺のこと好きじゃん?こんなお願いしてくるくらいには」
「ん・・・・まぁ・・・・そうだけどさ」
「うっわ認めたよこの人」
「おいてめーもっかい言ってみろよ」
「好き」
「そっちじゃねーよ!バカ!」
「顔真っ赤にしてやんのー!!――――あだだだだだだだだ!!いってーなお前!抉るなこら!なんかはみ出そうになるから!」
「はみ出ちゃえばいいよ・・・・・」
「・・・・お前はみ出た男と付き合いたいのか?いい趣味してんな」
「ちっげーよ!!だれがはみ出た男と付き合うか!ってかはみ出てたら付き合えないわ!!」
「んまぁそれもそうか」
「そうだよ」
「でも――――付き合うのはいいんだな」
「そりゃ・・・・いいよ。あんただし」
「お、おう」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「「なんか言えよ!!」」
「「かぶせんなよ!!!」」
「――――ぷっ」
「――――っくくくく」
「なるほど、こりゃいいや。気楽に付き合えそうだ」
「そうだね」
「ふう・・・・・どれ、お前のお願いも聞いたし、そろそろいこうかな」
「え・・・・もう?」
「あんまり長く居るといきたくなくなっちまうし」
「もうちょっと話しようよ」
「ダメだ――――もうさっきから眠くってな」
「・・・・・・・・・そう」
「あ、そうだ、俺のお願い聞いてもらってもいいか?」
「脱童貞?」
「それはもういいや。ってか無理そうだし
――――膝枕、してくれないか」
「うん・・・・・・いいよ、それくらいなら、いつまでも」
「ああ、絶景かな絶景かな」
「どこ見てんだアホ」
「でも、これちょっと失敗かな」
「何でさ」
「おっぱいが邪魔でお前の顔見えない」
「ばか・・・・・・・これでいいでしょ?」
「あの、さ」
「なに」
「近くね?」
「だってこれくらいじゃないと見えないんでしょ」
「あ、ばれた?」
「私貧乳なのにおっぱいに顔隠れるわけないじゃん」
「なぁ・・・・・もう一個、お願いしてもいいか?」
「・・・・・いいよ」
「キス、したいな。最後に」
「まったく・・・・甘えん坊か、あんたは」
「いいじゃねーか、ちょっとくらいいい夢見ても」
「・・・・しゃーないなーもう・・・・・・」
「なんか、鉄の味した」
「ファーストキスは鉄の味・・・・・刺激的だな、一生忘れないな」
「それでなくても、あんたとのキスなんだもん、忘れるわけないじゃん」
「・・・・可愛いこと言ってくれちゃって」
「――――あんたも、忘れられなくなったでしょ?」
「くはははっ、たしかにそうだな」
「・・・・・・・・・・」
「おい、どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ぐすっ」
「・・・・ったく、泣くくらいなら最初っからすんなよな」
「だっでぇ・・・・・・もうぢょっど、いっじょにい゛れるどお゛もっでだんだもん・・・・・・・」
「いれねーよ・・・・・・お前が初めてこのお願いしてきた時からこうなるだろうとはおもってたけどさ」
「だったら、とめでよぉ・・・・」
「・・・・・・・それこそ、無理だ。
それに、なんだかんだ、俺もおまえに、こうされたかったんだと思う。
もともと、俺らは・・・・・そういう・・・・しりあい、だもんな」
「ぐずっ・・・・・・すん・・・・・・」
「どれ・・・・・・そろそろ・・・・・ほんとに・・・・眠くなってきた・・・・・」
「!! まって、まってよ!まだ、話したいことが――――」
「――――なぁ、お前よ――――これからの人生――――大変だろうけどよ――――」
「まって!だめ!寝ないで!!」
「おれは――――まってるから――――ゆっくりこいよ――――」
「あ・・・・・ああぁ・・・・・・・」
「――――大好きだ」
「――――私も、だいすき。だいすき。だいすきだよ」
「――――――――――――」
「――――だいすき、だよ」
貴方の読了時間が、彼が最後に過ごした時間。




