16 黒 ひとのケモノ
目が覚めると、いきなり青毛に持ち上げられた。
みょうにはしゃいでる青毛、朝からげんきだけどワタシはまだねむい、なに?
されるままに持ち運ばれ、たべものをたべさせられて、お風呂小屋で洗われて、昨日とちがうふくを着せられた所で意識が少しはっきりして来た。
えーと、これは……あかいふく。
長いことばでなにかを伝えて来るけど、ミンナってなに?
そのまま、てをつないで歩いていく。きゃべつのはたけを通り過ぎて アイヨーのいえのとこから曲がって
前の方に、なんかおっきい生き物がいた。
茶色と白の2ひき、やさしい感じがする。
ワタシが歩きながらそっちをずっと見ていると、青毛が「ウマ」と教えてくれた。うま しってる、上に乗ったり物をひっぱるいきもの。パパとおんなじ。
青毛はうまのところには行かず、うまのいえの前の、別のいえにはいっていく。うまは?うまは?
うまのいえの前のいえは、うまは居なくてそのかわりにひとがいっぱいいた。
これが、ミンナ?
えっと、いち、に、さん、し、よん、ろく、ご、はち、なな、きゅう、……しち、きゅう、じゅう。
じゅう、……じゅうひと!
ゆびを曲げながら数えると、いえの中にはじゅうひとのミンナがいた。
ほんがないからわからないけど、たぶんあってる。
パパとツルサンとアイヨーと、あと知らないと知らないと知らない。
パパたちはひとだから、ミンナは生き物の種類じゃないみたいだ。ひとがあつまるとミンナ?
青毛とてをつないでいるワタシに、いろいろ長いことばで話しながら、なにか
はこ、とかふくろ、を渡してくる。サクヤはわかる、サクヤはワタシ。
ミンナが向けてくる感情は、なんだろう、やさしい感じ。うまよりやさしくて、ここにいたい、って思えるんだけど
なにかがちがう、ザワザワがある。
ザワザワは、黒い ぼうしのひとだった。
こちらを、わらうのカオで見て、まわりのミンナともわらうのカオで話してる。
でも、ワタシと青毛に、たべたい の感情を向けて来ている。
この黒ぼうしは、ひとじゃない。……ケモノだ。
じっとみていると、わらうのカオのまま、てになにか小さいはこを持ってこちらに近付いて来る黒ぼうし。
ワタシと青毛にそれ以上近付いたら、なぐる。という意思を込めてにらむと、両手を上げて下がっていく。
怯えて下がった訳じゃないみたい、たべたい の感情は更に大きくなって……
あいたっ!
横にいた青毛に、あたまをたたかれた。
なんでたたくかな。
青毛に目を向けた隙に、黒ぼうしはミンナの奥の方に下がっていったみたいで、もう姿が見えなくなっている。
「ごめんなさい」
と、なぜかミンナに言っている青毛。
ごめんなさいは悪いことをした時のことばですよ、ってほんに書いてあったのに、何でミンナにいうんだろう?なんでワタシにはいわないんだろう?
なにか違う意味があるのかな?
とりあえず真似をすると、こんどはあたまをなでられた。……わからない。
どうやらそれでおわりみたいで、ワタシの手をひっぱってミンナのいえを出る青毛。
いえを出たら今度はワタシを抱きかかえてごめんね、と言ったあとに長いことばをつづける。うん、わからない。
ごめんねは、確かごめんなさいとおなじことばだけど、なにが違うんだろう?
とりあえず真似してみると、顔を押し付けてきた。




