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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
一章 ヒトになる
13/46

13 黒 予兆

 ソレに気付いたのは偶然だった。

「モリ」と言って木がいっぱいを指差した青毛が、固まって止まって へんなかお。


「もり」真似してもうごかない、じっと何かを見てる。

 青毛がじっと見ていたそれは、川の向こうの遠くに見える、灰色の四足獣だった。


 こちらが気付いた事に向こう(四足獣)も気付いたのか、ゆっくりと近付いて来る。


 あれは何ていう音なんだろう、と思って青毛が教えてくれるのを待ってるのになかなか教えてくれない。 どうしようかな?


 ゆっくりだった獣の歩みは、少しずつ早くなり、走り出す。

 向けて来ている感情は、食べたい、じゃなくて殺したい、みたいだ。

 おなかはあんまり空いてないけど、殺して肉にしておこう、という事なのだろうか?

 あんまり向けられてうれしい感情じゃないとは思う。


 青毛まだ固まってる。 川があるから油断してるのかな?

 ジャンプしたら飛び越えられると思うんだけどなぁ。


 仕方ないので獣の方を見てると、ほら飛び越えて来た。

 ワタシの方が美味しそうだと思ったんだろう、こちらを狙っている。

 まさかワタシの方が弱そうなんて思わないと思うし。


「サクヤ!」と、大きい音を出してワタシを押しのけようとする青毛、じゃま。


 飛びかかって来た青毛と灰色の獣、両方にカウンターを入れて

 獣の方に とどめさす をしようと思ったら、予定より大きく弾き飛ばしてたみたいで川の向こうまで飛んで行く灰色の獣、ぐるぐる飛んで行ってぴくぴくしてる。


 まだ生きてるみたいだから とどめさす したいんだけど、青毛が長い音を出しながらくっついて来て顔を押し付けて来る。

 おねえちゃんどいて!あいつ◯せない!


「コノハ!」

 青毛の巣 いえ から茶色毛が飛び出して来て、こちらに顔を向けるとすごい勢いで走って来た。

 おー、はや〜い。


 茶色毛が青毛に何か長い音を出して、青毛がそれに応えて長い音を出しているけど、わからないから放置して

 さっきの灰色の獣の方を見てみたら、ちょうど立ち上がって走り去って行くところだった。

 とどめさす できなかったのをちょっと残念に思っていると、青毛と2人まとめて茶色毛に持ち上げられる。


「サ、カエルゾ」「さ、かえるぞ」

 茶色毛が出した音を真似して、青毛といっしょに いえ に運ばれると、青毛といっしょに ぱん のひらべったい木のとこに座らされた。

 まだおなかすいてないんだけどな〜


 茶色毛は いえ の奥の方から新しい皮とへんな棒を持ち出してきて、身につけている。

 青毛になにか音を出して、青毛は頭を縦にふりまわしてる。


「パパ、きをつけてね」 音を出す青毛を、「ぱぱきおつけてね」 真似する。

 こちらにくっつきながら、外に出て行く茶色毛を見送る青毛。


 どうやら気を取り直したみたいで、今度はこちらを持ち上げて いえ の中を歩き回る。

 その辺のものの音を教わりながら、 まど を閉めて行く青毛に、朝起きた場所に持って来られた。


 こちらを べっど の上に座らせた後、 ちょっとだけ まど を開けた青毛は、 へや の中から ほん をいくつか持って来て、こちらに見せて来る。


 いろいろな……もよう?がついてる。

 き があった、 はな もある。


 あ い う え お


 もじ は、結構簡単だった。

 なんか、 もじ を教えるためのものがこの ほん みたいで、教わるためのものがない オト ……コトバよりいっぱいわかりやすい。

 じゃない、ええと、とてもわかりやすい。


 ほん を読んでくれる青毛の横にくっついて もじ とコトバをわかっていく。えっと、おぼえていく。


 時間の感覚がなくなった頃、青毛が本を閉じた。

 まだ読む、ねむくない、ねむくない。

 ぼーっとなる頭を否定しながら頑張っているワタシを べっど に寝転がらせて ふとん を被せる青毛。


 ねむくない、ねむくない、まだ、ねむくない……。

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