連鎖
やっぱり息子も…
「やはり呪い殺されたかな。あんなやり口で組を乗っ取ったからな」
「滅多な事口にするな。知らぬが仏」
「でもまあ、隆伸さんを見習ってか反面教師ってかちゃんと跡継ぎは育ててた所は流石ってか抜け目ないってかな。」
「まあな、直重さんの色狂いの賜ってかな」
「なんせ16で子供作ってたんだからな。」
「時期組長だろ?その若頭の光重さんが」
「だろうな。あの人も色々ぶっ壊れてる人だからこの先どうなる事やら」
「しかし、『こま』って誰だ?そんな女居たか?」
「さあな。数多いる女の中に居たんだろ?変な名前だからキャバ嬢か風俗の女の源氏名じゃねえか?」
「しかしなあ。最後の言葉が『こま、来るな』とはなあ。」
「よっぽど変な別れ方したんじゃねえか?」
○○○○○○○○○○
「何か面白い子がいるってね?」
「はい。目が見えないらしいんですが、将棋がめっぽう強いらしくて。話題になってますよ。」
「へえ」
「なんでも…元龍三組の血筋とか…隆伸の外に作ってた女の孫らしいです」
「それはそれは」
「どうします?」
「そうだね…僕も将棋には多少腕に覚えがあるし、手合わせ願いたいね」
「それでは手配致します」
「その子の名前、なんて言うの?」
「又志智です」
「ふうん、幾つ?」
「14らしいです」
「そ」
「それでは、組長」
「ははは、僕はその呼び名嫌いだな」
「失礼致しました、光重さん」
「では、宜しくね」
「こま、おいで」
「ニャー」
「ヨシヨシ、いい子だね」
「ニャーン」
「又志智、ちょっといい?」
「はい、お母さん」
「今度、八代興業って所の光重って男から将棋の相手を頼まれたんだよ」
「そうですか」
「そこはね…ウチとは因縁があってね」
「因縁?」
「お前のお婆さんが昔付き合ってた男で龍三組の隆伸って男がいてね」
「龍三組?」
「まあ、所謂ヤクザだね」
「…そうですか…」
「その人との間に出来た子がお前のお父さんだよ。」
「…」
「龍三組は直重って部下に乗っ取られて潰されて今は八代組になってる」
「それって…」
「そう、今度呼ばれてる八代興業だよ」
「…」
「お前の父も八代組の奴に殺されてる」
「…」
「ウチらはもう、八代組相手にどうこうしようとは企ては無いってのに…そんな力も無い」
「はい」
「その事はアイツらも重々分かってると思うけど…」
「でも、やっぱり悔しいんですよね?お母さんは」
「…そうだね」
「僕は目も見えないしまだ子供です。相手も僕が何かするとは思ってないですよ」
「やっぱり…断るかい?この話」
「いいえ。せめて将棋で奴を負かしてやりましょう!」
「そうかい…有難うね。」
「僕も恨みを晴らしてやりたいですから。まあ、ささやかですがね」
○○○○○○○○○○
「それじゃあ、くれぐれも…無茶するんじゃないよ。」
「はい」
「じゃあ、気をつけて…無事に帰って来るんだよ」
「はい、では行って来ます」
「うわー、ちょっと待った!」
「もう、待ちませんよ、何回目ですか」
「そこを待った!」
「もう、この勝負どう手を打っても決まってますよ」
「生意気な子供だなあ…」
「勝負に大人も子供も関係有りませんよ」
「僕は中身が子供だからなあ。」
「そうですか」
「例えばね、負けを認めたく無いとかさ」
「それはそれは」
「後ね、今だに刀を振り回してチャンバラしちゃうとかね」
「…へえ」
「この間ね、肥前国住陸奥守忠吉を手に入れてね。毎日眺めてるんだけどさ。ゾクゾクしちゃうんだ」
「そうですか…」
「まあ、君見えないから分からないか」
「…」
「やっぱり刀ってさ、使ってなんぼじゃ無い?」
「…」
「飾りじゃ無いのよ刀は、はっはぁーん」
「…」
「斬ってと言ってるじゃ無いの、ほっほーん」
「…」
「日本刀はね、やっぱり人間斬ってなんぼだよね。」
「っ!」
「あ!こんな所に、良い試し斬り出来そうなモノが!」
「!?」
「折角だから首はねてあげるね!一瞬で逝けるよ!」
「やめて!!」
ザシュッ…
「わあ!ギコギコはしません!の言葉通りの流石の切れ味!血飛沫半端ないね。」
「ねーえ!コレ片付けといてー!」
「はい…」
「後、結構汚しちゃったから部屋の掃除もお願いねー!」
「はい…」
「さあて、僕はお風呂入って禊をしてから刀のお手入れしなくっちゃ。ヨシヨシ、いい子だね。良く斬れました。」




