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芳一郎奇談-人形棲家  作者: 水嶋


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予言

「お父さん、変なのくっついてて気持ち悪いから近くに来ないで!キモい!ウザい!」




ああ…


佳奈に早すぎる反抗期が遂に始まってしまったか…


娘を持つ父親なら避けては通れない通過儀礼だとは思っていたがまだ少し早いぞ…


お友達のお父さんはまだお風呂に一緒に入ってるって話なのに…



まあ、俺の場合は世間一般で言う第二次性徴期のものとは少し異なり俺に纏わりついてるアレらが見えてるせいだとも思うが、思いたいが…



自分の考えを持ちたいという気持ちが芽生え始めているのだろうか。


子どもを一人の人間として尊重することが大切だろう。


まだ上手く言葉で表現が出来ないだろうから、前に研究していた箱庭療法を試して見る事にした。




「さあ、佳奈これで自由に遊んでみよう。好きな所に好きな物を置いてみようか。」



本来は砂箱にするのだが、部屋や玩具を汚すと後から目咲さんにチクチク怒られるから今回は大きめの箱に家にあった玩具やら色々引っ張り出して用意した。


佳奈は俺に暴言を吐いたり反抗する事もなく暫く玩具を見つめて徐ろに箱の中へ配置し出した。


途中、佳奈は冷蔵庫から胡瓜と茄子を持って来た。



箱の中身は



左手前、1番左手前は空白→梨香ちゃん(現行品)→右手間は真ん中に蛇のトグロを巻いた様なウンチの置物(何故こんな物が家に有るのかは謎)


左奥は左から胡瓜→茄子→右奥にウサギの人形(ネコ人形のお友達に買ってあげた物)



を配置した。



箱庭の解釈は色々あるが、グリュンワルドの空間図式を参考に考察してみた。


箱の手間は現実・肉体的、奥は神の領域・精神的等とされている。


箱の左は過去・内的・母、右は現実・外的・父等となっている




手間左側、過去・母のイメージが空白だった。

佳奈にも先が見える力が有るならば母、目咲さんの過去は見えなかったと言う事だろうか?

やはり目咲さんは色々不思議で謎な人だ。

その右側に梨香ちゃん人形(現行品)…

益々分からない。


そして…

右手間の父のイメージにはどどんと中央にウンチが鎮座している…

佳奈よ、俺の現在は汚物なんだな…



気を取り直して考察を再開した。


左奥、未来・母のイメージだとして

左から胡瓜→茄子?


目咲さんは将来農業でも始めるのだろうか?

しかし既に一般的に流通が確立しているであろうこれらの野菜は参入は難しそうだと思うが…

家庭菜園にでもハマるのだろうか?



右奥の父の将来は…


ウサギさんになるんだな。

まあ、ウンチよりはかなりランクアップしてるんだろう。

黒くつぶらで潤んだ瞳のウサギ人形が俺を憐れんで見つめている様に思えた。




結果、よく分からないと言う結論になった。



やはり俺は臨床心理学は向いてないなと改めて思い知らされた。





○○○○○○○○○○





「お母さん、こまが自分の事話し出した」


「そう…なんて?」


「こまは昔ネコだったって」


「そう。段々思い出して来てるのね」


「そうみたい」


「こまが話した事、お母さんにもその都度教えてくれる?」


「うん」


「こまが…全て思い出したら…お母さんは始めなきゃいけない事があるの」


「…うん」


「そうしないと、佳奈やお父さんや周りの人が大変な事になるのよ」


「うん」


「私は…佳奈やお父さんから離れてしまう事になるけど」


「…」


「佳奈はいい子だからお母さんがいなくなってもお父さんを助けてあげてね」


「…うん」


「私の身体は…○○してしまうけれど、魂はいつも佳奈とお父さんの側で見守って行くから安心して」


「うん」


「どんな時も私は佳奈とお父さんの側にいるからね。」


「うん」


「佳奈はどんな形になっても私の姿が見えるから安心ね」


「うん」


「私達が離れ離れになった後もちゃんと夏には佳奈とお父さんにも会いに来るからね。」



「うん」







「それじゃあ、こまが話した事を教えてちょうだい」




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