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芳一郎奇談-人形棲家  作者: 水嶋


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3/16

この子の7つのお祝いに

佳奈はやはり目咲さんの血を継いでいるだけあって、生まれてすぐにその片鱗を見せていた。



天井の隅をじっと見つめて



「ばーばー」



と指差していた。


ああ…

世間で良く言われてるアレか…

赤ちゃんには大人には見えないモノが見える…



「佳奈、俺の死んだお婆ちゃんでも見えて佳奈を見守ってるのかな?」


「いえ、あれはパチスロ狂いの薬中ロリコンが幼女を連れ去ろうとした所を不審に思った親切な人に声をかけられて驚いて逃げ出した時に飛び出して車に跳ねられた男です」



「…」



何だか危険因子が色々渋滞してるプロフィールなんだが…


ただの変態ストーカーで俺のお婆ちゃんでも見守りでも無かった…



「まあ、元はギャンブルと薬物に依存して幼女にしか手を出せないような弱い人間だった奴なんで私が祓いますね」



そう言って目咲さんが



「地獄に飛んでけ屁がプップー!」



と、これまた本気なのかふざけてるのか分からないお祓いをしてくれた。



やはり佳奈には見えないモノが見えていて、目咲さんには俺と佳奈は守られていた。





「ネコ踏んじゃった、ネコ踏んじゃった…」


佳奈が7歳になった頃、歌っていた。



「小学校で歌ったのか?」


「ううん。拾った」



そう言ってポケットからあのネコ人形を出してきた。


「…」




すっかり忘れて来ていたが、また俺の元、いや今度は佳奈の元に舞い戻って来た。

年月が経っている筈だが、当時のまま汚れもなく綺麗なままだった。


毛繕いでもしてるんだろうか?

ネコだけに


あれから7年経ったのであっちの佳奈は人形遊びはお役御免になったのか、以前目咲さんから聞かされた通りに再び救いを求めてやって来たのか…



あの話を聞いた頃はあっちの佳奈はこの人形で遊ぶ位の子供だった筈だ。


多分まだ20歳にはなってないとは思うが…


目咲さんの話もちゃんとした裏付けがあると言う物ではない。



無いのだが…


やはり気にはなっていた。





○○○○○○○○○○





それは俺が昔から周りで怪奇現象と言うか、変な事がよく起こっていた事が原因だと思う。



「こら、やめなさい。言う事聞かないと引き剥がして2度と輪廻出来なくするわよ」



と目咲さんが言うと、さっきまで俺が入っているトイレの電気が高速でついたり消えたりしてたのがピタリと止まった。


これで落ち着いて用がたせる…



俺に憑いてると言う奴らも相手を見て行動している節がある。


目咲さんには悪さをしない。


俺には下らない事ばかりしてくる。


最後の楽しみにとっておいたショートケーキのイチゴを床に落としたり風呂上がりに着替えようとしたらパンツだけをびしょ濡れにさせていたり…

まるで好きな子に意地悪する小学生男子だ。


好かれてると言うより弄られてるとしか思えなかった。



目咲さん曰く


「私がやって来たから1番の座は諦めて弄って遊ぶ方にシフトチェンジしたんでしょう」


らしい。


なら他所へ行ってくれよ…




そんな風に目咲さんに守られて…諭されて過ごしていた。




「佳奈、洗濯機はこう使うのよ」


「お風呂はここのボタンを押して…浴槽を洗った後は扉を開けておくのよ。湿気が籠るとカビが生えやすいから」


「野菜は大きさを揃えて切るのよ。火を通す時は固いものから順に入れていくのよ」



この頃から目咲さんは佳奈に家事を教え出した。


「まだ早くない?小学生には…」


「そんな事無いわ。今から準備しておかなきゃ。」


「…」



まるで佳奈に後を託す様な行動に嫌な予感がしていた。




○○○○○○○○○○





「こま」


「この子の名前?」


「そう。」


「佳奈が名付けたの?」


「ううん。自己紹介してきた」


「この子が?」


「そう。」



俺には何も聞こえないし、今までも散々近くにいたが自己紹介なんてされなかったが…


「頭の中にね、話しかけてくるの」



俺の考えが分かってる様に佳奈が答えた。


しかしやはりコイツらは人を見て態度を変えてやがるなと少し拗ねてしまったが、元々佳奈には力が有るので俺には分からなかっただけかも知れない…


と、前向きに捉える事にした。


あるがままに受け入れる

ポジティブシンキング

これが俺の信条だ。



「こまは何て言ってるの?」






「あと6年って。」



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