導き
明日花と佳奈は友達でした
「佳奈…凄いね…」
♪ジャンボリーミキー!ジャンボリーミキー!
満面の笑みで…寸分違わず…完璧に…
踊れてる
「航平、次はこのルートからこっちを回って、お昼はグランマサルで限定スーベニアカップ入りのプリン食べて…」
「凄い…無駄のないスケジューリングだ…佳奈は初めて来たんだよね!?」
「うん…そうなんだけど…私の中の佳奈が黙ってないのよ。血が騒いじゃって…」
「へ…へえ…」
「そこにおいでの人間のみなさん、森の仲間がスプラッシュ山と言っている所に、とうとう迷いこんできなさったねぇ」
「頼むからあのイバラの茂みにだけは投げ込まないでくれよ」
「佳奈…凄いね…スプラッシュ山のアナウンス丸覚えしてる…全キャラ演じてる…声色変えて…」
「何か…口が勝手に動いてる…私の中の佳奈が滾ってる…」
「佳奈は演劇と暗記が得意なんだね…知らなかった…」
引いてる…
絶対引いてる…
佳奈…初めての夢の国デートで私以上にはしゃいでる…
18歳になって出来たイケメン彼氏の航平と来たデートで佳奈はやらかしてくれていた…
しかし、今までオシャレには無縁だった私に段々元気を取り戻した佳奈は、メイクや服や色々アドバイスしてくれて今の私がいる。
その点は佳奈に感謝だが…
夢の国はオタ全開になる鬼門だって分かった…
働いてた位だもんね
デートでは来ない様にしよう。
まあ何だかんだと佳奈とは上手く同居している。
○○○○○○○○○○
「明日花、残念だったね…」
同じ学校の同学年、1年の頃同クラで仲良くなった山根明日花は学校では陰キャだが実は話すと面白い子だ。
たまたま話してる内に仲良くなって3年になった今でもたまに遊んでいる。
明日花は実は凄い子で、卓球でオリンピックの強化選手に選ばれていた。
この頃になると流石に周りも騒ぎ出してチヤホヤしだしたが、相変わらずの陰キャっぷりで人を寄せ付けていなかった。
しかし、私と話す時は素が出ている。
信頼されてるのかな?
口調もぶっきらぼうで男の子みたいで可愛い。
見た目も悪くないのにいつもジャージだ。
ちゃんとすればモテそうだけど多分今はオシャレより卓球の方が大事なんだろう。
しかしそんな明日花にも最近かなり年上の彼氏が出来たらしい。
こんな明日花だから甘えられる年上はお似合いかも知れない。
「そうなんだよなー。まあ、補欠には選ばれたから上手くいけばテレビに映るかもな。」
「そんな人の不幸を願うもんじゃないよ」
「それ位意地汚く無いとチャンスは巡って来ないんだぞ。勝負の世界は綺麗事だけじゃやってけないんだよ」
「まあねえ」
「でも、試合はフェアプレーだぞ?」
「分かってるよ。あんなカメラ何台も映されてちゃズル出来ないでしょ」
「それでもな、世界にはな…」
「あー!夢が壊れる!聞かない聞かない!」
「まあ、いいや、今日は私の残念会だ。やけ食い付き合え」
「あ、最近出来た年上イケメン料理人の彼氏!?」
「イケメンかどうかは分からんが…泣き虫だな」
「ふうん。まあ、行こ行こ!」
「いらっしゃい、明日花、残念だったな」
「ふん!まだ終わってないぞ!諦めたらそこで試合終了だ!
「ははは」
「こちら田村勇気。この店で働いてるコックさん」
「初めまして、原田佳奈です」
「佳奈…ちゃん?」
「はい。」
「そう、明日花の友達?」
「はい、仲良くしてますよ」
「そうなんだ」
「さあ、じゃんじゃん食べるぞ!今日はユーキのおごりだ!」
「仕方ないなあ…腹壊すなよ…」
「それじゃあ、今日はご馳走様でした」
「また明日花と食べにおいで。次は奢らないけどな」
「えー!じゃあ、テレビに映ったら奢ってよ!」
「分かった、分かった」
「タムさん…」
「!?」
「安心した」
「えっ!?」
「夢を見つけて頑張ってて…」
「!?」
「大切な人と幸せに生きてね」
「佳奈ちゃん!?」
「おーい、佳奈、行くぞー!」
「ハイハイ!それじゃ」
「一体…」
「このスープ、美味しいね!もしや君が作ったの?」
「あっ、ハイ。鞠保さん直伝です」
「そりゃ頼もしい弟子ができたなあ」
「ホント、美味しい〜!連れて来てくれて有難う〜相馬さん〜!」
「豊香に喜んで貰えて良かったよ、ここのシェフは凄く有名なんだよ?知る人ぞ知るってね。表立って広告は出してないけど昔からのファンも通ってるんだよ。私もその1人だけどね。」
「へえ〜!そうなんだあ」
佳奈はタムさんに直接伝えられましたね。
しかし豊香?




