思惑
佳奈なんて…
私なんかよりミニイちゃんばっかり可愛がってさっ
佳奈が…
でも…多少は…少しは…
私の事も可愛がってたからさっ
佳奈は…
私に家族を…
教えてくれた人…だからさっ
佳奈は…私の家族
やっぱり私が何とかしなきゃ
多分運命は変えられない
それは私のこれまでの出来事で分かってる
事が起きた後が大事だ
このままじゃ佳奈も私みたいに抜け出せないループに嵌っちゃう
ずっと誰かを呪って殺されてを繰り返して彷徨ってっちゃう
私に先を見る力があるなら…
どうすれば…
そうか。
この人が…
「あれ?佳奈、お家やこまはどこ行っちゃったの?」
「分かんない…夢の国から帰って来たら無くなってた」
「あらあら、空き巣にでも入られたのかしら?でも他の貴重品は無事みたいなんだけど…玩具だけ取られちゃったのかしら?」
「こま…」
「誕生日だってのに仕方ないわねえ。また新しいの買ってあげようか?」
「ううん。また帰ってくるから待ってる」
「そう?」
○○○○○○○○○○
「それで芳一郎さんの元にやって来て私と引き合わせたのね」
「みたいだね」
「その後、こまは私の子供ができた事を確認してまた佳奈の元に帰って行ったのね」
「うん」
「こまは元々長生きをした猫で猫又だったのね。猫又は悪さをするだけじゃ無くて精霊みたいなモノもいるのよ。」
「ふうん」
「生まれ変わった先で非業の死をしてしまって化け猫になってしまった…でも、佳奈と出会って本来の姿を思い出したのね」
「そうなんだ」
「それで…何とかしようと7年かけてあっちの佳奈の生き霊を取り込んだのね。14歳は元服…あっちの佳奈が大人になったとみなしたのね。それで私の佳奈の元へ来た」
「うん」
「こまがやりたい事がちゃんと分かったわ」
「うん」
「こまと話が出来るのは佳奈しかいないから伝えてくれる?」
「うん」
「それじゃあ…」
○○○○○○○○○○
佳奈が8歳になった頃、目咲さんは心臓発作でこの世を去った。
俺は突然の事に頭の中が真っ白になっていた。
「お父さん、元気出して。また会えるから」
佳奈に慰められていた。
そうだなあ。いつか俺が死んだらあの世で…
「お母さんは、この中にいるから。」
んん!?
そう言って佳奈は目咲さんの梨香ちゃん人形を握っていた。
「そうだな…この子は目咲さんの大切にしてた形見だからな。大切にしなきゃな…」
そう思って梨香ちゃんハウスを買って梨香ちゃんを住まわせた。
因みにお母さんと言っているのは現行梨香ちゃんだ。
結局佳奈が梨香ちゃんで遊んでいた。
「こま、お母さんとご飯ですよ」
佳奈がこまと呼んでいるのは復刻梨香ちゃんだ。
なんだが見た目があべこべだが、子供の意思を尊重してそのまま呼ばせていた。
あのネコ人形はまだ居るが、佳奈はこの人形をこまとは呼ばなくなった。
「お父さん、お母さんがこの服欲しいって」
そう言って見せて来た画像の梨香ちゃんサイズの服は…
「たっか!」
1万円を超えていた。
「お母さん、そろそろ衣替えしないとって。冬に向けてブーツも欲しいって」
そう言って見せて来たブーツも…
1万円を超えていた。
子供の玩具に2万超え…
これは親として…教育上…聞く訳には…
「お母さんが欲しいって。今は服しか楽しみが無いからってさ」
「…」
結局お母さんワードには敵わなくてカートに入れて決済していた。
「もう!お父さん、早く食べちゃって!学校遅れちゃう!」
「ハイハイ」
佳奈は14歳になっていた。
小さい頃から目咲さんが教え込んでいたおかげか、俺が余りに不甲斐ないせいか佳奈は年齢の割にしっかりした子に…
しっかりしすぎ…まるで母親の様になっていた。
よく佳奈に怒られる。
「また、変なのくっついてる!」
そう、怒られる理由はこれも大きい
「お空へ飛んでけバイバイキン!」
軽くお祓いをしてくれる。出来た娘だ
流石に屁がプップーは言いたく無いらしい
「お父さん、話があります」
ある日佳奈が改まって話して来た。
何だろう…
またバカ高い人形の服でも買わされるんだろうか…
少し身構えていた
「時が来ました。口咲叔母さんを呼んでください」




