覚醒
お母さん、追っかけしてたんですね
「ミニイちゃん、どこいった〜」
私はあのネズミに勝てないならせめて同じネコのマリちゃんを…
と夜中こっそり枕元にいたミニイちゃんをベッドの下に蹴り落としてマリちゃんのぬいぐるみを引っ張っり上げて代わりに置いた。
今は身体が6㎝位しか無いのでかなり難儀したが、やり遂げた感に満足していた。
マリちゃんも白ネコでおしゃれキャットだ。
私の公式プロフィールの学校1おしゃれさんと被る。
マリちゃんは子猫ながらおませなレディとの事なんで、そこも私と同じだ。
私は人の姿に化けて騙したり人を呪い殺したり出来るからおませなレディだ。
まあ、本来なら私を溺愛するのが筋だが、百歩譲ってこのマリちゃんで妥協しよう。
そう、譲歩案を提示したにも関わらず…
佳奈はマリちゃんに目もくれずベッドの下に隠していたミニイちゃんを見つけてだっこして行ってしまった…
マリちゃん…ドンマイ
「さあさあ、パパとママが一狩り行って来ましたよーご飯にしましょう」
暫くして佳奈が戻って来た。
またダイニングテーブルの席に座らされてテーブルの上に小さなボウルに牛乳が入った物とお皿にピーナッツと柿の種が乗っていた。
パパがミキでママがミニイらしい。
私の親はネズミかいな。
「双子のお兄ちゃんもピーナッツを狩にいきましたよー」
チプとデルが双子のお兄ちゃんらしい。
私の兄貴はリスなんだな。どっちがどっちかすら似過ぎてて分からん。
てか全て種族が違うぞ。血は繋がってないのか?
複雑な家庭だな。
牛乳やピーナッツは狩で手に入るのか?
柿の種なんて酒のつまみだろう。
「ドナおじさんも遊びに来てるよ」
アヒルはおじさんなんだな。
親戚も漏れなく種族が違うんだな。
お前は飯時にやって来てまるでノリスケだな。
私には気が付いたら親もきょうだいも、家族なんていなかったから分からない。
ただ、人から可愛がられる事だけを考えていたから…
家族って何だろう
「今度の佳奈の7歳の誕生日には夢の国へ行くわよ!」
「わあい!やったあ!」
夢の国?
「こまー。夢の国にはね、ミキとミニイとチプデルとドナが住んでるんだよー!」
へえ。
敵のアジトへ乗り込もうってかな。
「夜にはねー、エレキテルカルパレードがあるんだよー」
なんじゃそりゃ
「スッゴイ素敵なんだよー!キラキラしてて、楽しい音楽が流れて、みんな踊ってるの!」
へえ。盆踊りみたいなもんか?
「お母さんはねー、昔夢の国のダンサーさんの追っかけしてたんだよー」
「佳奈!それは内緒!」
「えへへ」
なんか知らんが敵城視察と行きますか。
○○○○○○○○○○
「まもなく光と音のファンタジー、エレキテルカルパレードが始まります」
「わあ!来るー!」
パンパパパーン、パパパパーン…
うわあー!
凄い…
キラキラ輝いてて…
陽気な音楽にテンション爆上がり…
あ!
キラキラ輝く列車に乗って手を振ってるのは
パパとママだ!
きゃー!
ミキー!ミニイー!
凄い!パパとママは大スターだった!!
その後も次々と輝く山車が続いて楽しい音楽と浮世離れした輝く山車の数々と踊り手達と周りの観客の熱狂と…
このトランス状態のお祭り騒ぎに私も浮かれてしまっていた
気がつくと身体が人形から離れて幽体がついつい踊っていた。
ふと、尻尾を見ると2本に割れていた
あっ
私、猫又だったんだ…
じっくり自分の尻尾を見た事無かったから気が付かなかった
何だろう…自分の事が分かった途端
力が漲ってる…
色んなもが見える…
先の事まで見える…
大人になった佳奈が見える…
可愛くなってる…
ここで働いてる…
ここで男の人と出会ってる…
恋人になってる…
その後…
その後は…
ここで出会った女に騙されて…
酷い目に遭って…
ビルから飛び降りてる…
大人になった佳奈の詳しい経緯は「7つ星」を参照下さい




