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芳一郎奇談-人形棲家  作者: 水嶋


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1/16

見えてます

やはり口咲と血を分けた姉妹は少し変わった人みたいです。

「それ、憑いてますよ」



リサイクルショップの帰りに女性に買ってきた物を指差しながら声をかけられてた。


先程シルベニアファミリーの「青い屋根の大きなお家」セットを購入していた。



元々は箱庭療法の小物が欲しくて探していたのだが動物の人形やら家具やら色々纏めてセットになっていたので此方を購入した。



「そうですか…」



「因みに貴方の頭と肩と腕と腰と足にも憑いてますよ」



「憑いて無い所を探す方が難しそうですね…」



「引き寄せ体質と言うか…好かれやすい人なんですね」



そう言って目咲さんは笑った。






当時の俺は大学院を卒業してそのまま大学に残って教授の手伝いなどをしていた。


行動心理学の研究をしていたが、臨床心理学についても交わる部分があるかと勉強を兼ねて実践してみていた。




「俺は原田芳一郎と言います。」



「私は佐伯目咲と言います。」




近くのカフェに入って話を聞く事にした。




「シルベニアファミリーお好きなんですか?」


「いえ、俺は心理学の研究を大学でしていて…箱庭療法と言うまあ検証と言うか実験の為と言うか…」


「そうだったんですか。てっきり遊びたいのかと…失礼いたしました。」


「いえいえ」


「だったらそのお人形だけ供養に出せば後は使えると思いますよ。」


「そうですか。有難うございます。」



「でも…原田さんにはそのお人形に関係無く既に色々くっついてますねえ。古いモノもありますね。」


「成る程…何か昔からいつも身体が重いと言うか怠いと言うか…変な事も良く起こってて…電気がついたり消えたりとか…誰もいない部屋で物音がしたりとか…」



「でしょうね…沢山纏わりついてますから…多分気を引くために色々騒いでるんでしょうねえ…」


「それって…」


「まあ、自分が1番よってアピールですかねえ」


「モテモテですか…実生活ではまるで縁がないシチュエーションなんですが…」


「ふふふ。そうなんですねえ」


「はい…今までの人生でモテた記憶が無いですね…」



「でも、人外に好かれてるって事は人としても魅力が有る方なんだと思いますよ。原田さんは」


「人外?」


「元々は人間だったモノが上手く成仏出来ずに輪廻から外れて形を変えて彷徨ってるモノですね。私達はそう呼んでます」


「幽霊…みたいなものですかね?」


「まあ、そうですね。人では無いモノの総称です。」


「じゃあ妖怪とかもですかね?」


「まあ、知能のある動物や、人の念の篭った物なんかも、そうなる場合も有りますね」


「成る程…」


「多分、原田さんは祓ってもすぐまたくっついて来ますね。元々が磁石みたいな体質ですし」


「そうなんですか…」


「なので、応急処置に祓っても余り意味が無いかも知れません」


「そうですか…ずっとこの状態かあ…」



「まあ、力が弱い、ただ意志もなく何となく引き寄せられてくっついてる取り巻きみたいなものは今祓って差し上げますよ。私には見える力は有りますが払う力はそんなに強くは無いんですよ。」


「ふむ…」


「その点は妹が強いんで、危ないモノが憑いた時は紹介しますね。」


「はい…有難うございます…でも…」


「?」


「俺は何も見えないし、感じないから…いつ危ないモノが憑いたか分からないんですよね…」


「確かに…」



「もし良かったら、目咲さんが近くで見張っててくれませんか?」


「ふふふ。分かりました。」




そうしてナンパしたのか逆ナンされたのか分からない出会いをして連絡先を交換した。



定期的に目咲さんと会って見てもらっていた。





そして気がつくと付き合う様になった。





○○○○○○○○○○





目咲さんは歳は3つ下で社会人一年目、仕事もしていた。OLさんだった。


見た目は日本的なキリッとした目力の強い目元の黒髪美人で、穏やかで優しそうな、服装も清楚でお嬢様と言う感じのお淑やかな人だった。




実際は…




「見てください、限定復刻梨香ちゃん、ゲットしました。」


「それは良かった」


「初代仕様でちょっとダサ可愛い所も愛らしい…現行品と並べるとまるで親子です。この見た目で小5設定はやはり昭和はトチ狂ってますね。」


「そうですね…」



お人形が好きな少女の心を持ち合わせて…るんだろう。多分

ちょっと熱量が凄いが…




「この間のドールショーでゲットしたお洋服を早速着せてみなくちゃ。」


「凄いですね。人が着る物と遜色ない作りですね。」


「そうなんですよ、人気作家さんのもので、値段も人の洋服並みにしますよ。因みにこれは1万です。」


「へえー」


「いつかはオーダーメイドしたいですが、予約が2年先ですからねえ。金額もそれなりになりますし。頑張って社畜となって牛馬のごとく働かなきゃ」



好きな事の為に仕事も頑張れる人…なんだろう。多分




「プップップッー、屁がプップッー、やだ、お母さん、歩きながら屁が漏れてる!くちゃい!」


「あらあら、私は同い年よ。失礼しちゃうわ屁がプップー」



変な1人遊びをしている…


子供心を大切にしてる…んだろう。多分…




ちょっと…

いや、かなり変わった人だったけど、見た目のギャップも相まって俺はどんどん惹かれていった。




そして



「まだ、俺はまだまだ頼りない所も有ると思うけど…目咲さんとこの先もずっと一緒に居たいです。結婚して下さい!」




「私と梨香と初代梨香共々宜しくお願いします。」




そして俺達は結婚をした。



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