えぴそーどろく
「……ト……ま!レオ……ルト……!レオン…ト様!レオンハルト様!」
この声はティアナだよなぁー。てか、めっちゃ揺さぶられとる!
がっくんがっくんなってるから!
俺、頭殴られて気絶してるからね!
そんなにユラしちゃダメだから!!
って、あれ?頭痛くない???
「レオンハルト様!良かった!傷は癒したのですが目をさまされなかったので。私、とても心配で……。」
あー、そーゆーことね。
ティアナちゃん超ハイスペック万能型だもんね。ヒロイン候補の中で全ステータスALL2位で総合ステがぶち抜きトップだもんね。
そりゃ、回復魔法も得意だよね。
ん?ひょっとしてこの子一人でも殲滅できたんじゃ???まっまぁ、そこはあのガバシナリオライターだしな。考えないでおこう。
てか、グラハムのバカ、魔法に制限かけてないのかよ!誘拐するにしてもずさんすぎるだろ!
おかげで助かったけど。
「いらぬ心配をかけた、すまぬ。もう大丈夫だ。ありがとう。」
「いえ、そんな……。なぜあのような事を?」
「あのような事?」
「その……私のことを許嫁と言って、助けてくれようとしてくださったので……その……」
「ふむ。惚れた女子の盾になるのは男の役目であろう?王としては間違えた選択であろうが、我はそなたの為ならば何度でも同じ事を繰り返そうぞ。」
ヤバイ!クサイくさすぎるよ!!死にそうだよ!!!でもって、いつものスンとした笑顔やめて!何か答えて!!!
「我のことを気づかってくれるのならば、以後必ず護衛はつけよ。今回はたまたま我が通りかかったから良かったものの、万が一があってはならんからな。」
「ワカリマシタ、アリガトウゴザイマス。」
あー、ティアナさん思考放棄モードだわぁー。この表情なると『アリガトウゴザイマス。』しか言わなくなるんよなぁー。
マジ凹むからなんか別の事言って欲しいよ。
「アノ、ワレワレハイマ、ツカマッテイマス。」
別の言葉はなしたーーーーー!!!って、なんだその片言ワード!
『我々は宇宙人だ』って続くかと思ったぞ!!古のネタ過ぎて誰がわかるんだって話しでもあるけどっ!
「大丈夫だ。手配はすませてある。ソレイユ!」
「はっ!」
て!真後ろかよ!!ビックリさせないでよ!
てか、ティアナさん目をめっちゃ開いて口抑えてんじゃん。
つか、レア表情ゲットだぜ!
て!そんな余裕はなかった。
「現状の報告を。」
「はい。エルザ様が第三衛士隊を率い、拠点の制圧にあたっております。現在、制圧はおよそ八割まで完了しており、アレス様のご助力もあって、間もなくこちらへ到着されるとのことです。」
「ふむ、わかった。それで、我はどれくらい気を失っていた?」
「刻にして6分の一刻。」
30分ぐらいってことね?おーけーおーけー!
「なかなか順調だな。『さすがだ』とエルザに伝えてくれ。それと、グラハムとのやり取りは見ていたな?」
「はっ! 伝言、確かに承りました。戦闘は一部始終、しっかりと記憶しております!」
「では、我とグラハムの戦いの際に横やりを入れた魔導師を捕縛し、エルザと合流しろ。合流後、拠点の制圧に加わるように。」
「かしこまりました。これよりこの場を離れますので、こちらを護身用にお使いください。」
おおう!鉄の剣じゃん。重いの嫌だけど丸腰もいかんよなぁ。木剣がいいんだけどなぁ……。
「ふむ。預かる。ソレイユはよく気が利くな。後ほど褒美をとらせる!では、いけっ!無事に戻れよ。」
「はっ!!!!!」
返事でっか!!!
気合い入りすぎだろ!!
てか、既に消えてるし。
なんだろ、レオンハルト様の周りってレオンハルト様大好きすぎないか?『褒美を取らせる』って言葉より『無事にもどれ』って、いったときの方が顔デレしてたぞ。
レオンハルト様愛されすぎだろ!!
「レ、レオンハルト様、今のは?」
おおう!ティアナさんごめんよー、ほっぽいて。
表情見る限り思考放棄モードは解除されたみたいね。
「我の護衛だ。そなたの悲鳴を聞いたとき、二人しかつけていなかったからな。敵の数をみて一人は護衛に残し、もう一人は援軍を呼びにいかせたのだよ。」
「そうなのですね。…………。」
ん?なんて?後半全く聞き取れなかったんですけど!!何言ったのよ???
「ん?どうした?ティアナ。」
「い、いえ!何もありません。」
「そ、そうか。」
………………
…………
……
…
やべぇ。間が持たねぇー!!あのお茶会時の気まずい時間リターンじゃねーか!
外は怒号やらなんやらでうるさいってのに、俺達だけブリザード吹いてるよ。もう、マジどうすりゃいいのよ!!!いやほんとに…。
さぁーて………閃け俺のコミュ力!!!
「ティア……
スゴォーン!! 」
たぁーーー!ビックリしたぁ!扉ふっ飛んでんじゃねーかよ!人がせっかく勇気を出して話しかけようとしたのに!!
「ティアナ!!無事か!?」
おおう、モクモク立ち上る煙の中から表れたのは主人公アレス君じゃないですか!!
てか、俺もいるからな!!!
「なっ?!レオンハルトだと?!お前もいたのかよ?一応無事みたいでなによりだ。」
おい!一国の王子への扱い!言葉づかい!かー!コイツはなっちゃないね!だめだめだわ。
「ふん!我の護衛が貴様を連れてきたと思うが?」
「あー?そんなこと知らねーよ!それより、ティアナ無事か?!」
なんだろなぁ?ゲームしてる時って気にならなかったけど、こうやってみてるとコイツはただの女好きなんじゃないのか???頭の中、女の事しかねーし。
「まぁーて!小僧!!」
あー、あー、やって参りましたね。ボスイベントですね!知ってますよ知ってます!!アレス君が飛び込んだ後、追ってきますもんね、あんた。
「小僧!逃がさんぞ!!」
「誰が逃げるかよっ!!お前はここで仕留める!!」
いや!まて!仕留めるなっ!
って、思っても遅いよねー!知ってる。
戦い始まってるし。しかも、横から加勢なんて出来るレベルじゃねーし。まぁ、仕方ないか。
それにイベントの運命力が働いてるなら仕留められないだろうしな。
とりあえず、ティアナを守れるように移動しとくか。
「ティアナ、我の後ろに。」
「そんな!!レオンハルト様、私を盾に!!御身になにかありましたら、私は……。」
「馬鹿者、助けに来たものの背に隠れるなんてあるわけがなかろう。それに……」
カン カカン
二人の戦いで生じる破片を弾く位なら俺にも出来る。まぁ、弾き切れない分は体で受けてるけどね!
「我にはこの剣があるからな。この程度ならどうということはない。大人しく守られておれ。」
「?!アリガトウゴザイマス。」
あー、これはまた例のモード突入したよね。
もうなんてかね、声のトーンでわかるよね。
悲しくなっちゃう。
さて、それは良いにしてもさっきから破片めっちゃ飛んでくるじゃん。
ティアナも居るんだから少しは気を使えよ、主人公!!
どうせおまえ勝てんだからさぁ、たぶん。
まぁ、本人必死だろうけど。
てか、すでに俺のついて行けるレベルじゃねー!
オッサンの攻撃もアレスの攻撃も対応出来るもんじゃねーぞ、あれ。完全に人外の動きなんだが…。
あんなのとやりあうとか無理すぎる!!
レオンハルト様、ゲームシナリオとはいえ決闘よく受けたもんだわ。アホとしかいえね。
ライターもう少し頭ひねれよって思うよなぁ。
お!アレスのやついい一撃決めたな。
あー、効いてる効いてる。
「くそ!おまえらわかってんだろうな!!」
お?セリフにアレンジきてるじゃん。うけるー!!
て、アレス君まったく気にせずツッコんでるけど。不発したって事はソレイユが上手くやったんだな。
「なに?!」
ベキィ!!!!
おーおー、痛そう。思いっきり胸板にアレスの剣が食い込んでんじゃねーか。
つか、血が出てないとこみると刃引きしてあるのか?
「がはっ…」
見事な一撃で。
てーか、ちゃんと残心もしてたのなぁ。無警戒に背中向けて斬りかかられたと思ってたけど実際そうでは無かったんだな。
発見発見。
まぁ、興味ないけど。
「ティアナ、無事かい?」
あらまぁ、満面の笑顔ですこと。てか、俺の心配せーや!王子やぞ!!!
視界からはずすなや!
つか、ティアナおまえの位置から見えてねーだろが!!!そんな風に女ばっかみってから隙ができんだろーが!!
「しねーーーー!!!こぞおおおおおおおお!!」
がきん!
せっかくやられたフリして、アレス君が隙見せるまでぶっ倒れてたのに残念だねぇ。
俺の方からは丸見えだったよ。
見えてたら俺にでも弾くくらいは出来るからね?最弱ボスとか言われてもこれくらいはね。
てなわけで、俺が華麗にグラハムの攻撃をパリィしてやった。
いやいや、ティアナさん目をまん丸にして驚き過ぎでしょ。つか、アレス君めっちゃ悔しそうだな。
「エルザ!!」
「はっ!!!」
うん。居ると思った。だいぶ前から回りが静になってたし片付いてるとは思ってたよ。それにしても、流石だわ。あれだけアレス君が苦戦したグラハムを素手で瞬時に無力化ってか、気絶させるとか強すぎっしょ。
ごきっ!でどさっだぜ?
あれ、リアルに出来ないらしいけど、やれちゃってるのに驚きだわ。
「エルザ、良くやった。」
「はっ!ありがたきお言葉!」
「そやつらだが、何をしても構わん。全ての情報を吐かせ、父上に報告をあげよ。」
「はっ!レオンハルト様への報告はいかがいたしましょう。」
「いらぬ。我が知ったとて、何が出来るわけでもない。父上が知っておれば十分よ。それよりティアナとアレスが無事に家まで戻れるよう手配を頼むぞ。」
「はっ!かしこまりました。それでは、失礼致します。」
おおう!?グラハムごと消えたよ。
さすがエルザさん!!
後は任せときゃなんとかなりそうだし、これでフラグは問題ないよな。
「レオンハルト!」
あー、アレス君。さっきから話しかけたそうだったもんね。待たせてごめんよー。
さてさて、なにかね?
「すまない。お前のおかげで助かった。ありがとう。」
おお?なんだ?やけに素直に。まぁ、たしかに助けたしこれは普通の反応か。
「気にするな。我もそなたに助けられた身だ。お互いに助ける必要があったから助けた。それでよかろう。」
「お?おう。そうだな。うん。」
「研鑽に励んだ見事な戦いぶりであった。そしてなにより、助けに来てくれたこと礼を言う。」
「え?!おっおう!まぁ、クラスメイトだしな!当たり前だ。当たり前!(最近のコイツはなんか調子狂う)」
「ふむ。ありがたいことだ。」
「レオンハルト様、失礼いたします。準備が整いました。」
「うむ、ご苦労。話してるうちに衛士もお前を迎えにきておる。無事に家まで帰るのだぞ。」
「ん?おまえの迎えじゃねーのかよ?」
「馬鹿者、我は王族ぞ。この者達は我が命にて動いておる。その場を我が一番に退場してどうする。今この件の責任は我にある。そなたはそなたの仕事をしてくれた、ここからは我の仕事ぞ。冒険者的な言い方をすれば役割の違いだ。」
「おっおう。役割分担って事だな。うん、わかった。それじゃあ、また明日学園でな!」
え?わかっちゃうの?!もう少し渋ると思ったけどやけにあっさりじゃね?役割分担ってそんなに説得力ある言葉なの?!言った俺がビックリなんだけど。
あー、言い笑顔で手を振りながら退場してったよ。主人公って面白い奴だなぁ、女好きだけど。
それはさておき、次はティアナさんだ。
「さて、ティアナ。そちにも話がある。」
「はい、レオンハルト様。どのような処分も受けいれる所存です。」
おっっっっも!!
いや!違うだろう!そんなおんもい話じゃねーっての!!
「そなたもなにを馬鹿なことを言っておる。罰を受けるのは、先ほどのならずもの達とそれを雇った誰かだ。そなたに話をしておかなければならないのは別のことだ。」
「べつ?ですか?」
「ああ、市民街に来るならちゃんと護衛をつけよ。」
「あっ……実は市民街に来ること自体を父に禁止されていて……。此度はアレス様に先日のお礼にと……」
先日のお礼ね。そりゃそこで黙っちゃうよねぇ。お礼の原因作ったの俺だし。たぶん黙って出てきてるだろうし。つか、ティアナさんまずいこと言ったみたいな顔してる!!
正直この表情クソレアじゃねーか!!
ゲームじゃ見れない表情やないか!!!
今日はなんだか大収穫だわ。
「ふむ。わかった。ならば、次からは護衛を連れてこれるよう、フーレル卿に我から伝えておく。」
「え?」
おおう!?理解できてない表情!!
これもレア!!
「次からは護衛を連れてくるように。わかったな?」
「あ、あの……市民街にきてもよろしいのですか?」
「もちろん、かまわん。」
「ですが……」
「言いづらい事か?…ならば、そう言った話ほど我は聞かねばならぬ。すまぬが、聞かせてはくれないか?」
「あの…申し訳ございません。……以前、レオンハルト様が市民街になど行くなと……。父がそれを聞いて、レオンハルト様の意向に従うようにと、市民街に出ることを禁止されたので……。」
あー!そういや、そんな設定あったな!忘れてた!!レオンハルト様ゴリゴリの貴族主義だからね。
「すまぬ。その事を完全に失念していた。あれから我も考えを改めた。民なくして王は成らぬ。民の心を知らねば、誰もついてこぬ。民を知るためには民にふれ言葉を交わす必要がある。そのために市民街に赴き交流することが重要と考え改めた。我は民を知り貴族を知り、どちらに傾くこともなく、バランスのとれた……。」
てーーー!ソレイユさん隠形きれてるから!!いつの間にか姿現して泣きながらこっちに熱い視線送っきてるよ!!
てか、エルザ!!おまえもかっ!!
いつ戻ってきたよ!!
二人とも大人しくみてるけどめっちゃ拍手しそうな勢いですやん!
はずいわっ!!
つか、ティアナさんまで目うるうるさせてめっちゃ感動しとるやん。
恥ずかしすぎるっ!!
「う、うむ。少し話しすぎたようだ。そう言うわけでティアナよ、今後は必ず供を連れよ。」
「はい!ありがとうございます。レオンハルト様の想い、しかと受けとりました。私もその想いに答えられるよう、より一層励みたいと思います!!」
いや、重いって!その想いを受け取ってくれる想いが重すぎるって!
愛情と妄執の境目ってなんか難しいですよねぇ。
一歩間違えればストーカー…。
結局相手あっての事だからその機微を感じるって事が大事なのでしょうね。
恋愛って難しいなぁ。上手くかけるようになりたいなぁ…。密かな願望でした。
今日も読んでくれてありがとうございます。




