えぴそーどさんじゅーなな
「面会をお許しいただき感謝する、レオンハルト殿下。
殿下のご評判は、かねがね耳にしておりました。」
にやりと嫌な笑みを浮かべながら右手を俺の方に差し出してきやがった。
ご評判ってのも嫌味のつもりなんだろうね。
んーーーーー、なんだろ?
とりあえず、めっちゃムカつく顔してるわ。
はぁ…。
まあいい、握手してやるか…。
って、こいつ! めっちゃ強く握ってくるじゃん。
手が痛いって!!
あー、そうですか。
そうきますか。
自慢じゃないがな、俺はレオンハルト様なんだぞ!!
力の強さに自信なんてない!!!
握り返してもいいけど、勝てる確証のない戦いをする気はないよ。
「ふむ……なかなかの臂力よ。
それだけ武を誇示するからには、さぞ自信がおありなのだろう。
だが、その“武”を他国の王族に向けるということが、どれほどの意味を持ち、どれほどの結果を招くか。
学園で、とくと学ばれるがよい。」
ほんともうね。 そんなことくらい俺でもわかるのにね。このクデールってヤバいくらいバカなんじゃね?
てか、俺の言葉にハッとした表情のティアナさん。
敵意のこもった目でクデールを睨みつける貴女もとても素敵です。
レア表情ゲットだぜ!
はい、てなわけでこの面会に際してわざわざ王城まで来てもらいました。
つか、突然の申し出にイラッとしたけど、親父殿を通してなら無碍にも出来ないわけで、仕方ないから場を整えました。
護衛に近衛から「王家の盾」と呼ばれるクレイドルを。
もう1人護衛としてアレスを呼びつけ、専属メイドのエルザに場の用意をしてもらいました。
んで、せっかくの休みをゆっくりして欲しかったのだけど、相手がフィアンセを連れている以上、来てもらう必要が出てしまったティアナさん。
こんなクソみたいな王子相手に、ティアナさんの貴重な時間を使わせたくなくったんだけどね。
そんなわけで、面会早々クデールがやらかしてくれました。
留学先で、しかもその国の王子の手を、握り潰す勢いで握るって馬鹿なの?!
「ふ、ふん。ちょっとした余興にも余裕を示せぬとは、レオンハルト殿は噂と違いとても狭量なのだな。」
おーー、まじかー。
今度はしっかり侮辱してきたぞ?
って、ヤバ!! エルザさんが震えとる?!
抑えてね!全員惨殺とかダメだからね!
「ああ、我は狭量よ。どのような噂が流れていたかは知らぬが、貴殿が国の代表として責任を持つと言うのであれば、我はいつでも相手をしようぞ?
その時はどちらかの国が滅ぶかもしれぬがな。」
誰もが目を見開き驚きの表情になる。
そりゃ、そうよなぁ。
握手で力試しするなら戦争すっか?って頭のおかしな発言してるもんな。
しかも、俺、徹底的にやり合う意思を示してるし、コチラの陣営…あれ?クレイドル以外は、そんなに驚いてない?
つか、むしろエルザとアレスは嬉々として…あれ?ティアナさんも嬉しそう?!
えっ?!みんなやる気満々でビビるんだけど…。
でも、相手陣営はかなり驚いてるね。
クデール本人もマジか?!みたいな顔してるし。
……なんでミティは嬉しそうなんだ?!
あの女が一番やばいかもしれん。
なんだろう、若干エルザに似た『さすレオ』的な視線を感じるのだが?
え? こわっ!!
「冗談だ。そう驚くな。そなたも我もまだ学生の身。自らの行動、言葉がどのような事態を引き起こすのか。
今後、この学園でしっかりと学ぼうではないか。」
「……あっ、ああ……。
しかし、殿下も行き過ぎた言動は厄災を招くと学ばれたほうが良いのではないだろうか?」
おうおう、戦争すんぞ?って発言は良くないよ〜ってくるのね?いやいや、普通に戦争するならするよ?
親父殿に負けんなよって釘刺されてるし。
国民には迷惑をかけるけど……、全国民のために舐められるわけにはいかんのよ。
「ふむ、そうだな。 しかし、我は狭量ゆえな、覚悟を決めるのも早いのだ。
覚悟を決めたら徹底的にやる。それが我の信条よ。
覚えていてくれると助かる。」
「……っ、わ、わかった。
いずれにせよ、我らは今日より学友となる身。
無用の争いは望まん……。」
チキりやがった。って、当たり前か。
俺にもう少し"武“の自信があれば決闘でもよかったんだけどね。
自慢じゃないがレオンハルトは弱いんだ!!
なので、やるなら総力戦!!
その時は俺の知識フル動員して、自国民が極力死なないように現代チートぶちかましたらぁ!!
銃の作り方とか知らないけどね!
さて、ま、苛烈な王子という印象は与えられたかな?
これで、無用な挑発がなくなるといいけれど、どうなることか?
「それは重畳。ソナタらがそう思ってくれるのであれば、我もソナタらを友として迎えよう。
さて、早速面会の用向きをというのも味気なさすぎるであろう。
せっかく同じ学び舎で学ぶ友が集まったのだ。
用向きは後で聞くとして、わが国が誇るスイーツを用意させた。
まずはこれらを楽しんでくれ。
エルザ。」
「イェス マイ ロード」
……その返事気にいったの?
なんか恥ずかしいのだけど…。
まあ、エルザがしっかり指揮を執ってくれてたおかげで、メイドさん達が迷いなくクデール一行を席へと案内し場を用意してくれてるからいいんだけどさ。
もちろん俺とティアナも打ち合わせておいた席に。
で、おい、アレス。
お前はなぜ右往左往する…。
事前に話したよな?!
お前の席指定しといたよな?!
なんで「俺座っていいのかなぁ?」みたいな感じなってんの!!って思ってたら、メイドさんがそれとなーく案内してくれた。
素晴らしいよ!うちの国のメイドさん達!!
うむ!俺は感動した!今日、供給に参加してくれたメイドさん達にハゴイタを贈呈する!!!
「円卓だと……」
「クデール様、これは…」
ん?なんだ?
えーと、腹黒メガネとクール君が微妙な反応したな。
そういや、ティアナ達に話した時もアレス以外は目を見開いてたか。
つか、あの後エルザがさすレオ状態なって大変だったな……。
んーーー、エルザ達だけでなく、こいつらのこの反応を見るに、円卓ってなんかそこまで意味あんのか?
「……レオンハルト殿……我々は学生であり対等であると、そう受け取っていいのであろうか?」
クデール君正解だよ。
つか、それ以外になんかあんのか?
いや、聞いてくるってことは何か意味があるんだろうけど……やべぇ、わかんね!
今回のは完全な想定外の反応だわ。
……まぁ、誰もとめないってことは悪くはないのだろうけど…。
「ああ!そうだぜ!レオンハルトはそんな事を気にするたまじゃねぇ。」
アレス!! なぜお前が答える。
んー、こんなことなら警護をクリスにするべきだった。
「だから、こいつは王になる。俺達はコイツだからコイツに王になってほしいと願えるんだ!」
おおう?!なんか、照れるじゃないか。
純粋に褒められるのもなんだがこそばゆいが、嬉しいもんだな。
が、しかし!
「アレス、ソナタがそう思ってくれるのは本当に嬉しいが、我は王でもなければ王太子でもない。ただの王子だ。まだ決まらぬ未来を口にするのは憚れる。
以後。自重するよう。」
「あ、おう。すまない。」
まったく、このバカは…。
まっ、悪い気はしねーけど。
「そして、クデール殿。わが臣が失礼した。
謝罪する。」
「あっ、ああ…謝罪をうけとる。」
「ありがとう。
して、この円卓だが、先ほどクデール殿が口にされたとおりだ。我らは学生であり、対等であるとさせてもらった。
たしかに、我らには身分差というものが存在する。
しかし、我が国の学園では身分差というものは存在しない事としている。誰もが等しく人であり、その上にも下にも人は存在しない。その考えに則った場とさせてもらった。ゆえ、皆が気兼ねすることなく、話してくれればと思う。」
まっ、一番はアレスが不安だったからなんだけどね。
万が一の魅了を警戒して、そういう状態異常が効かないと豪語してたアレスを護衛に入れておきたかったのよ。
ただ、これじゃん?
会話に入ると不安しかない!!
なので、円卓。
これは円卓だと理解してこの話し方なのか、そうではないのか気になるところだけど、円卓にしておいて良かったと胸を撫で下ろしたよ。
まっ、そんな訳で皆さんサクッと座ってサクッとお食べなさいな。
クデール一行、ミティさん以外は若干及び腰になってるけど、気にしないで行きます!
つか、まずは俺が食べて見せないと食べにくいか。
こんな風にパクっとね?
うんま!!!
俺が雇ったシェフ、すっげぇいい仕事してるわ。
マジでうまい!!ホントうんまい!
控え見目に言って最高です!!
『才あるモノはなんちゃら』ってあの布告してマジで良かった。
ほらほら、みんなも食べた食べた!
「おいしい……なにこれ?!すっごくおいしい!!」
おおう?!
ミティさん? 喜んでくれて何よりだよ。
んー、あざとい?いや、別に普通の反応っちゃ普通か?
あ、でも、普通の反応だな。
貴族とかじゃなくて普通の…。
「おお?!ミティ、気に入ったのかい?
では、この職人を紹介してもらってウチへ招こうではないか。」
「は?何を言っている、バルム。その職人を雇うのは私だ。ミティはうちの庭園を気に入っていた。そこで食するにピッタリだろう?」
「セルドアこそ何を言ってるんだい?ミティはうちの食事を一番気に入っていんたんだよ?なら、菓子職人はウチが雇うべきだろう?」
……何を言ってるんだろうか?
なんで俺が雇っている職人をコイツらに与えなきゃいけないんだ?つか、なんで雇えると思ってんだよ?
国賓を招くとなった折に、任せることのできる職人だぞ?
しっかり国に雇われてるにきまってんだろが!!
つか、今回のは個人的に俺に雇われてんだけどね。
「お前達、やめろ。場をわきまえろ。」
「クデール殿下…」
「失礼いたしました。」
「ミティ、この職人は私が責任を持って雇う。安心してくれ。」
「ちょっ!!てめ!!!抜け駆けだと!!」
「このクソ王子!バカなこと言ってんじゃねーぞ!!」
……なんだコイツら?
は?!
えーと、無礼講でいいのだが…いいのだけど……。
ウチより酷いな……。
ティアナさんも、アレスですら驚いてるよ。
いや、これはないわぁ〜。
ひどすぎるて。
「おいおい、お前らやめとけって。ミティが困ってんだろーが。」
おお?!赤髪の熱血君意外と熱血じゃなくて理知的なキャラだった?
いや、でも喋り方はあれだし……ミティがとか言ってる時点でダメだわ。 まっ、窘めるだけマシだけど。
「「「なっ!!」」」
つか、「なっ!!」じゃねーよ。
お前ら醜態に気づけよっ!!
はぁ~、マジか~。
こいつら、思った以上に酷い。
酷いが過ぎて、日本語がおかしくなるわ!!
酷いが過ぎるてなに?!
つかさ、他国だって事、留学してきてるんだって事、わかってんのかぁ?
はぁ~。
さて、どうしたものか……。
思った以上に進行が難しい…。
とはいえ…
「職人を引き抜かれるのは困るが、持ち帰れるよう同じものを用意させている。」
「まあ、それはとてもうれしいです。ありがとうございます。」
「なにっ?!職人をよこせぬだと……ぶべら!!!」
ぶっふ!!!
ミティさん、嬉しそうに微笑んだあと、スッと目が細まって王子のどたま、はったたいたよ。
あまりにスムーズで、思わず吹き出しそうになったわ。
「レオンハルト殿下、クデール様のご無礼をお許しください。」
……マジか、ミティが謝罪してくるのは想定外だったわ……。
気温の変化が急激ですね。
寒い!!
皆さん風邪ひかないようお気をつけくださいねー!
今日も読んでくれてありがとうございます。




