えぴそーどさんじゅーご
というわけで、親父殿との会談の後、急遽ティアナとアイシャ、ついでにアレスを呼び出しました。
学園で会う可能性のある3人には、言っておいたほうがいいだろうしね。
んで、なぜかアレスにクリスが付いてきた。
「主殿、おはようございます!皆様のことはしっかり警護しますので、気にせず話し合ってください!」だって
。
開口一番に満面の笑みで伝えてきたので、そのまま警護についてもらったよ。
んー……忠臣なのかもしれない……。
そのまま扉の横で仁王立ちになって警護始めようとしたから、エルザにもう一つ椅子を用意してもらって、同じ卓につかせた。
同じ学生だからね。雇ってはいるけど1人だけ突っ立ってるのもねぇ。
まっ、なかなか言っても聞かなかったから命令したんどけどさ………どっかのエルザさんを思い出したよ。
任務に忠実で礼節を重んじてくれるのはありがたいんだけど、"こうしてほしい“ってところは言うこと聞いてほしいもんだよ。
はぁ~……
さーて…
ご報告ターーイム!!
って、スゲェー、気が重いわっ!!!
「アイシャの元婚約者が、フィアンセ連れてくるんでよろしく。」って気楽に言えるもんじゃねーだろ!!
だからといって、何も伝えず不意打ちのようになるのもダメだし……。
なので、伝える選択をしたんだけどね……気分は激重っ!とりあえず、テンション上げてみたものの……ダメだわ……くそたいぎいわぁ…。
はぁ~…
「さて、今日、皆に集まってもらったのには理由がある。」
4人ともぴっと姿勢を正して聞く姿勢を作ってくれんだけど…
えーと…なんて言おう?
てかさ、「集まってもらったのには理由がある」ってなによ?
そんなの当たり前じゃんか。
理由がなければ招集せんって。
えーと…なんて言おうか…
「ふむ。どう伝えたものか。」
「ん?その様子だと問題ごとか?」
うん。いつものアレスだな。こいつはホントどこでもブレないな。
…ここ王城!!俺、王子!!
コイツには関係ないんだろうけど。
「問題と言うほどのことではない。ただ、皆には知らせておいた方がいいだろうと思ってな。」
「懸念事項ということですか?」
おお!さすがティアナさん!! グッジョブ!
その通りだわ!!
「うむ。ティアナの言う通りだ。色々と思案したが、言葉を飾ることはせず、端的に伝えさせてもらう。
――クデールとその取り巻き、そしてフィアンセが、留学生として来る。」
ハッした顔をして目を左右に泳がせ、不安そうにするアイシャを素早くティアナが抱きしめる。
「クデール?どっかで聞いたような……あっ!!
こないだクリスとお前が話してた奴か?!」
おいおい、神聖国の王太子だからな。有名だからな?将来的に廃嫡させられるけど、まだ王太子だからな!
名前、忘れてんなよ!
周辺国の王族、重要な貴族は、学園でも習ったでしょうが!
「ああ、そいつだ。正直、奴らの意図が全くわからん。何をしたいのか、全くもって想像がつかんのだ。なので、ソナタらを集めた。」
「わかりました!我、王!
到着前に事故に見せかけ処分してまいります!」
は?
スッと立ち上がるクリス。
は?
何いってんのこいつ?
は?
いや、ガーディアン! ダメだろう!
暗殺とか平気な人なの?!
え?
パラディン候補だったよな?!
パラディンって聖騎士だよな?!
聖職者よな?!
え?
えーと…
「そんなことは望んでおらん。」
「そうなのですね!わかりました。我、王。」
「はっはー、クリスはおっちょこちょいだなぁー。
レオンハルトは暗殺なんて考えないよ。」
おお?!アレスがわかってくれてる!
なんか感動なんだが。
「レオンハルトは、自分の手でこの世の地獄を味あわせたいんだよ。」
何、言ってんのーーーーー!!
俺、一言もそんな事言ってないよね?
わかってると思ったら、なんて過激な!
しかも、2人とも腹の中、真っ黒な発言で俺は怖いよ?
「そんなつもりもないわっ!!!
お前ら俺をなんだと思ってる!!」
おおう?!自動変換突破した?!?!
「あっははは、冗談に決まってんだろ。」
「え?」
……クリスが「冗談なの?」って顔してるじゃねーか!
暗殺は本気でしようとしてたじゃねーか。
つか、この子、脳筋な上に極端だなぁ。
汚れ仕事も忌避感なさそうなのがよけい怖いんだが…。
「まったく。
とりあえず、何しに来るかわかんないから、各自警戒するようにってだけだ。あと、プラチナムナイツ!」
………
……
…
へんじがない ただの アレスのようだ
「おい!お前らだよ!!」
「ん?俺?なんで?」
「…白銀騎士団」
「おう!」
プラチナムナイツではなかったらしい…。
恥ずかしい!
そう言えばファンブックにもゲームにもルビなかったよ。てか、ずっとプラチナムナイツって読んでたよ!!
「えー、白銀騎士団には護衛を頼みたい。
こちらから仕掛けるのは、無しだ。
ティアナ、アイシャ、そしてソナタら自身をしっかり警護してくれ。
やれるか?」
「おう!任せてくれ!」
「かしこまりました!我、王!」
よしよし、これで一段落と思ってたらエルザがクリスに何か耳打ちしてる。
「はっ!わかりました!エルザ様。
主殿!やり直しの許可を!」
は?
やり直し? 何を?
「かまわないけど…」
許可した途端クリスの顔がめちゃくちゃ嬉しそうなんだが?
「かしこまりました!イェス マイ ロード!」
すかさずエルザが耳打ちする。
「イェス マイ ロード!」
恥ずかしそうにもう一度言い直したよ。
あー、「かしこまりました」はいらないって言われたのかな?
「おお!!それかっけーな!俺も俺も!!」
おおう…お前もかアレス!
……
…
やんねーの?
……
…
あっ、許可待ちか?
「かまわぬ。」
「イェス マイ ロード!!」
あ、はい。ありがとう。
いるか?これ?いるか?
まぁ、このやり取り見てた、ティアナとアイシャに笑顔が戻ったからいいけど…。
「従兄弟殿、気遣いありがとう。」
「あ?おう。気にすんな。」
「ふふ、今日はその話し方なのだな。」
あっ、そう言えばさっき変換突破してから喋り方が普通になってんな。つか、普通がどっちなのか、俺も謎だけど。
「それでだが、妾達に護衛を付けてくれるのはありがたいのだが……。」
ん?どしたの?なんか言い淀むようなこと?
ん?
「だが?どうした?」
「……ふむ、妾の考え違いなら良いのだが、警戒せねばならぬのは従兄弟殿かもしれぬ。」
「俺?」
「確かに。そうですね。
今までの状況や経緯を鑑みても、我々女性よりレオンハルト様を中心とした男性のほうが、警戒を必要とする可能性が高いかと。」
え?
ティアナさんも同じ考えなの?!
あー、うん?
え?
なんで???
「すまん。よくわからないんだけど?」
「そうか…妾の話になるのだが、クデールとはそれなりに愛を育んでいたと思っておった。
だが、気づけばこの有様…。
その後、あの娘はクデール以外に4侯の子息達と婚姻を結んだと聞く。」
は?!
はぁーーーー?!
被害者増えてたの?!
エルザから何も聞いてないよ?!
「……何度か報告は上げておりましたが…流民の件でお忙しくされていたので、抜け落ちてたのかと…。」
まじかよ!!
めっちゃポカしとる。
そうだ!そいや、断罪裁判とか言ってたんだよ。
そうだ!!そうだ!!
俺と同じか転生あるいは転移?そんな人間かもとか考えてたわ!
遠いし関係ないから脅威にもならんと思って放ったらかしにしてたけど…。
くっそ!それなら、しっかり調べてりゃ良かった!
んで、4侯子息を籠絡しとると。
逆ハーレムルート完成してんじゃねーか?
しっかし、この世界と陸続きな乙女ゲーとかあったか?
ファンブックにもその辺書いてなかったよな?
んーーーーー、こんな摩訶不思議なこと、ゲーム以外じゃ起きないと思うんだがな?
『現実味がなさ過ぎる現実』が引き起こってるという謎現象。
頭が混乱するわ!!!
いや、それよか神聖王国大丈夫なんか?!
「…アイシャ、他国の事でよくわからないんだが、4侯爵の息子たちってことであれば、婚約者もいたのではないのか?」
「もちろんいた。妾のように他国の姫というわけではないが、婚約者として伯爵家や辺境伯から娘が選ばれていたはずだ。」
「…それをふるい落として婚約を結び直した?」
「そのようだな。」
「しかも、一妻多夫?」
「そうなるな。」
「そのうち1人は王太子だよな?」
「言いたいことは分かる…。妾も報告を聞いた時に国の正気を疑った。」
「だよな。」
ちなみにこの会話理解してるのはアレス以外の全員。
アレスは1人蚊帳の外でボケ~っとして事の重大さがよく分かっていない様子。
あの脳筋クリスさんもちゃんと理解できていそうなんです!!
さすが伯爵家子女! 少し安心しましたよ!
「ふーむ。となると、アイシャの言う通り確かに俺やアレスの警戒を強めた方が良さそうだな。」
「ああ、妾はそう思う。」
「なんでだ? いくら他国の王族だといえ、俺は負けないぞ?」
えーえー、そうですよね。自国の王族ですら簡単にケチらせる強さだからな、お前。
自覚してね?お前強いからな?
「おおう、そんな褒めるなよ。」
……エルザがアレスに耳打ちしてやがった。
アイツ、何吹き込んだ!!!
「まぁ、そんな俺でもお前には敵わねーけどな。」
ちょっ?!なに?!なんか褒められたんだけど…。
顔赤らめてモジモジしながら褒めるとかマジいらんのだが!!!
で、エルザ!!!
興奮しない!喜ばない!!
ソレイユ!!
隠行切るな!!!かくれて…ルナ!お前もか!!!
腐ってやがる!!
あ、ティアナさんとアイシャも腐ってね?
なんか目の輝きが、レオンハルトを見る時の狂った姉に似てるんだが…。
やめてーーーーーー!!!
そしてクリス、お前は平和だな。
うんうんって1人頷いて茶をすすっとるよ。
「まったく、お前ら…。アレス! 俺たちが気をつけるのは、誘惑や魅惑といった類の魔法だ。」
「誘惑に魅惑? んー、俺、特殊体質でその辺の幻術系の魔法は全く効かないぞ?」
え?!マジで?!そうなの?!
初めて知ったわ!
つか、ゲームにそんな魔法なかったし。
あー、でも確かに。
ギャルゲの主人公が誘惑されて仲間攻撃するとしたら、PTの女性陣だもんな…。
DVとか最悪だよな。
そら、そのシステムは導入しないか。
となると、危険なの俺だけ?!
「そうなると、危険なのは従兄弟殿だけということになるな。」
あ、やっぱり?
…そら、そうだよな…。
ぐぬぬぬぬ…
絶対大丈夫だとは思うけど…
魔法とかよくわからんものに対抗できるか、自信はない…。
となると、エルザ…ダメそうだな。アイツは何でも肯定しそうだし…ソレイユやルナもこれはできないか…。
なら、ティアナ…うん、ティアナに頼ると余計こじれそうだし……アイシャも同じ理由でダメだな…。
となると、アレスかクリスか…。
「アレスにクリス、お前達は、俺を殴れるか?」
周囲がピリっと姿勢を正す。
表情を見るにアレスとクリスはわかってねーな。
エルザ達とティアナ、アイシャは正確に読み取ってくれてそう…。
つか、この二人は何を考えてるかさっぱりわからんな。
「あの主殿…。私としては主殿が望むならかなえてやりたいとは思うのだが…そういった特殊なプレイはだな…そのティアナ殿と楽しまれたほうが…ぶべらっ!!」
思いっきりクリスの頭をはたいちまったよ。
え? これって俺が悪いの?
「いえ、これはどう考えてもクリスが悪いです。
後でちゃんと教えておきますので、お気になさらず。」
えっと…静かにティアナさんが怖いです!!
笑顔がとてもとても綺麗で怖いです!!!
つか、俺、声に出してないよ?!
なんでわかんの?!
「え?私?え?」
ちなみにクリスは絶賛混乱中です。
「クリスさん、後でゆっくりお話しましょうね?
アレスさんもそれでよろしいですよね?」
「あっ、はい。…しかし、レオンハルト、「殴れるか?」ってのはどういうことだよ?」
うん。やっぱ分かってなかったね。
クリスみたいに斜め上の理解をするよりいいけどさ。
「ああ、俺がティアナ以外を懸想し始めたら盛大に殴ってくれ。罪には問わん。
あ、ちょっと待て。お前にそういうと加減を間違えそうだしな…。
障害を残すような殴り方も、俺が死にかけるような殴り方もだめだぞ? 加減しろよ?
手加減さえ間違えなければ、罪には問われんようにしておくからな?
そこの加減は頼むぞ?」
「おいおい、バカにしすぎだろ。そこまで言われたら意味も理解できるし加減はするっての。」
おお!!アレスが馬鹿だと思っていたらそれなりに賢くてよかったです!って、当たり前か。校内全教科2位以上の実力者だもんな。
まっ、たまに勉強ができるだけの奴ってのもいるから。そうじゃなくてよかったよ………って、なら、日頃の行いもっとちゃんとしろやっ!!!!!
「ぷっ、ふふふ。レオンハルト様ったら。もぉ、場を和ませようと道化を演じられて。」
え?なんか、ティアナさんにウケた!!
意図せず綺麗な笑顔を見れて俺得です!!
がっ!!
道化ってなに?!
「わかりました。クリスさんへのお話は軽くしておく程度に留めますので、お気になさらないでください。
まったくお優しいのですから…。」
って、なんの話?
つか、クリスが震え上がってたのね?!
なんかやたら俺にすがる目を向けてるのだが?
え? これで助かったってこと?
よくわからんが、よきにはからえ。
「クリスはティアナ任せるよ。ま、それはそれとして、魔法を使われたとしても、俺がティアナ以外に懸想するなんてないだろうから、安心してるといいよ。」
大見得切りましたぁーー!!
もうこれで後には引けない…何が何でも見失わない覚悟を決めた!!
「アリガトウゴザイマス」
うん!最近わかってきたんだ!!
これはティアナさんが、照れてしまった時の反応だと!!
効果音ないけど上昇効果音がなってるんだと理解したんだ!!!
さーて、クデールのフォアンセさんよ。
かかってくんなら覚悟しろよっ!
こちとら覚悟を決めかんな!
てめぇらなんかにゃ、負けねーよ!!
って…名前なんだったっけ?
「……ミティです。レオンハルト様……」
…エルザさんありがとう……
本格的に冬になってきましたねぇ。
寒いっ!!!
今日も読んでくれてありがとうございます!




