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えぴそーどにじゅーいっち

テントを出ると人が増えるたびに拡張されてきた中央広場に全住人が集められ、木箱を重ねて作ったお立ち台が用意されていた。


そこにバルバロさんが立つとざわついていた住人達がい一気に静まる。


「これより我らが長、レオ様より我らが進むべき道を示して下さる。心して聞くように!」


え?それだけ?もっと前振りとかなんかないの?つか、長ってなによ?俺、そんなもんなったつもりないよ?


「レオ様、市井の英雄と共に流民街のボスとも呼ばれております。」


と、戸惑ってるとこっそり教えてくれるエルザさん。いやいや、今その情報必要ないけどね!まぁ、否定したとこでなにか変わるわけでもないし。それでいいけどさ。


「皆の者よく集まってくれた。礼言う。」


礼を言う必要はあるのか?って疑問はすこしあんだけど。なんとなくそう言った方が良い気がした。実際必要なのか?


「もう既に皆の耳にも入っているとは思うが『一斉検挙』が行われる。端的に言えば、噂は真実だ。」


瞬時に周囲が騒がしくなる。

そりゃそうだよね。ようやく安定してきて安心できると思った矢先にこれはねぇ。


「そこで皆は王国の意向に従い検挙されるか?」


たしかにそれも一つの選択肢なのだ。選ぶか選ばないかで言えば選ばないだろうけど。


ガヤガヤとまた騒ぎ出す住人を眺め


「否!!」


その一言に強い力を込めると、そこに静寂が訪れた。


「国元に戻ったところで何もない!よくてその日暮らしの宿無しだ!悪ければ造反罪でさらし首にされるかもしれない。そんなところに戻れるはずはないだろ?」


「そうだ!」「そうだ!」と忍ばせているエルザの部下がはやし立てる。


「だから私は皆と共に魔の森に流民の街を築くと決めた!!国元を離れ流れ着いた民が集う街。王族も貴族もなく、努力し実力を示すことで地位を得る事の出来る街。そんな街を皆と共に私は作りたい!!」


少し騒がしくなっていた広場が一瞬静けさを取り戻し爆発した。歓喜の爆発。打ち震えた民衆の感動があたりを包んだ。


「しずまれ!話はまだ続いておる!!」


バルバロさんの大声で騒がしくなった広場がまた静けさを取り戻す。


「皆が賛同してくれたようで、私も嬉しく思う。だが、そんな街を作るには他の国々に認めさせる必要がある。その為これより拓く街に住む者達全てに、命をかけた契約をして貰う。それをもって各国の許可を得る。」


「契約?」「なんだそれ?」「命をかけるのは……」と様々な反応が聞こえてくる。


「簡単なことだ。私達が拓く街は侵略戦争を行わない。戦力は防衛のみに使用する。戦力を他国に貸すこともしない。それが人道的な支援であったとしてもだ。そこに住まう者が元の国に対し反逆の意思を持って戦争の火種になるような徴兵、策略、犯罪を行わない。もしこれら禁に背いた場合、命をもって償うとした魔法契約を結んで貰う。」


魔法契約は非常にに強力だ。その為命を賭けた契約など普通は行わない。命を代償とした契約をしてしまえば破った途端に命が奪われる。また、それを防ぐすべがないため禁忌契約の一種となる。


流石にどよめく広場の住人達。


「さて、ここで機会を与えよう。この後広場に窓口をつくる。私と共に街を興そうという者はそこで契約を結ぶがよい。契約が出来ない者は残念だがここでお別れだ。


冷たいように思うだろうが、私は私についてくる者達を守る義務がある。危険にさらすわけにはいかないのだ。


その事を理解してくれると嬉しく思う。もちろん皆を守る為に全力を尽くす。しかし、魔の森で街を拓くのは簡単なことではない。まず、魔の森に到着するまでが危険だ。到着したとしてもまだ何もない。そこにも大きな危険が待ち受けているだろう。


もしかしたら犠牲が出るかもしれない。


その事も考慮に入れて考えて欲しい。最後に期限は明日の朝までだ。昼にはここを発たねば、追いかけてくるであろう王国騎士団に検挙されてしまいかねない。


あまり時間は与えられなが、しっかり考えて選んで欲しい。最後に忠告だ。もし契約を行いたくない者は今のうちにここから離れることを強くすすめる。


必ず一斉検挙はなされる。今なら国境を越えることも出来るだろう。私についてこれないという者は今すぐ逃げろ!窓口で少しばかりの食料は用意する。それを受け取り出来るだけ遠くへと逃げろ!これが私の出来る精一杯だ。皆、よく考えてくれ、以上だ。」


相談する者、その場を後にする者。家族で集まる者。それぞれがそれぞれに動き出す。みんな付いてきてくれるのか?一部だけなのか?どうなるかなんてわからない。はたしてこの解決方法で良いのかもわからない。だけど、盤面は動きか出した。何もしなければ元の国へともどさせるだけだ。


最初は自分の生死を考えて関わってたはずなんだけどいつの間にかそれを忘れて支援していた。思い入れもある。出来るだけ多くを助けたいとおもった。


これが助けることなのかどうかもわからないけれど、エルザに相談すると『御心のままに』と。


エルザの答えは肯定がすぎて不安しかない。だからといって動かないわけにもいかない。だからおもったようにした。御心のままにと言われて御心のまましてやった。


エルザの用意した部下に窓口を設置し契約、案内、質疑応答、食料の援助を対処して貰う。その形を作り終えると、バルバロさん、グレン君、クレアちゃんにちょろっと挨拶をして俺は次の予定場所、ティアナ達の元へと向かった。


ティアナ達ほっぽって出かけらんないでしょ?あと数日で学園は春休みに突入するとはいえね。


お茶会とか出来なくなるし。休み明けに戻ってこれるかもわかんないし。流民関係の話は誰にもしていないから、黙ったままってのはなんだか気が引けるんだよねぇ。

別に秘密にしてたわけでもないんだけどね。今まで何も考えていなかっただけでここに来て『放置はまずくないか?』って思ったわけよ。で、急遽お茶会をセッティングして貰いました。


てな訳で、約束の部屋に到着すると三人は既にテーブルにつきお茶会は始まってた。


あっれぇー?おっかしいなぁ?約束の時間前に来たはずなのに???


「おにぃさま!!おかえりなさい!」


たっと、席を立ち上がりささっと抱きついてくるリアーナ。反射的に頭を撫でてしまったよ。

ティアナもアイシャも立ち上がりその場で見事なカーテシー。


「すまない。待たせたようだ。」


「いえ、私どもが先に集まり話しておりました。」


「そう……なんだ。」


俺抜きで話すとかなんだろ?少し寂しいし気になる!


「はい。レオンハルト様、今日はどのようなお話があるのでしょうか?」


ティアナさんの引き締まった表情を見るに今から話すことがある程度予想ついてるのでは?あー、義父上から聞いたかな?あ、アイシャはある程度知ってるか。


ん?いや、エルザさんアイシャをこの件には関わらせてなかったよな?アシュクとハゴイタに集中させてたはずだし。となると、情報源は義父上しかないか?


「うん。そうだね。まずは皆座ろうか。」


「はい」と言う声と共にそれぞれが席に着く。

さっとエルザがお茶を用意してくれたのでまずはそれを一口。


「さて、俺は明日から魔の森へと立つ」


そのように切り出し、事の経緯を語って聞かせた。流民の事、新しく作る街の事、永世中立国の事、そしてその街に住む条件を。


俺が話し終えると顔を真っ赤に興奮させたリアーナがテーブルに手をつき身を乗り出していた。


「やっぱりレオ様はおにぃさまでったのです!わたくしはずっと『おにぃさまだ!』と思ってたのです!流石なのです!凄いのです!リアーナのおにぃさまは天才なのです!!」


おおう!超絶全肯定リアーナ。素直に嬉しい。そこまで俺は凄くないんだけどね。でも、パーフェクトな全肯定は嬉しい。


「ふふ、そうですね。リアーナ様はずっとそうおっしゃってましたものね。」


え?そうなの?そんな話してたの?俺知らないよ?てか、『なのです!』って同意してるリアーナがまたかわいい。


「そうだな。妾も従兄弟殿ではないかと疑ってはいたが、リアーナのようには思えなかった。リアーナは従兄弟殿のことをよくわかっておるのだな。」


アイシャの言葉に嬉しそうにクネクネするリアーナ。マジ天使かっ!!!これがあのグリードなら……『え?キモ』ってなって終わりだな。


うん。


「して、従兄弟殿。妾達は何をすれば良い?先程もいかにしてソナタを支えるか相談していたのだが、どのように関わって良いかもわからず。まとまらなくてな。最終的に従兄弟殿に指示を仰ぐ事としたのだよ。」


あー、そうなんですね!その為に早く集まってくれてたのね。いやぁー、ありがたい。


にしても、それって正妻や側室がすることなんじゃ?いや、深く考えないでおこう。幼いリアーナはたぶん純粋に興味本位だろうし。アイシャは……部下だからだよね?側室狙ってないよね?娶らないよ?


「レオンハルト様?出過ぎたことだったでしょうか?」


「いや、すまない。ありがとう。そのように考えてくれていたのかと感動して言葉が出なかった。感謝する。」


「まぁ」っとすこぶる笑顔のティアナさんに少し照れたようなアイシャ。リアーナちゃんは超絶ニッコニコ「おにぃさまに喜んで頂けてリアーナはとても嬉しいのですっ!」だって。


年の離れた妹は可愛いってより、これはもうリアーナだからかわいいんだと思う。


さて、それはそれとして彼女らにして欲しいことなんて考えてなかった。まぁ、いつものようにノープランなんすよ。


とりあえず「森いくからいないよー」って伝えるだけのつもりだったんだけど。この空気はそれを許してくれなさそう。さーて、どうしたものか???


つか、最近こんなんばっかや!出たとこ勝負すぎるだろ!!おれっ!


それはさておき、この中で役割をしっかりと与えているアイシャには指示が出しやすい。問題は残る二人なのだけどまずはアイシャからお願いしますかね。


「アイシャ、君には今まで通り『アシュク』と『ハゴイタ』の販売をとりまとめて欲しい。俺とエルザが王国から離れるため、君に任せたい。研修は今日までとして明日から指揮してくれ。また、森を拓く為の財務管理を願いたいのだが可能か?」


「なんと!思った以上に重役が回ってきたモノよ。財務管理など外様の妾に任せてよいのか?」


「そこは信頼している。可能か?」


「ありがたい話よな。難しいとは思うが不可能ではない。部下をつけて貰えるなら、それなりの成果は出して見せよう。」


「わかった。エルザ手配を。」


「はっ!」といつものようにすぱっと消えるエルザさん。もうこのメンツだと誰も驚かなくなりました。日常なので……。


「ティアナ、君にもお願いしたい。」


「はい。なんなりと。」


「婚約を解消した身でこのような頼みをするのは心苦しいのだが、俺の代わりに『俺がしていることの全て』を取り仕切って貰いたい。もちろんそれには先程アイシャに頼んだ遊戯や財務の事も含まれる。全ての総責任者として、俺の名代を頼めないだろうか?」


「私でよろしいのですか?それこそアイシャ様の方が実務をこなされて内情をよく把握されていると思うのですが。」


「えーと……、すまない。うまく伝えることが難しいのだが……その……。俺は……俺はティアナとの婚約を破棄した。だが、前にも言ったが……あの……その……君のことをその……あ、愛している。相応しくなりたいとおもったから……そのええっと……。なんて言えばいいのか……、俺の妻は君しか考えられない。から、その……えーと、将来のことも考えるとこれは君にしか頼めない。すまない。うまく伝えることが出来ない。これでわかって貰えると嬉しいのだけど……。どうだろうか?」


はい!やっちゃいました!何言ってんのか訳わかんなくなりました!!リアーナは真っ赤だし

アイシャのハイハイって感じがもうなんかね。

言われた当人も真っ赤になって……これは機能停止かな?


この反応だけはよくわからん。+に取って良いのか-の反応なのか。ティアナが以前からレオンハルトを愛していて直接的な発言に照れてフリーズなら良いけれど、『えー。そんなこと言われても参ったなぁ、困るんですけどっ、キモイナァー』的な感じのフリーズだったらと思うと怖くて仕方ない!!


「アリガトウゴザイマス。オウケシマス。」


片言の了承は得れたよ。ほんとこれどうなんだろ???つか、めっちゃはずかった!!こんなこと言うつもりは無かったのに会話って怖いわぁー。


「お、おにぉさま。わたくしはなにをすれば?」


おずおずと名乗りを上げるリアーナちゃん。気まずい空気を察して声をかけてくれるなんて、やっぱりウチの妹は天使です!


「天使です。」


「ひゃ?!」


「あ、ああ。すまない。俺の妹は天使のように可愛いなと思ってな。そうだねぇ、リアーナには二人のフォローをお願いするよ。」


「あわわわ、おにぃさまがわたくしを天使だなんて。はわわわ。」


あっ、やべ。軽くトリップしとる。


「リアーナ?おーい?リアーナ?」


「はいなのです!任せるのです!リアーナがふたりのおねぇさまをお支えするのです!!」


おおう?!急にスイッチ入った。


それぞれにやんわりと役割をお願いしたけど直接的な指示は出してないんだよね。そこがそこはかとなく不安なんだけど、上手くやってくれると信じましょう。


「では、後の引継ぎはエルザから聞いて貰えるか?」


「はい。おまかせ下さい。」「力の限りやってみせよう。」「はいなのです!」と三者三様のお返事を頂きました。これで引継ぎは丸投げできるかなぁ。エルザさん後はおまかせします!よしなにー。


「はっ!」


えっ?!今の声だしてないよ?聞こえたの?なんで?!つか、エルザさん時々心の声聞いてるよね?絶対聞いてるよね?


「いえ。」


返事してんじゃねーかよっ!!!


「レオンハルト様のことはなんとなく気配でわかるので……」


「限界オタが限界突破した姿かっ!!!」


「限界オタがなにかはわかりませんが、たぶん私は限界オタではないです。しかしながら、私と同等のことを限界オタというのが限界突破しても出来ないのではないかと愚考します。」


「愚行せんでええわっ!!てか、限界オタが突破した以上の存在ってなによ!凄すぎて怖すぎるわっ!」


「そのようにお褒め頂くとは、感動の極みでございます。」


「褒めてねーだろっ!」


って、気づいたら声に出してたよ!つか、三人とも目をまん丸にして笑い出した。


「今日はまた私の知らないレオンハルト様の一面を見ることができました。」と嬉しそうに笑うティアナさん。


「従兄弟殿にもそういう一面があるのだな」と嬉しそうなアイシャさん。なぞっ!!


「おにぃさまは最高なのです!」とよくわからないリアーナちゃん。大丈夫か?!


この後、アイシャにからかわれながら楽しい一時を過ごすことが出来ました。まぁ、お茶会の後は明日までにやること山積みなんで大変なんですけどね。人間息抜きも必要って事だよね。


あれ?そいや、エルザさん結局心の声は聞こえてるのか????謎だけが残った。


いつも読んでくれてありがとう!

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