えぴそーどにっ
さっさと舞踏会を中座した俺はエルザの案内で王の執務室へと来ていた。
「こうして会うのは1年ぶりかレオンハルト!久しいな。」
「お久しぶりです、父上。ご健勝なようで何よりです。」
たしか毎週のように王城の庭園でお茶会してたはずだけど、会うの一年ぶりなの?!
初めて知ったんだけど。
「そうだな。残念なことに風邪すらひかん!たまにはゆっくりしたいもんだよ。そもそも、こんなもんはさっさとお前に譲って俺としては冒険に出たいんだ。」
たしかに王様ってより冒険者ギルドのギルドマスターとかのが似合いそうな風貌だもんな。
つか!王様初めて見たわっ!
ゲーム上に一切でてこないくせに名前だけはやたら見かける謎キャラクター。
ふむ、レオンハルトを粗暴にした感じのイケオジだな。
まぁ、流石はゲーム内王族って感じの美丈夫だよ。
「にっしても、お前面白いことやったなー。まぁあ、俺としちゃ面白いしアリなんだが……お前の未来の義父様がな!ほら、あのとおりだ。」
やけにフランクな国王ギリアムが隣に控える未来の義父様こと現宰相ヒースクリフを指す。
めっちゃくちゃ睨んでて正直すんごく怖い!!
「レオンハルト様、お久しぶりです。」
「あっ、はい。お久しぶりです。」
この光景を見たギリアムが大きく吹き出す。
「ぶっは!ふははは!おいおい、おまえらなんだよ、それ!レオンハルトもびびんな!びびんな!
ヒースクリフはもうちょっと手加減してやれ。今のお前は俺でも怖い。」
そう!丁寧な言葉ににじみ出る殺気が恐ろしいのよ!
俺パンピーだかんな!レオンハルトじゃネーからなっ!!って、言えねーけど。怖いわっ!
つか、パンピーっていつの死語だよ!!実際、聞いたことないわっ!ビビりすぎて昭和レトロだわ!
え?意味不明?大丈夫!
俺、今めっちゃテンパってるから!理性仕事してないから!!
って、あ!
ヒースクリフ、盛大にため息なんかついてるし!!聞こえてるからね!それ、見えてるからね!!
怖いからね!!
「事情はギリアム様も私もシラガより聞きました。それでこれはどういうことです?」
「おいおい、ヒースクリフ今は俺達3人だけだ、いつものように話してやれ。丁寧になればなるほどお前は怖いんだよ。」
王様三人って言ってるけどエルザも居れば他のメイドもいるから!!まぁ、わかってて言ってんだろうけど。
「はぁー、まったく。では、レオンハルト君説明して貰おうか?私はあの子の父親だからね。聞く権利はあるよね?」
口調はフランクになったけど目が笑ってねーって。こえぇよ。
「お聞き頂いた事を再度お話しすることになりますが、私がティアナ嬢に相応しくなかった。だから、婚約を破棄させて頂きました。」
「ふむ……。報告を受けたときは驚いたが本当にそのままとは……。」
「ほんっと面白いこと言い出したよな、コイツ。」
王様がニヤニヤうざいです!
「んで?お前はそれでどうすんだ?」
どうする?え???どうするってなに?!え???やっべ!んなこと考えてなかった!!
どうする???どうするよ?
てか、二人の視線が、まじでこわい。オヤジ様なんて「わかってんだろうな?お前よぉ?」って感じでなんかチンピラみたいだし。ヒースクリフ様はヒースクリフ様で蛇みたいにねちっこい視線投げてくるし……
いーーーやーーーー!
「た、足る男になります!」
「足る男になる?おう、そんで?足る男になったらどうする?」
どうするって……ああ、そう言うことか。運命力ってやつか?因果律ってやつか?物語に戻れって事な。
くそかよっ!ぜってぇー負けないからなっ!あらがってやる!!
「その時はティアナに婚姻を求めます。ですが、それを受けるか決めるのはティアナに任せて頂きたい。そして、父上もヒースクリフ殿もこの件に関しては一切干渉しないでいただく!」
「干渉するなと?それはどういう?」
「ヒースクリフ殿、私もティアナも世の中を知らなさすぎた。学園に入るまでは私と彼女の世界で完結していました。
ですが、学園に入りお互いに世界は広がった。そこで、私はあまりに足りないと気がついた。彼女に相応しくないと気づいた。
今の私ではティアナだけじゃない!王にふさわしくない。だからこそ、干渉はやめて頂きたい。
王になるにはティアナに選ばれなければ意味がない!」
「ほぉー、本気でおもしろいな。お前、ティアナに選ばれなければ王位継承権を放棄するって事でいいのか?」
「それも致し方ありません。」
捨てられるなら捨てさせて欲しいけどね!王様なんて興味ないからっ!絶対に大変だし出来たらやりたくないからっ!そのまま逃がしてくれることを望みます!!!
というか、元の世界に返して下さい!!!
「んー、その余裕のある感じなんか違うよなぁ。……よしっ!きめた!レオンハルト、ティアナと婚姻できなければ国外追放な?」
げっ!面倒なことになった?いや、国外追放わるくないんじゃないか?王様なんてやれる気しねぇし。とりあえず、学園卒業するまでティアナに近づかずに頑張ってるフリしてりゃ良いだろうし。決闘しなけれりゃどうにかなんだろ。
「わかりました。期限は学園を卒業するまででよろしいですか?」
「おう!それくらいは時間がいるだろ。はげめよ!」
「はっ!それではこ……「レオンハルト君、ちょっと待ってくれないか?」
なんだよー、このまま退散したかったのに!これ以上ややこしいことなりたくないんだよー。
「すこし聞いておきたいのだが。もしや、ティアナが君以外の誰かに心を奪われているのかい?」
なんだよその表現!
好きな奴いるのか?で良いだろ!!
あー、面倒くさいなぁー。
さて、どう答えるか……。
まぁ、嘘ついても調べりゃわかるか。
「本人に自覚があるかわかりませんが、心引かれる相手は出来たように感じております。」
「ぶっ!!なんだよそれ!お前らマジで羨ましいな!青春しやがって!!めっちゃくちゃおもしれーじゃねーか。」
「ち、父上?」
「いや、いいぞいいぞ!もっとやれ。俺が認めてやる。ヒースクリフ絶対にいらぬ横槍かますなよ!わかったな?これは王命だかんな!」
げっ!!!王様暴走し始めたじゃん!!
「おっ、おい!ギリアム!お前何を言ってる!王命をこんなことにつかうな!」
「馬鹿野郎!ここでつかわなきゃどこで使うんだ!俺の息子が好きな女を取り戻すために奮起してんだぜ!
俺達親の立ち入る場所なんてどこにもねーよ!もし、ティアナが別の奴選んでもそれはそれだ。お前も認めてやれ。お前が認めなければ俺が認めるからな。」
「むちゃくちゃなことを言わないでくれ。だが、わかった。この件に関しては私も干渉はしない。娘の自由にさせることを誓おう。」
「レオンハルト、てなわけだ!これでいいだろう?」
「父上、認めて頂きありがとうございます。」
「おう!気にすんな!」
その言葉の後にギリアムの目がスッと細まる。
「ここまでの啖呵をきたお前に、ここまでやってやるんだ。もし失敗したらわかってんだろうな?生きてこの国出れると思うなよ?」
んなぁーーーーー!!!ええ?国外追放じゃなかったの?!ちょっ!目がマジだし!!!
どの道死ぬ運命かよ!!くそがっ!!!!
いやまて、まだある!ティアナと上手いこと行けばなんとかなるはず!!!
って、くそ展開かよ!!!!
いやでも、ティアナと一緒の未来とかご褒美以外のなんでもないけど……。
失敗したら全て死じゃねーかよ!!
あーもう!くそ!やってやるよ!やってやるさ!
「望むところです。」
「ギリアム!そこまでする必要はないだろ!!レオンハルト君もなぜ受ける!!」
「ヒースクリフ、もう成った話しだ。俺は取り下げねーよ。お前の娘がそんだけレオンハルトに認められて『いい女』に育ったって事だろ。喜べ!」
「次期国王が命をかけた嫁取りなんて何が喜べるか!!馬鹿野郎!」
「うっせぇ!ばーか!おら、レオンハルト!お前にもやる事あんだろ!さっさと行け!」
「はっ!父上、ヒースクリフ殿お認め頂きありがとうございます。父上が言うように至急やることができましたのでこれにて失礼します。」
背中でヒースクリフが何事か叫んでいたけど、あれはもうオヤジ殿に任せよう。
そんなことよりだ!新しい死亡フラグたてちゃったよ!
くそがっ!
ティアナに近づかずにのらりくらり遣り過ごすはずが、そうもいかなくなったじゃねーかよっ!!!となると、先ずはティアナと話さないと!
「エルザ!」
扉をでたところで後ろに付き従っていたエルザを呼ぶ。
「はっ!レオンハルト様」
「ティアナの居場所はわかるか?」
「ソレイユに確認いたします。」
念話の魔法便利だよなぁ。レオンハルトには使えないけど。そいや、ゲームでは主人公以外つかえなかったよなぁ。念話使えるのってどれくらいの人口いるんだろ?てか、見てのとおり聞いてのとおり、エルザは使えるらしいファンブック参照。
「まだ、会場におられるようです。」
「ふむ、なら急いで戻るぞ。ティアナと話したい。」
「はっ!ただちに手配します!」
戻るまで会場にいてくれよーーー!頼むぞぉー。
と、飛ばしに飛ばした馬車にのりサクッと会場まで戻ってきたわけだが……
「う゛ぇええ」
思いっきり酔った
「う゛ぇええあえ」
「大丈夫ですか?レオンハルト様」
「う゛ぇえ、だ大丈夫。出し切った。それより、急ぐぞ。御者よ、済まぬが処理を頼む。後で別途報酬はおくる。エルザ、その件頼んだぞ。」
「はっ!」
御者にはもうしわけないが汚物を放置してさっさと館内にはいる。とはいえ、このまま会う訳にもいかず、はやる気持ちを抑えて身支度を整えたのち会場へと戻った。
まさに、モーゼの十戒。
海を割るモーゼさながらの光景だ。
俺が会場に入るとともにティアナまでの道が出来上がる。
そこには、椅子に座りうなだれたティアナとそれを励ますアレスが立ていた。
しんと静まる会場
ティアナの元まで歩み寄る俺の足音だけが会場に響いく。
「ティアナよ」
「レオンハルト様?」
名前を呼ばれて儚げな笑顔でこちらを見つめるティアナ。
やっべーマジでやべぇ!クソ美人過ぎてビビるわ。てか元々最推しだからな、ティアナ。
好みじゃないわけがない!
「事は成った。」
「事は成った?」
言葉を反芻し、少しして意味を理解しティアナは顔を隠した。
「お前それを…「エルザ!アレスを抑えろ。邪魔だ。」
エルザの短い返答が聞こえると同時につかみかかろうとしてきたアレスが拘束される。
「そのまま、邪魔をさせるな。」
「御意」
「ティアナ、たしかに我はそなたのと婚約を破棄し、それは成った。
だが、それは我がそなたに足らぬが故だ。これより我は己を磨く。そしてこの学園を出る時、もう一度そなたに婚約を申し込む。
そなたにとって我が相応しいと思えたなら婚約を受けて欲しい。だが、もし他にそなたに相応しい者が居たのであれば、その者と共に歩むことを我はせめぬ。
そなたにとって最高のパートナーを選んでくれ。ゆっくりとはいえぬが、しっかりと考えてくれると嬉しく思う。」
俺が言える事ってこの程度だよなぁー。
つか、ティアナに好かれるってどうすりゃいいんだ?主人公がほとんどなにやっても好感度上がるから何が好きかとか本気でおぼえてねーぞ。
それはそうと、他になにかいうことはあるか……?
はっ!大事なことを言ってない!!
ねーちゃんも言ってたしな。こういうことはちゃんと言えって!『思ってるだけじゃわかんねー』って、彼氏にブチ切れ電話してやがったもんな。
あの時はマジでうるさかったが、ねーちゃんGJ!!
だよな?たぶん。
「最後になるがこれだけはそなたに伝えておく。ティアナよ、よく聞いてくれ。我はそなたを誰より愛しておる。その気持ちだけは誰にも負けぬと自負している。それだけはわかっていて欲しい。」
キョトンとした表情のティアナがマジでカワイイ天使かよっ!!てぇ!まてまてまて!俺なにいった?!くっそ恥ずかしいこといったじゃねーか!!
てか、ティアナも真っ赤になってきてるし。
あ、真っ赤なティアナもカワイイ。
ってそうじゃなくて!!!
「今まで通り茶会に誘うゆえ、その時を楽しみにしておるぞ。それでは、今宵はこれにて失礼する。」
うぎゃーーーーー!
もう限界だ!てか、茶会次いつだよ?覚えてねーよ!
もうよくわからんが、そんなことどうでもいい!顔から火を噴き出しそうだ!
気づけば俺は会場を飛び出していた。帰る場所もわからないというのに。
いつも読んでいただいてありがたいです!
基本的には主人公の視点で固定して話を進めるつもりです。




