えぴそーどじゅーにぃー
『アシュク』をオヤジ殿に報告してから三日。
宣言通りのお茶会をですよっ!
ちなみに今日はちゃんと学校も行ってきましたよ!
なので、約束の時間ギリギリなんだよねぇ。忙しかった……。
ちなみに会場はいつもと違います。
そろそろ外が寒くなってきたからと、ガラスの壁から外が見えるお部屋でお茶会てす。
このガラス壁すごいのよ!まじで!
壁があるかないかわからないレベルのもっそい透明度だし、強化ガラスなのかめちゃくちゃ硬いの!
透明度が高すぎて『薄いのかなぁ』とおもって『割れたらこわいなぁー』とか思ったわけよ。
なので、『これは大丈夫か?』ってエルザに聞いたら、何処からともなく取り出したダガー突きたてましたよ!
で、カンって音がしただけで割れることもなく、傷すら無くてエルザに至っては『大丈夫です』だってよ。
ほんとびっくりしたよね。まぁ、エルザが本気を出せば壊せそうな気もするけど。
刃物突き立てて大丈夫ってんだから大丈夫なんでしょう、たぶん。
そんなわけで、到着してまもなく約束の時間になり、ティアナがやって来ました。
「本日は、お招きありがとうございます。」
と、いつも見事なカーテシー。
「うむ。よく来てくれた。ソナタと過ごせる時間が、我はとても嬉しい。」
と、いつもの会話。
まあ、この辺で一度機能停止するんだよねー、ティアナ嬢。
「アリガトウゴザイマス」
ほらねー!
知ってた!
いつも通りだよね。なので、いつも通りに席について貰う。
今回は秘策のアシュクがあるから余裕あるけどねー。
以前はここで何話す?どうすんだ、おれ???ってなってたし。
とりあえず、お茶を勧めて暖をとって貰うかな。
いつも通りの静かな時間が過ぎるわけで……食器の音だけが部屋に響く。
食器の音をたてずになんて、俺には無理だからね?
それにしても、外に咲く薔薇はとても綺麗だ。
そう!今日は外の情景を楽しむ余裕だってある!
たぶん余裕だ……。
大丈夫! 大丈夫なはずだ!
いつも通り、いつも通り。
とはいえ、あまりにも会話がなさ過ぎるのもなぁ。そろそろ出す……
「おにぃーーーーいさまぁーーーーー!!!」
バターーーンって盛大な音を奏でながらやって来ました!
リアーナちゃん!!
声が聞こえたと思うとノーノックで扉をぶち開けたらしい。
部屋に入って状況を理解したのかスカート握りしめて泣きそうになっちゃってるよ。
まぁ、そうなるわな。
「はわぁ!私……私……」
にしても、俺の妹マジ可愛いいな!
「よくきたな、リアーナ。ソナタもこちらに来ると良い」
「……よろしいのですか?」
「かまわんよ。エルザ、リアーナの席を用意してくれ。」
おずおずと近づいてきたリアーナの頭を撫でると、ぎゅと俺の足につかまるのとか、マジかわいいわ。
「ティアナよ、すまないが妹の同席を許して欲しい。」
「ええ、もちろんです。レオンハルト様。」
「ありがとう。しかし、ソナタの許可を得る前に妹に許可を出してしまい、すまなかった。
以後気をつける。」
「え?いえ、そんな!お気になさらないでください。
私もリアーナ様と一緒にお茶を出来たら素敵だと先程考えておりましたので。」
「うう……、ありがとうございます。ティアナお義姉様。」
おねぇさま????あっ?!そうか!婚約解消したのリアーナに言ってないのか。
「いえいえ、リアーナ様と共に出来て私も幸せです。本日はよろしくお願いします。」
おおう! わざわざ立ち上がって見事なカーテシー。ティアナええ娘やで、ほんま。
そして、それに答えるリアーナのカーテシーも可愛いよ。周りもリアーナのそれを微笑ましく見守っていた。
「リアーナ様、わざわざありがとうございます。」
とまぁ、いつもの通りって訳でなくリアーナを追加しての三人でのお茶会を再開。
いやぁー、びびったね! リアーナちゃんのコミュ力!
二人だとほっとんど会話無いのにリアーナちゃんがいると、リアーナちゃんを中心にドンドン話が膨らんでくのよ。
若干……いや大いに『さす兄』が過ぎて戸惑う場面も多かったけどね。
しかし、ここまで『さす兄』してくれる妹ってホント可愛いわぁー。
リアーナのおかげで気付けばけっこうな時間がたってたよ。
なので、そろそろ『アシュク』を出すかなって思っていたら、リアーナちゃんいきなりぶっ込んできました。
「ところで、おにぃさま。なぜ、そのような堅苦しい話し方を?ここには身内しかいませんし、いつも通りでよろしいのでは?」
「え?いつも通りではないのですか?」
と、ティアナ様。
目が飛び出そうな位驚いてるよ。
そりゃそうだよね。
ティアナ様の前で『いつもの話し方』しても『余』とか『我』って話し方に自動変換されるし『俺』って話し方聞いたことないもんね。
「はい!いつもはもっとフランク?に話して頂けます。自分のことも『我』ではなく『俺」って言ってるのです!」
「それは驚きました。私、レオンハルト様が『俺』とおっしゃる所は見たことがなかったもので。」
『え?それはまずいこと言ったかも』って表情になるリアーナ。さぁーて、どうしたモノかなぁ?
この流れだと『俺』っていった方がいい気がするんだけど、あれ勝手に補正かかるからなぁ。
ま、話してみて無理なら適当に言い訳するしかないよなぁ。
「ふむ、そうだな。そうしよう。リアーナの提案通り話してみよう。ティアナもそれでいいかい?」
お? いけた?
「俺としてはそういうのも面白いと思うのだけど……」
あ!! いけてるわ、これ。普通に話せる。
リアーナ天才かよっ!!!
ってぇ!!!ティアナさん目がまん丸や無いですか!まぁ、いつもと違う話し方だもんね。
知り合ってからの話し方から急にかわると驚いて当たり前か?
「はい。レオンハルト様が良ければ……。」
「うんうん。この感じがいつものおにぃ様みたいで私は好きです。」
おおう!リアーナちゃんありがとねぇ。
気付いたら頭撫でてたわっ!
てか、ティアナさんから『どうして?』とか『なんで?』みたいな気配を感じる。
話し方一つで壁って感じたりするもんなぁ……。
てか、小さな頃から知ってるはずなのに知らない一面あったら戸惑うよね。
「すまぬな、ティアナ。妹を怖がらせぬよう話していたら妹の前では『俺』と言うのが普通となってな。
妹の前限定なのだが、今ではその話し方がしっくりくるのだよ。
まあ、どちらも我の偽らざる姿ゆえ、これからもよろしく頼む。」
『え?!そうなのですか?!』といった感じで驚愕のリアーナ。
…なんか『驚愕のリアーナ』って名前のアニメとかありそうだな。
て、そんなことよりティアナさん!
ティアナさんも驚いた顔してたけどすぐにニッコリ。なんかいつもと違って柔らかな優しい笑みだ。
これは……
惚れてまうやろっ!!!
「レオンハルト様、お気づかいありがとうございます。どうやら私も『俺』とおっしゃるレオンハルト様が好きなようです。
今後もそのようにお話し頂けると嬉しく思います。」
「わかった。二人の時はそうさせてもらおう。」
「ありがとうご「おにぃさま!リアーナも!リアーナもいますよっ!!」
ティアナさんの発言に被る勢いで、必死なリアーナが可愛すぎますよ。
ティアナさんも『まあ?!』って驚きながらも、ニッコリ微笑ましくリアーナを見ててくれるから、安心できるわぁ。
「はは、もちろんリアーナがいるときはいつも通りに話すよ。」
「はい!絶対ですよ!」
と、ついまた撫でてしまった。
なんとなくだけど男って生物は頭をなでると言う行為が好きなんだろうな、きっと。リアーナも嬉しそうだから今は良いだろうけど、将来的には気をつけないとね。
うちの妹みたいに育ったら頭に手を乗せた瞬間、『キモい!クソ!死ね!』とか言って顎をぶち抜かれて、下手したら死ぬ。
あぁ………レオンハルト羨ましいなぁ〜。
リアルにリアーナのような妹がいて欲しかった。
!!
今はリアルにリアーナが妹じゃねーか!!
なんて俺得人生!!!
そんな俺達兄妹をティアナさんが菩薩のような慈愛に満ちた目でみてる。
さて、そんじゃま、そろそろお披露目しますかね。
「ティアナ、今日は君にプレゼントがあるんだ。」
「え?プレゼント?ですか?」
あーあー、すっごい戸惑ってるよねぇー。
レオンハルト様、一応プレゼント送ってたらしいけど直接渡したことないはずなんだよねぇ。
使いのメイドに選ばせて届けさせる系な人だったから。
「ああ。ティアナを思って作り始めたのが、民に娯楽が少ないことに気付いてね。
だから、これを君に送って民に新しい娯楽として広めようと考えてる。」
「私を想って……新しい娯楽……」
リアーナちゃん口を手で押さえて一言も発さず俺とティアナのやりとりを見て顔真っ赤なんすけど。
なにかなー、この反応。かわええわぁー。
「うん。それで先日父上に報告したときにフーレル卿もいてね。この遊戯に名前を頂いたんだ。」
「お父様が命名されたのですか?」
「うん。広めることも一緒にしてくれるらしい。俺としては、とても助かるよ。これが新しい娯楽として広まり、君に喜んで貰えると嬉しい。
それじゃ、エルザ持ってきて。」
「イェス、マイロード!」
って!
ビックリするて!何その反応。やたらしっかり敬礼してるし。声のでかさにビビったわ。
そして、いつものように素早く、やたら豪華な台車に『アシュク』を載せて、エルザが戻ってきましたよ。
素早いのに厳かで恭しく運ばれるアシュク。
エルザやっぱすげーよ。
「さて、これが『アシュク』だ。エルザ、僕の分をテーブルに持ってきてくれるかい?」
「はっ」
テキパキとテーブルが片付けられ『アシュク』がセットされていく。
一通りの準備が終わるとエルザは敬礼して後ろに戻った。
えーと、今はメイドなんだけどなぁ……。なんで敬礼???
謎だわ。
気にしてもわからないことはおいとくとしますかね。
「これは俺用の盤なのだが、ティアナ用の物を別途用意している。
あと、フーレル家用の物と他いくつか用意したから、君が好きな所に配るといいよ。
先程の話で聞いた孤児院とか、喜んでくれると嬉しいな、と思ったけどね。
ただ、配るのは一週間後にしてくれ。そこで発売となり、フーレル卿による告知が行われる予定だからね。」
「ハイ、アリガトウゴザイマス」
えっ?! えええ?!
いつものモード突入したぁ!! マジか?!
これって、どういう感情?
良い風にとらえて良いの???
どっち?!
「あっえと、ティアナを想って作ったのは間違いないんどけど、その多くの民の為にもなりたいと思ったのもあって、できるだけ多くの人に広がるように作ったんだよ。
だから、えっと、その……」
やべぇ、しどろもどろになるーーーー
「ふふ……。レオンハルト様、ありがとうございます。私はとても幸せに感じております。」
がっはっ!
何その笑顔やべーーー!笑顔で人殺せるぞ。
美しすぎるわっ!!!
つか、いきなりモード解除とか、心臓止まるか思たて!
「それは……良かった。」
「はい。本当にとても嬉しく思っております。それにしても、今日は驚くことばかりです。
話し方もまったく違いますし、まさかレオンハルト様がここまで取り乱されるなんて思いもしませんでした。」
「とりみだす?とりみだしてなんて……いや、とりみだしてたな。
ティアナの為にと作ったはずなのだが、気がつけば話を大きくなりすぎちゃってね。
今、渡す段階になってようやく気付いたんだよ。『あれ?、これってティアナのためじゃなくなってね?』てさ。」
「あははは、そうなのですね。私を想って、民の為に作った遊戯。
少し恥ずかしくもあるのですが、レオンハルト様が民に目を向けていらっしゃること、私を想って頂けたこと、それを知れて非常に嬉しく思います。
それにしても、本当に新鮮です。レオンハルト様とこのようにお話しできるなんて、とても感動しております。」
「あ……うん。」
ヤバいよ。マジヤバイ。なんかティアナさん輝いて見えるよ!まともに顔見れねーよ。
つか、リアーナちゃんまだ口抑えてるよ。
口抑えながらワックワクしてるオーラ出てるけど。
ティアナさんを直視できなくて、リアーナちゃんに目線が逃げてる俺って情けねー!
「ですが、この遊戯はなぜ『アシュク』なのでしょうか?父が銘をつけたと言うことは何か意味がありそうに思うのですが?」
「ああ、それはこの遊戯のルールが演目の『アシュク』を彷彿させるかららしい。」
「『愛の頭脳戦』ですか?」
「ああ、知ってたか。
俺は後で知ったんだけどそう言う演目だったらしいな。」
『おにぃさま、まじか?!』って感じのリアーナちゃんの視線が痛い。
つか、俺、レオンハルト様じゃないからこの世界の演劇なんて知らないのよ。
同じ視線でもグリードな妹の視線なら気にならないのに。リアーナちゃんの視線はマジでなんか刺さる。
なんかこうぐっと。
「レオンハルト様はそう言う演目が好みではないですものね。ですが、それを彷彿させるルールとはどんなものなのでしょうか?
私、まったく予想できません。」
「ああ、それはな……」
と、二人に『アシュク』もといオセロ…リバーシのルールを説明した。
「だから、『アシュク』なのですね。すごく納得いたしました。
この遊戯に『アシュク』以外の名前は考えられませんね。」
そうなのか?と思わなくもないけれど、まぁ、ティアナさんが納得してくれてるならいいかなと思ったよ。
しかも、目がすっごくキラキラしてる。喜んで貰えたって事なのかなぁ?
……まじで好感度SE欲しいわ。
「そうか! そうなのですね!
だから、コマの色が白と黒に分けてあるのですね?」
て、突然どうしたリアーナちゃん?!
ビックリして全員の視線がリアーナちゃんに集中してるよ。
「リアーナ様、コマの色が何か関係あるのですか?」
ティアナさんが優しい顔でリアーナに問うのだけど、ほんと美しすぎてマジで顔見れねー。
「はい! もちろんなのです! さすがおにぃ様と驚かされました。
ティアナ様はおにぃ様にとても愛されているのですね!!」
と、完全に周囲の反応置いてけぼりで暴走するリアーナちゃん。
コマの色がいったいなんなんだ???
「それは、どういうことでしょうか?」
うん、ティアナさん聞いてくれてありがとう。俺もわからん。
「お気づきになってないのですか?
このコマの黒い方はおにぃ様で、白い方がおねぇ様のことなのですよ!
そう、これはおにぃ様の黒い髪と、おねぇ様の銀の髪を再現したものなのです!」
「なっ?!」
俺の意図しないところを、リアーナちゃんの強引な解釈で思わず声が出たが、気にせず続けるリアーナ暴走特急。
「これの意味するところはまさしく『アシュク』!!
『君を(ティアナ様を)俺の色に染めてやるぜ!』ってことなのです!!!
ですよね? おにぃさま?」
んなぁーーーーーーー!!!!
なんて無茶ぶり!!!
つかリアーナちゃん、やりきった顔で鼻息荒くして『ふんす』ってなってるけど、とんでもないキラーパスだからね!
にしても、どうする俺のるかそるか?!
いや、そこまでしたらキモくないか?
そいや、ねーちゃんが言ってたな。クサすぎるセリフも好きな相手に言われれば嬉しいって。
ただし、イケメンに限るってやつなんだよなぁ……。アイドルとかなら良いんだろうけど俺じゃなぁ……。
「あっ、いやそこまでの意図はなかったのだが……」
と、リアーナちゃんの顔がとても悲しそうに、ティアナさんも少し萎れたような?
気のせいか????
ティアナさんの方はよくわからんがリアーナちゃんを悲しませるのはだめだろ!
はっ!!!そうだ!!俺は今俺じゃねぇ!レオンハルト王太子だ!!!超絶イケメンだ!
ならば、いけるのでは?!
俺の精神さえもてば、いけちゃうのでは?!
ええーーーい!耐えよ!我が精神!!!
「それもいいかもしれないね。
偶然とはいえリアーナ、良いところに気付いてくれたよ。」
よし! いける! のるってきめた!!
言ってやる!! 言ってやるぞ!!!
しっかりティアナさんの目を見て!!!
「ティアナ、君を僕の色に染めさせてくれないか?」
ボッ!
と音が響きそうになるくらい顔が熱い。ティアナさんも真っ赤になってる。
たぶん、俺も真っ赤になってると思う。
「アリガトウゴザイマス」
って、返事はそれかよーーーーーーー!
ちなみにリアーナちゃんは俺達を見てキャーキャー騒いでたみたい。
そして、この後やった『アシュク』は冷静でいられなかった俺もティアナさんもリアーナにぼろ負けした。
『二人とも私の色に染まるのですっ!!』
って、嬉しそうに胸を張ってたよ。可愛いなぁー、リアーナは。
でも、キラーパスはもうやめてね。おにぃさまの心理障壁粉々になるからね!
後にこの一件が広まり新たな演目となるのだが、この時の俺は知るよしもなかった。
肌寒くなりましてねぇ。
だんだん秋が深まって、とても気持ちいいなぁ。
今日も読んでいただいてありがとうございます。




