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49 虐めからの脱却

 目を覚ました日から2週間後、私は2か月ぶりに学校の校門をくぐった。


「お母さん。全然気づかなくてごめんね。辛いようなら転校とかでもいいんだからね」


 泣きながら、私の前に座り込む。


「大丈夫」


 このまま逃げたら、私は一生5人が放った言葉に苦しむような気がした。


 それに、弱いままだと思いたくなかった。


「大丈夫だよ。私は強くなれたから」



 教室に入って席に着くと、ざわざわとしていて、私の噂話をしている声が聞こえる。



 高橋真夏が教室に入ってくる。


 そして、私を見て舌打ちした。


 やはり、怖い。


 耳を塞ぎたい。


 だけど、駄目だ。



「あ~れ。君葉ちゃん、自殺したんじゃなかったの。死んだんだと思ってたのに」


 煽るような歪んだ顔。


 姿を見ると、恐怖を感じるけれど、俯瞰的に見ると、恐怖を感じない。


「そうだよ。自殺したよ。だけど、死ねなかった」


 でも、死ねなくてよかった。


 不思議と怖さはなくなっていた。



 チッ。


 舌打ちをして、高橋真夏は去っていった。


 あれから、高橋真夏と関わることはなくなり、教室の陰湿な空気も少しずつ変わっていった。



 ポケットの中につけた炎狩人のバッジを深く握りしめる。


「静海。久しぶり」


 ヒッ。


 小さく悲鳴を上げて、後退る。


「恨んでるの?」


 怯えるような目で、私の方を見る。




「ごめんね。君葉。高橋さんたちに脅されて、怖くて。だからその悪いと思ってるから。お願い、許して」


 まるで、私が化物なのかというくらいに怯えている。


「恨んでないよ」


 私の声はそう冷たく告げた。



 恨んでないなんて言葉は嘘になる。


 だけど、その恨みを静海にぶつけるつもりはない。


「だけど、傷ついた。だから許しはしない。私にとって、謝られたところで、記憶が無くなったりはしないから」


 息を一息、吸う。


「でも、静海のことはなぜか楽しい記憶の方が多く思い出す。だからさ、もう一度だけ仲良くしたい」


「私も。またそう言ってくれて、ありがとう」


 その笑顔は、安心と嬉しさが交わっている。


 輝羽が泣きそうなときに頭を撫でた。


 その時の表情に似ている。





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