☆04 異世界召喚
「おい。大丈夫か」
肩を揺らされて、目を開けると、見渡す限りの木があった。
私、死ねなかったんだな。
この世界から、抜け出すこともできないのか。
「死にたかったな」
容赦なく、熱気を浴びせる、天を見上げて、そう呟いた。
「死にたかった? 馬鹿にするな」
私を助けた男は、ねじれた顔。
「あんたは、どうせ幸せに過ごせてるから、命が大切とかいう綺麗事が言えるんだよ。こんな、我欲に包まれている世界。嫌いに決まってる」
「我欲に包まれてる、か」
寂しそうに、懐かしそうに、そんな目をして、空を見上げる。
「そんな部分がないとは言わない。だけど、俺は、世界は、きっと美しいんだって思ってる」
「美しい、ね。 それは、無いね」
その日は、助けてもらった男と旅館に泊まることになった。
「名前は?」
「加納君葉」
「そうか」
その男は、端夜と名乗った。
そして、ここはどうやら、元の世界ではないようだった。
太陽が失われた世界。
ただ、太陽の代わりに燈の玉と言うものが一日に一個、地上に落とされる。
それを次の日が来るまでに、天に捧げなければ、此の世は滅びる。
端夜は、その燈の玉を探す職・炎狩人。
燈の玉は、この世界のどこにでも落ちる。 海の中、林の中、山の中、様々な場所に落ちる。
炎狩人は、この世界に計百万人。
人口の一割ほどの人数が、この世界の滅亡を懸けて、毎日、燈の玉を探している。
との、説明を端夜から受けた。