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☆29 一時帰省2

「炎狩人名を決めに、帰ってきたんだよな」


 ホテルに入ってくつろぎながら、端夜が言った。


「端夜につけてもらおうと思ってるんですけど、何かアイデアありますか?」


「えー。こいつ、ネーミングセンスないよ」


 迅斗の方がなさそうな見た目してるけど、という言葉は飲み込んで、端夜の次の言葉を待った。


「いや、俺が提案するつもりなのは、俺が考えた名前じゃないから」


 自覚あり発言にも聞こえる言葉。


 端夜のネーミングセンスが悪いというのは、本当なのかという疑問はさておき、覚悟が決まったら言うという、炎狩人名に期待しておこう。



 布団に入る直前に、深く深呼吸してから端夜は言った。


「覚悟決まったから、炎狩人名、言ってもいいか」


「はい」


 期待と不安と、様々感情が入り混じ合いながら、頷く。


「サクヨ。桜に夜」


「それ、お前の姉貴のやつじゃねえの」


 その迅斗の一言で、ちょこんと見え隠れする耳が真っ赤に染まる。


「いや、あのキミハにつけるのが、姉の想いに添うのかは分からないけど、それでもつけたいって思ったから」


 照れを隠すように、言葉を紡ぐが、紡いでいくごとに、更に顔が赤くなっていく。


 だけど、その言葉に感情が溢れてしまった。


 涙が頬を伝っていく。


「ありがとう。大切にするね」



 朧月おぼろづきの灯る夜、春の風は優しく頬を撫でた。


 桜の香りがわずかに漂い、光をまとって咲く。



 そんな情景を想像して、私は眠った。

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