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23 迅斗と合流

 テントに帰ってくると、端夜は起きていて、寝袋もリュックの中に戻されていた。


「探査機から連絡だ。迅斗がこちらに向かっているから、合流しろとのことだ」


 昨日の面影が解けたようになくなった端夜に驚きながらも、返事をする。


「じゃあ、朝ご飯、食べるか」


 小型の保冷バックから食パンを取り出した。


 真っ新な白い食パン。


 まだ、きっとわからに未来をがむしゃらに進むように、イチゴのジャムをべったりと塗りだくる。


 手にジャムがつかないよう、パンを盾に追ってから食べ始めた。


 柔らかく、ふわりとした口あたりと、アクセントの様にいちごジャムが甘酸っぱさを演出した。



「おーい。端夜いるか?」


 微かに迅斗の叫び声。


「迅斗の声じゃないですか?」


「そうみたいだな」


 手に残ったパンを口に放り込み、咀嚼してから叫ぶ。


「迅斗。ここだ」


 迅斗の三分の一くらいの声量で端夜が返す。



 二分ほど経った頃、迅斗が私たちのいるテントを発見した。


「いるなら返事しろよ」


「返事したぞ」


 小さな声じゃ、聞こえないですよと言ったのにも関わらず、無視してくせに、素知らぬ顔。


「お。パン食べてんじゃん。俺にもくれよー」


「ああ」


 パンの入った袋を手渡されると、飲み込むような勢いで、五枚のパンを食べきった。


 そして、満腹というように息を吐く。


「よし。移動するか」



 探査機がさす場世に向かって歩く。


 今日の落下地点は特に何の変哲もないただの道。


 しいて、特徴を挙げるとするならば、その百メートル先に商店街があることくらいだ。


「いらっしゃいませー」


 端夜が、一つの静かなお店を見つけて、じっと見つめた。


「迅斗。少し先行っててくれ」


「そうやってはぐれたんだろ」


 と、過ぎ去っていく端夜の背中に呟き、「行ってるか」と声を漏らした。



「すまん。追いついた」


 端夜が一定のリズムで、吐息しながら走ってくる。


 そして、私の横に立った。


 隠しているようだったが、一瞬、表紙の小さな赤色の花が目に入った。


「何の本?」


 すぐに、その本をリュックの中に仕舞う。


 そして、もう一冊を私向きに差し出す。


「これ、筆記の勉強として使え」


 手渡された本はおとぎ話に出てくるような魔導書の雰囲気が漂っている。


 手に取ると、ずっしりと重たく、高揚感と緊張感が心に広がる。


「ありがとう」


 この本を一生懸命勉強して、絶対に炎狩人になると、誓いながら。

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