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01 言葉の針
※虐めや自殺の描写が苦手な場合は、エピソード4からお読みください。
☆マークは重要なシーンに付いてます。
グラスが触れ合うカチンという音が、耳から遠のいていく。
中学生の頃の記憶が脳裏に焼き付ける。
「お前なんか、いる必要ねえんだよ」
「いらねえんだよ」
突きつけられる罵倒の声。
心にその言葉が刃として刺さる。
胸がきゅっとなって、頭が痛くなる。
「お前なんかいらない」
頭にその言葉が何度も何度も反響する。
言葉を放つ五人の影が大きく大きく膨れ上がってくる。
頭に、胸に、心に、刃が刺さっていく。
グサ。
血まみれになって耳を塞ぐ。
塞いでも、塞いでも、飛んでくる刃。
私はそれから逃れられない。
苦しい。ねえ、誰か。助けてよ。