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成長

 「まずは筋力を4倍に、そしてさっき手に入れた特権で脚力を5倍にする。これで脚力は実質20倍だ。これ以上あげたら自分でも制御できなくなりそうだからとりあえずこのくらい。まあこれでも充分な力はあるだろう」


 俺はその脚力をもってまっすぐさっきのモンスターの元に向かう。


 全力で地面を蹴ると、超スピードで走ることができて、ほんの数秒でモンスターのところまで辿り着いた。


 「こいつ……! やっぱりデカイ……!」

 

 そう思いながらも俺はやつに立ち向かう。すると、俺の前にまたも文字が浮かび上がる。


 『獲得 物体に動きを加えることができる権利


  触れた物体を好きな方向に一直線に最高時速200kmのスピードで動かすことができる。』


 「えっ!? 今どんな成長をしたんだ!? 俺!」


 まさかこいつに勝負を挑んだとかが成長じゃあるまいな。


 俺が敵を目の前にそんなことを考えている間に、目の前のヤツは先ほど苦しめられた、例の地震を起こそうと両腕を組み始めていた。


 「ヤバイ! はやくさっきみたいにどうにかしめ動きを止めないと! けどキュアナみたいな斬撃は撃たないし……。いや、そうか! 新しい特権を使えば……!」


 そうして俺は、氷塊を作り出す権利を使用し、まるでキュアナの斬撃のような氷塊を作り出し、それを物体に動きを加える権利を使用し、その氷塊をモンスターの眼球に向かって時速200kmのスピードで動かす。

 それはシュンッ! という風を切る音をたててモンスターの目に直撃する。それを受けたモンスターは目を抑えながらうずくまる。

 するとまたもや俺の前に文字が浮かび上がる。


 『獲得 地面を滑ることができる権利


     地面を氷上のように滑ることができる』


 「おおっ! 今のも成長になるのか! アイツに攻撃をしただけで……! っとそれよりもはやくアイツを倒さなきゃな」


 俺は怯んでいるモンスターの前に飛び出し、脚力を10倍に筋力を4倍にして、実質40倍となった脚力で思いっきりモンスターに蹴りをお見舞いする。

 15歳の子供の蹴りとはいえ、40倍。それを受けたモンスターは僅かに後方に飛ばされる。


 「もう……一発ッ!」


 俺はそんなモンスターに再度飛び出し、もう一発蹴りをお見舞いする。が、モンスターは腕を使って俺の蹴りを防御する。

 

 「まずい! 起き上がりやがった……!」


 俺は咄嗟に後方に振り返り走ることで、モンスターの反撃を回避しようとする。が、モンスターは俺がモンスターを見ていないのを確認してなのか、両腕を組み、振り上げる。


 おかしい……反撃が来てないし追ってきてもいない……。


 そう思った俺はモンスターの方へ振り返る。が、時すでに遅し。モンスターはすでに両腕を振り下ろしていた。


 「ウソだろッ!?」


 ドオォンッ! そんな轟音が鳴り響く。


 やつの両腕は地震どころではなかった。やつが振り下ろした位置から地面に亀裂が作られる。その亀裂は俺の元へとジグザグと向かってくる。それが俺の背後に回った時、俺の足元の地面は二つに割れる。


 「クソッ! 地震の次は地割れかよッ!」


 俺は割れた地面の片側を、片手のたった三つの指で掴んで墜落するのを寸前のところで回避する。が、掴むのが遅かったために、わずか三本指でここからすぐに這い上がるには筋力が足りない。


 「クソ! 最悪今の筋力なら這い上がれなくもないけど……」


 俺は上にいるモンスターを見上げる。そのモンスターは俺を見下ろしながら口を大きく開けていて、その口には紫色が灯っていた。


 「あれは……ビームかなんかか!? はやくここから上がらないと……!」


 この体制からすぐに上がる方法は……そうだ!


 俺は壁に脚をつける。そうして使うのは地面を滑ることのできる権利。


 「壁が地面に含まれるのなら……!


 そうして俺は上を向き、その壁を片脚で軽く蹴り、もう片方の脚で壁を上に向かって滑り始める。


 「ヨシッ! 成功だ!」


 地面に飛び出した俺は特権の使用をやめ、ちょうど俺が上にあがったタイミングでモンスターの口から放たれたビームを40倍の脚力によるジャンプによって回避する。


 「うわあ……なんだあのビーム。当たってたら終わっていたぞ……」


 そのビームは地面を砕き、小石を飛び散らせていた。そんなビームを見て恐怖を感じる俺の前にまたまた文字が浮かび上がる。


 『獲得 魔法の威力を5倍まで増幅させる権利』


 「これも成長になるのか。それにしても魔法の威力を……試しに使ってみるか。魔法」


 そして俺は、その権利を使ったうえで、空中で魔法の詠唱を始める。


 「炎よ。我が呼び掛けに答え、大きく、強く燃えろ! ファイアー!」


 俺は5倍の威力となったファイアーを空中からモンスターに向かって放つ。


 「おお……こりゃたぶん中級魔法くらいの火力はあるぞ!」


 この世界において魔法は下から初級、中級、上級、そして最高の特級の4段階に分かれていて、魔法は1つ段階が上がるだけで威力が大きく上昇するからその分習得が難しくなる。そのせいで俺は初級の魔法しか使えていなかった。

 母さんは中級まで使えるから、中級の魔法は俺も見たことがあったが、このファイアーは中級の同系統魔法のフレイアと同等の火力はあるぞ!

 

 そんな中級同等の火力となったファイアーはモンスターの元へと一直線に突き進み、そしてモンスターを火炙りにする。


 「ついでにもう一発お見舞いしてやる! はぁっ!」


 地面に降りた俺は、ドリルの先端のような形の氷塊を作り出す。それを手に持った俺は、ようやくファイアーから逃れることに成功したモンスターに対して、それを4倍の筋力で投げつける。

 俺の手から離れたそれは巨大なモンスターの巨大な肉体に突き刺さる。モンスターはそれを受け、腹から血を流し、うめきはじめる。


 「いいぞ! さらにもう一発……お見舞いだ!」


 俺はさらに先ほどと同じ氷塊を投げつける。それも見事そのモンスターに突き刺さる。


 「っと! 危ないっ!」


 モンスターは血を流しながらも立ち上がり、俺に向かって殴りかかってきた。俺はそれを回避するが、さらにもう一発、それを回避してももう一発と、モンスターは俺が攻撃に転じられないほどの連撃をし始めていた。


 「なんとか……! 避け続けてるが……! これじゃあ当たるのは時間の問題じゃないかっ……! それならもういっそ……! 無理矢理反撃してやるッ!」

 

 俺は俺の回避のすぐ直後に放たれる次の攻撃を、全力の右脚による蹴りで受け止める。


 「いってぇ! けど! この蹴りでその拳をオマエに返却してやるッ!」

 

 俺の蹴りとヤツの拳とで数秒競り合った後、俺の蹴りがヤツの拳を押し返すことに成功したのだった。

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