残るは四人
「さーて、そろそろ静かになったかな」
俺はそう考えたため、自身専用の空間から出て現実空間へと戻る。
すると俺の目論見通り戦いの音は消えていた。つまり俺の獣が倒されたか、俺の獣が全員倒し切ったかだ。どちらになったかを確認するため俺はワープホールを一度無くす。
「お……! 立っているのは……4人か。ちゃちゃっと倒しちゃうか」
そうして俺は特権を発動する。
『見通せる権利』
名の通り見通すことができる特権。わりと色々見通すことができ、それは立っている4人の特権すらも見通すことができる。
四人のうち二人は防御に長けた特権みたいだ。もう二人がかなりの強者みたいだからな。あの二人が倒し切るまで耐えていたってことか。とりあえず……防御の二人から倒そう
そう考えた俺はワープホールを作り出す。そのワープゲートは俺の真下に1つ、そして二人の背後にひとつ。その二つを繋げたのだ。つまり俺はすでに二人の背後に移動を完了していた。
「なっ……!」
『脚力10倍×筋力4倍』
直後、俺は片方を思いっきり蹴る。鈍い音が鳴って防御の二人のうち一人がよろめく。
「ぐあぁ……!」
瞬時に回し蹴りで俺はかかとでそいつの腹を蹴り飛ばす。
「うわぁあっ!!」
「トルカラッ!」
大きく吹き飛ばされたそいつは近くの木に激突して倒れる。隣の男からはそいつの名前だと思われる言葉が叫ばれた。
なるほど。このひとらは知り合いだったのか……似た特権どうしでねぇ……
「さて、もう一人も……」
「世に蔓延る石片よ。ここで我が銃として敵を撃て! ストーンガンっ!」
「がっ――! くっ……魔法か!」
そうして隣の男も蹴り飛ばそうとした瞬間、俺の身体に尖った石が勢いよく激突する。
それは俺が後回しにした攻撃ができる特権を持つ男二人のうち一人だ。
「お前がどんなバケモノかはよおくわかった! が、このオレ、コウガがぶっとばす!」
あいつ……コウガと言ったか。特権は、『拳を硬化させられる権利』か。
魔法も使えるみたいだし、遠距離戦も近距離戦もこなせるようだな。そこそこ手強そうだ。
そのままコウガは全力ダッシュでこちらに駆けてくる。
直後、俺の近くにいた防御が得意なその男から攻撃が向けられる。
「くらえっ! 俺のシールドプレスっ!!」
「――っ! そっちからもかよ!」
その男の特権は『シールドを手から生み出し、放出できる権利』。この攻撃はそれを活かした、盾を勢いよく俺にぶつけるものだろう。
俺は咄嗟にそれに対処できる特権を発動する。
『衝撃波を起こせる権利』
瞬間、ドンっと強烈な衝撃波が俺を中心に巻き起こり、その盾は俺とは逆方向に吹き飛ばされる。
やっぱり便利な特権だ。威力は調整できて、最大だと波を押し返すほどの衝撃波が起こせるこの特権は。
「何っ……!? 俺のシールドが!」
「さらに追撃、もらっとけ!」
そうして俺はその特権でそいつに攻撃をする。
『光線を撃てる権利』
その特権で俺は3つの光線をその男に向かって射出した。かなり遠い距離まで届く、高威力のその光線はその男を襲う。
「くっ……全部だ! 全シールドを展開だ!」
瞬間男の前に5つのシールドが展開されたが、俺の光線はそれを貫き、男に命中した。
「ぐ、あ゛ぁぁぁ!!」
「シールドは横に並べずに、全部一直線に重ねてれば守れてたんじゃないか?」
そうしてシールドの男がどさっとその場に倒れた瞬間、コウガと名乗った男がこちらに殴りかかってきた。
「でりゃああああ!!」
「……速いな!」
俺はその拳を自身の身体能力を活かして回避する。からぶったコウガの拳は地面に激突し、それを砕いた。
『氷塊を作り出す権利+物体に動きを加えられる権利』!!
俺はそんなコウガに向けて尖った氷塊を作り出し、それを200キロの速度で射出する。
「なかなかのスピードだが、それじゃあ俺はやれねェなあ!」
「えぇ……おいおい、マジかよ」
コウガは凄まじい反応速度ですぐに手を前に出し、その硬い手で氷塊を受け止める。
直後、コウガはググッと踏み込んで俺に向かって下からアッパーを放つ。
「今度は俺からやらせてもらうぜッ!」
「――っ!!」
『ワープホールを作れる権利』!!
寸前に俺は自身の足元にワープホールを作り、彼の背後にワープし、それを回避する。
危なかった。今のは多分相当な威力だったからな。モロに受けてたら脳がくらくらしてたかも。
だが背後をとってしまえばこちらのターンだ。
『サイコキネシスを扱える権利』
その特権を使って俺はコウガに触れる。
瞬間、コウガの身体はギュンッと上空に放り投げられた。
「なぁっ!?」
「終わりだ。かなり手こずらされたよ。お前には」
俺はそのままサイコキネシスでコウガの体を上空に拘束する。
「ぐ、う……動けねぇ……」
「さっきはその硬い手に砕かれたが、その状態なら受けることはできねぇだろう?」
『氷塊を作り出す権利+物体に動きを加えられる権利』!!
瞬間、俺の手の中に生まれた鋭利な氷はコウガの背中を突き刺したのだった。




