もはやズルい
そしてなんだかんだで俺は試験会場を駆け回り、ついにこの会場にあるほとんどの宝石を手中に収めることに成功した!
「やっぱり便利だな。というかズルだな。この『独自の空間を扱える権利』は」
俺はそんな特権を活用して宝石を手に入れていた。
(正直俺自身これ、便利ってことくらいしかわかんないけど。なんかよくわかんないけど、自分とか好きなものを別の空間に移動できるんだよな。しかもその空間と普段の普通の空間を瞬時に移動できるから回避にも使えるし、荷物を置きに行くこともできる。おかげで手に入れた宝石は全部そこに置いてあるから取られる危険性はないんだよな)
「これ多分やってること、試験の趣旨からズレてるだろうけどもういっそこのままやりきってやるか!」
そんなふうに俺が意気込んで元の空間に戻ると、一気に俺に対して指が刺される。
「アイツだっ! アイツが大量に宝石を持っている! 全員で囲めェッ!!」
瞬間、大量の受験生に俺は攻撃される。炎や雷のような魔法が飛んできたり、特権によって行われる攻撃も向かってくる。
(うーん。俺の空間に逃げてもいいけど……逃げても囲まれてそうだしなあ。これを全部どうにかできる特権は……これだな)
『ワープホールを作れる権利』
それを使用した瞬間、俺を包むように1つの紫色のゲートが出現する。そしてさらに、ここ周辺に俺を囲んでいた受験生を囲むようにもう一つゲートが出現する。
俺を包むゲートに俺を襲っていた攻撃がすべて吸い込まれてゆく。
そして……その吸い込まれた攻撃はすべて受験生を囲んだゲートから放出され、受験生たちに命中した。
「さらに……出てこい! 魔力の獣!」
その言葉と共に俺は特権を使用する。
『魔力を使用することで生み出される獣を使役する』
その特権の発動と同時に俺の周りに50匹越えの紫色の獣が出現する。
「よしお前たち。そこのワープホールを潜って受験生たちを攻撃しろ! あ、やりすぎるなよ。あと一応、俺が今思い浮かべてるキュアナって少女だけは見かけても攻撃するな。むしろ守れ」
そう俺が指示を出した瞬間、そいつらはワープホールを潜り始める。
「さて、俺は当分自分の空間でのんびりしておくか」
そうして俺は自分だけの空間に入り、三角座りで待機しておくのだった。