実技試験開始
(はっはっは! 思ってたよりもできるぞ! 勉強の成果が出ている! たった半年でも本気でやればここまでできるようになるんだな)
俺は机の上の紙に書かれた問題を次々に解いてゆく。そしてその問題を全て解き終わり、自信を持って間違っていないと思えた頃に、終了の合図が会場に響いた。
「テルは問題どれくらい解けた? 私は少し危ないかも……」
俺とキュアナは次の実技試験の会場への道で、試験について会話を交わしていた。
「ふっ、俺はめちゃくちゃ自信があるぞ。正直分からないと思った問題は一つもないと言っていいくらいだ」
俺はキュアナに自慢するように言う。それにキュアナは羨ましそうな顔をしながら「いいなー」と軽く口にする。
そんな会話を続けていると、実技試験の会場に到着したようで、受験者達の足が止まる。
「ここが会場か。まず、すごく広いな。端が見えないぞ」
俺はその広大な空間をぐるりと眺めてそんな感想を抱く。
「それに……岩とか木とか、自然的なものもあればでっかい建物もある。全部人工的に作られた空間なんだろうね……」
俺とキュアナがその空間に圧倒されていると、受験者の群れに対して呼びかける声があった。
「静粛にッ!!」
その声が聞こえた瞬間、受験者たちは一斉に口を閉じる。
「今から実技試験の内容を説明するッ! 心して聞くように!」
そして、試験官であろう男は試験の説明を始めた。
「この試験を合格する方法は、この空間に散りばめられた宝石をいくつも集めることだ!」
試験官はその真っ赤に輝く宝石を受験者に見せつける。
「この宝石は、我が校の教師の特権によって生み出されたものだ! この宝石を誰がいくつ持っていくかがわかるようになっている! つまり、試験終了時に多く持っていればいるほど得点が高くなるということだ!」
(なるほど、つまり競争型の宝探しか)
「試験時間は3時間! その間に、殺し以外のあらゆる手段を用いてこれを集めるのがお前たちの使命である! これからお前たちを我が校の転送魔法の力でこの空間のどこかに転送する! 転送まで、あと3分! 好きに準備をするがいい!」
男がそう言った瞬間、受験者は一斉に行動を開始する。精神統一を図るものや準備運動をするものなど、さまざまな人がいる。そんな中俺は、となりにいるキュアナと会話をしていた。
それは試験に関する内容で、お互い試験への考えを共有していた。そしてそんな会話が盛り上がってきた頃に、試験官から開始の合図がなされて俺たちは転送魔法の力で転送されるのだった。