19 『ゴミの中の真珠』
「おう! 挨拶がまだだったな。アタシは呪具研究同好会会長のナターシャ=ガーフィールドだ! ガーフィールド家の次女だ! さっきは急に抱き着いて悪かったな。可愛い子を見るとついグッとしちゃうんだ」
少し頬を染め、両手を握る高身長の聖女。おしとやかさ等微塵もなく、あるのは野生と理性の境界線。いや、既にスノーに抱き着いたのであるのは野生だけだろう。
「あ、あわわわわ・・・」
そして当のスノーは完全におびえきっている。「ようこそ!」と言われた直後、和んだ空気を蹴り飛ばして猛然とスノーを吸おうと抱き着かれたのだ。さながら心情は肉食獣に食われかける草食動物そのものだっただろう。可哀そうに、可愛い。
そんな姉御肌と肉食の野生肌が共存してる聖女にため息をつき、スノーの援護に回る声がした。
「姐さん、いつも言ってるじゃないですか。姐さんの衝動、初見だとパンチが強すぎて一度やると二回目は無いって」
二階の手すりに腰掛け、何かしら分厚い本を読む男子生徒のものだった。
白い礼服に白い長ズボン。白の短髪と耳にしているピアスからどうにも不良生徒にしか見えない。
「さっさと素直に謝った方が賢明だと思うけどね。すみません、あれは野生の大猿みたいなもので、・・・誰も手綱を握れない。・・・握りたくもない、そんな頼れる姉御肌の聖女さんですよ」
「お前はアタシを貶したいのか褒めたいのかどっちなんだ」
じろりと睨まれた男子生徒は「どっちだろうね」と言い残し、逃げるように二階の奥へと引っ込んでいった。
「全くあいつは・・・」
はぁ、と大きくため息を吐き、ナターシャはスノーに向かって頭を下げる。
「すまんな。私の悪い癖だ。今度からは前もって聞くようにする」
「そういう問題じゃねぇと思うんだけど、・・・まぁオレとしては尊いものが見れたからモーマンタイ」
さっきまでの素晴らしい空間を垣間見たオレの心情としては特段問題ではない。身長差のある女子のハグというのも悪くないと思えた今日この頃。「助けてくれなかったな」と、ぎろりとスノーに睨まれたオレは明日生きているかが怪しくなってきたのは内緒だ。
うむうむと新境地に足を踏み入れたところで、ふとスノーの方から口を開いた。
「そういえば、ここって聖女学院なのになんで男子生徒がいるんですか?」
「お、そこ聞いちゃうか」
まるで水を得た魚のようにナターシャは薄く笑みを浮かべ、どっかりとスノーの横に腰を下ろす。
「さて、どうしてだと思う?」
「・・・・・乙女の園に踏み込んだ度し難き変態をナターシャ先輩が匿っている」
「ぶっぶー、残念だが違う」
「じゃぁ、実は心は女性で此処にいる」
「違う。もっと単純だ」
「・・・ハッ! まさか、女装して入学したものの寮の二人部屋に居れない為、こうして住宅地一つを住処にしていて、ナターシャさんが一緒なのは「お前のことが好きだったんだよ!」って迫られて、了承しちゃったとか・・・?」
「何が「ハッ!」だったんだ!? もっと単純な答えだ。どうしてそう複雑に考えようとするんだ!?」
確信を得たかのような、真剣なスノーの解答にナターシャが白目を剥く。三問連続不正解。ヒントも何もないが、ここまで外しきっているとわざと間違っているのではないかとすら疑ってしまう。
そしてそんな、なにもかもが間違っている発言には流石の空気と一体化していた男のため息すらも引き出した。
「―――はぁ、運命の歯車が動き出したと期待した我が馬鹿だったようだ」
「おや?」
二階へ上がる階段の柱に寄りかかり、腕を組んでいた男がぼそりと呟いたのだ。
「このままだと正解が出るかどうか怪しいし、君が言ってくれないかなオルロン君」
「何故我がそのような些事に付き合わなければならんのだ」
「アタシはツッコミ役だしさ。解説枠が余ってるんだよね」
「解説枠とは」
自称ツッコミ役に突っこむ男子生徒、オルロンと呼ばれた少年は再度ため息を吐くと、組んでいた腕をほどきスノーを視界に収める位置に移動する。
「我とあの自惚れ者含めあと数人いるのだが、我らは国立エクソシスト養成学校ジェパ―ズ学園の交換留学生だ。スメラギ公国とカーリア聖国の共同国立学校は聞いたことがあると思うが、我らはそこの学徒で、ちゃんと留学生専用の寮もある。あの自惚れ者はどうかは知らんが、我は女装趣味でもなければ女性の精神もない。至って普通の学徒だ」
「普通だ」とそういう彼の見た目は、それはそれは普通とは言い難かった。
学生服であることに変わりはないものの、たくし上げられ見せる左腕はごつく、機械のような腕であった。義手と呼ぶにはところどころ光っており、右腕より一回り大きい。腕だけではない。彼の右目は眼帯に覆われ、技巧に溢れた機構の眼鏡を付けていた。
「なんだこのあふれ出る中二病感・・・、この世界でも思春期の病なんてあるのかよ・・・」
オレがげんなりと疲れた息を吐くと、不思議そうな顔でオルロンを見るスノーに気づいたナターシャが補足を入れる。
「彼のあの腕と目、すごいだろ。アタシ最初は「イタイ心の病」だと思ったんだよ。姉も一時期あんな感じで「私は龍仙の転生体だ!」とか言ってて、あいつもその手合いかと思ったんだよ。でも、違ったんだ」
「違った?」
「あいつは「世界の敵と戦うため」とかで、自ら左腕を切り落として右目をくり抜き、義手と義眼と眼鏡を付けてるんだ。―――あいつはホンモノだ。間違いないね。あいつの「イタイ心の病」はホンモノだよ」
「それもう中二病とは別の病気かなんかだろ!? やばっ、てか怖ッ! 人生で何があったら中二病をここまで拗らせられるんだ。本当に人間かよコイツ」
想定上の爆弾が投下され、オレとスノーの両方があまりの覚悟の決めっぷりに驚愕する。どこに空想の敵を倒すために自らの身体を犠牲にする莫迦がいるというのか。ここに居るけど。
スノーのドン引きを受けたオルロンは不機嫌そうに眉を顰めて左腕の義手に触る。
「会長の言うことは少し着色されている。実際は切り落とそうとしたんだが当時の我では力が足りず骨を断てなかったのだ。肉切り包丁もなかったからな。だから切れるとこまで切って、猛獣に左腕を食わせてやって、初めて取れたのだ。決して我一人の力で為したことじゃない」
「あんまり変わらないんだけど!? 痛々しすぎて聞いてて目が痛くなるよ! 痛くないの!?」
「痛かったとも。だが、この痛みで世界の敵を暴けるのなら、安いものだ」
「こ、怖いよこの人・・・・。人と思考の仕方が違うんじゃない・・・?」
謙遜したつもりが何も謙遜になっていない稀有な事例にオレは軽くオルロンから距離を取る。ここまで頭のいかれた人間だというのに、普通にナターシャとコミュニケーションが取れているのが不思議なくらいだ。
ガクブルしてスノーがナターシャにしがみつく。想定以上に目の前の人間が狂っている事態に、初対面でハグをしてきた野生の大猿に恐怖などないのだろう。分かる。オレも許されるなら真っ先に逃げている。
そして話題をかっさらっていった当の本人はと言うと、
「我のこの腕と目は世界の敵を暴くものであって、決して汝に危害を加えるものではない。安心してほしい」
ズレている発言を重ね、義手の腕を振る。
青色に光るラインが印象的だが、過程を思うと格好いいより怖いが先行する。
そんなズレた言動を繰り返す中二病に再び声が降りかかった。
「待ちなよオルロン。姐さんもそうだけど、なんでこの場の人間って揃いも揃って人を驚かせるのに特化してるわけ? 大道芸なら別の場所でやりなよ。まぁ、低評価まったなしだろうけどね」
「自惚れ者か。汝もたいがいだと思うが」
「僕はあくまでも中立だよ。中立。姐さんやオルロンとは違って、僕はこの組織に属していながらも立場は中立なのさ。アクの強い人と弱い人の間を取り持つのが調停者たる僕の役目だろう」
「えっと、あなたは・・・」
二階から顔を出し、オルロンの売り言葉に買い言葉をする男子生徒にスノーが首をかしげる。
その様子を見た男子生徒はすっと金色の目を細めると、
「僕は調停者であると同時に一人の人間なわけだ。数百年前は騎士道だのなんだの、紳士として男が先に名乗るべきとか言うけど、今や聖女でさえも近衛の騎士になったり魔法戦略部隊の軍に入れるようになってる。そこに昔のような「男だから、女だから」というしがらみは無いわけ。だから、さ?」
「・・・?」
長々と説明を垂れた男子生徒は話の主導権をスノーに返す。
しかし、何が何やらとスノーはよく分かっていない様子であった。
「・・・つまるところ、あの自惚れ者は「人の名前を知りたければまずは自分から名乗ってもらって、どうぞ」と言っている。ちなみに奴はグリア=トゥルーバイブル。これで奴の名前は知れただろう?」
「あ、オルロン! どういうつもりだ。僕と彼女の会話の途中に割り込むなんてどういう了見をしている。『何人たりとも等しく光を受けることが出来る。しかし、誰かを覆い、その恩恵を一身に受ける徒は等しく深淵と暗黒の司令である』と。―――法典の記載を無視する気か! それも調停者たる僕の言葉を!」
「自分の都合の良い時にだけ法典を掲げ、善悪を線引くか自惚れ者。我はただ無垢な新人に同じ轍を踏ませたくないだけだ。初対面の時の貴様の自己紹介で三時間潰れた事実は消せんぞ。貴様のその法典も、貴様のその言葉も、実戦を経ない限りは所詮はただの自惚れ者の世迷言に過ぎない」
「な、ん、だ、とォ!?」
「法典・・・?」
横槍を入れるオルロンに自身の会話の先を越されたと激怒するグリア。その片方の手で支えられた法典がバラバラと音を立ててめくれ、どこかのページで光り出した。
法典と、そう呼ばれた本は辞書のような厚さに加えて装飾も豪華絢爛そのものであり、魔導書と呼ぶには青白く光るそれは高貴さを覚える。
スノーが呟くと同時にナターシャが一触即発の雰囲気を醸し出し始める二人を制す。
「待ちなバカ二人。ここはアタシの所有する家だってこと忘れてないだろうな? それに新入部員の目の前でドンパチやるなんて教育に悪い」
「あたっ」
「いてっ」
ナターシャが軽く腕を振る。まるで食べ物にたかるハエを追い払うように。それだけのなんの変哲もない動作。それだけでバチバチにお互いを睨んでいたグリアとオルロンの二人の頭が弾かれた。
べちっと音が鳴り、キリキリした空気がほどける。
何をしたのか、何が起こったのかとナターシャ、グリア、オルロンを見比べる。ナタ―シャは軽く腕を振っており、グリアとオルロンはそれぞれの頭をさすっていた。
「・・・・すまない、新入部員さん。たかが異端相手に激昂なんて、調停者として恥ずべき行いだった。法の光は確かに強大ではあるが、照らし方を間違えればいくら中立を謳おうと享受する人に不信感を与えかねない。すっかり失念していた」
「すまない会長、それと新入部員。阿呆を煽る時はもっと周囲を見るべきだったな。こればかりは我の落ち度だ。責められる謂れは我にある」
それぞれがそれぞれの謝罪を口にする。
グリアとオルロン、この二人はどうやらナターシャには弱いらしい。いや、おそらく強さで従っているのではないのだろう。先輩と後輩のような、そんな感じの遠くもなく近くもない距離感だ。
グリアは「ふぅ」と息を吐き、宙に浮く法典を携えながらゆっくりと会談を降り、スノーに近づく。
自称調停者を名乗る危ない人間の接近にスノーが小さく身をよじる。しかし、グリアにはそんな邪な気はないように思えた。
「オルロンから聞いた通り、僕の名前はグリア=トゥルーバイブル。外界と律の『調停者』であり、オルロンと同じ学生だ。『白純の騎士団』の審判者だけど、あいにく、僕が今その名前を使う必要はない。とりあえず、僕は君の先輩に当たるわけだ。僕を呼ぶときは「グリア先輩」と言ってくれ」
「調停者? 騎士団?」
「新入部員。あまり深く考えるな。我の学舎にそんな役職も師団も存在しない。全てこいつの頭の中の設定だ」
聞きなれない単語にスノーが首をかしげるが、オルロンの助け舟で疑問ごとなかったことにする。
ようはこのグリアも中二病と言うことになる。
しかも二人して自分が中二病だということに気づいておらず、相手の頭がおかしいと言っているのだ。とんだ茶番である。
オルロンに「頭の中の設定」とバッサリ斬られたにも関わらず、グリアは余裕の態度を崩すことなく、「やれやれ」と目を瞑って両手を広げる。
「いいさ。騎士団は宗教団体とは違う。信じない人間をどうこうなんて、そんな差別的なことはしない。信じる、信じないを分け隔てずに平等に光を注ぐ。生まれながらにして高潔な魂を持つ僕はs」
「はいはい、そこまでそこまで。これ以上お前に話をさせると夜になる」
胸に手を当て、傲岸不遜を絵にかいたような圧倒的上から目線の姿勢のグリアの言葉がナターシャによって遮られる。
勢いを折られたグリアが不機嫌な視線をナターシャに向けるが、「失敬」と言いすぐに姿勢を整え表情を整える。
「ったくもー、相手が望んでもないのに自分語りなんてキモイってもんだよ。男女関係なく友達が出来ないのはそういうところに問題があるんじゃないのかい、グリア君」
ナターシャの毒吐きにすまし顔で応えるグリア。敢えて聞こえなかった振りをしているようだ。
大きくため息を吐き、ナターシャはスノーに視線を向ける。
「こんな感じで、毎日茶番やってる部活がアタシらの『呪具研究同好会』だよ。基本的にはこんな感じでふざけてて、時々呪具研究してるんだ。まぁ実物は持ってこれないから、基本的には模造品を作って、どういう術式があるとか意味合いや歴史を調べるんだ」
「ふむふむ」
「色んなところから論文引っ張ってきたりとか、図書館から少しだけ融通してもらってるんだ。だから呪術とか呪具関連の資料はうちが一番多く有してるんじゃないかな」
「へぇぇ・・・」
興味が沸き始めたのか、目を輝かせるスノーにナターシャは「それに」と詰め寄る。
「しっかり部員が増えていけば、生徒会に正式な同好会として認められて、顧問の先生がつけば本物の呪具に触れるかもしれない」
「本物の!?」
スノーが食いつく。
本物の呪具。それだけでかなりの情報が得られる。妨害魔法学でみた毒壺以外の呪具も触れられるということだ。正式な同好会として認められるという壁があるが、それでも今のスノーの趣味にはかなり当てはまっているだろう。
スノーは瞳をきらきらと輝かせながら「うへへ」と気持ちの悪い笑い声をあげている。どこかで教育をミスっただろうか。
「私、頑張ります!」
「頼もしい限りだね。まぁ新入部員ちゃんだけでなんとかなる問題でもない。とりあえず、部員名簿に記入しとかないとな。名前は?」
長机の中央に積まれた紙束。その上に置いてある『部員名簿帳』を手に取り、羽ペンを持つ。組んだ足を机代わりに、開いた名簿帳に時刻と日にちを書き込んでいき、氏名欄にペン先を押し当てる。
スノーは拳を握ったまま、ゆっくりと唇を動かした。
「スノー=テレジアです」
「スノー=テレジアね。一人部員が増えた程度で生徒会が承諾するとは思えないけど、とりあえず申請だしてみるか」
新入部員の参入だというのに、ナターシャは少し疲れたような声を響かせる。
それに様々な疑問が思い浮かんだスノーが、その問いを口にする前に支柱に背中を預けていたオルロンが口を開く。
「生徒会の連中は我々の同好会開設にあまり乗り気ではない。むしろ反対派が多いと言っていいだろう。通常、何かしらの部活をする場合、規模にもよるが我々のような小規模組織であれば最低の五人で良い。だが、連中が我々に求めた同好会開設の条件人数は中規模組織と同等だ」
「―――六人。今、スノーさんが入ってそれで六人。最初は五人で良いと言われたにも関わらず、次に申請しに来たら開設条件が上がっていたんです。最低十五人。それに加えて他にも様々な無理難題を出されています。ですよね姐さん」
それにグリアが続いて解説し、ナターシャに話を振る。
ナターシャは首を縦に振り、とんとんと指で側頭部を叩く。表情は少し険しく、いら立ちが空気を伝ってオレにまで届いてくる。
「アタシら同好会は他と違って空き教室を部室にしてはいけない。部費は自腹。いくつかの賞の受賞経験あり。しかし合同体育祭の部活動別種目への参加は不可。その他色々、権限濫用の極みみたいな条件を並べられた。特にひどかったのは、学業成績に干渉するやつだったよ」
「なにそれ!?」
「読んで字の通りさ。生徒会の判断に申し立てするのは本来は罰則なんてないんだが、アタシらのところは例外扱いでな。部員全員の学業成績にテコ入れするんだとよ」
「えぇッ!? それってすごく理不尽なんじゃ・・・」
「本来なら生徒会にそんな権限無いんだけどね。どうやら反対派なのは生徒だけじゃなくて、大部分の教師陣もそうみたいなんだよ。おかげでいろんな先生から釘刺されたよ。「生徒会から活動の連絡あったらその日の講義では無断欠席扱いにするってねぇ」
今ではそんなことしたらアカデミックハラスメントだの言われるが、この世界ではそういう人権意識が低い上、生徒会の権限がどうにも強いらしい。
すさまじい排斥意識。その裏にはいったいどんな陰謀があるというのか。
ナターシャは過去の思い出に歯噛みしつつも、一端両目を閉じ、大きく息を吐く。
「でもまぁ、グリア君やオルロン君が入ってくれたおかげで、あからさまな圧力が掛け辛くなったのは、生徒会に一矢報いたと思うよ」
「どういうこと?」
スノーが首を捻ると、その場に悠然と立っていたグリアが答える。
「僕らは交換留学生だ。それも厳しい選考から勝ち残った期待と注目の的なのさ。そして僕らの成績や生活は国が共有することになる。僕らが『呪具研究会』に入っていることは既に知られている。そんな状況下であからさまな圧力や脅しで僕らの学業成績を下げてみろ。交換留学生、いわばお互いの信頼を元に預けた学生が差別されていたら国際問題になりかねない」
「国は我らの交友関係も注視している。信頼しているが故の監視だな。だから我らがここに属しているというだけで、連中は我ら同好会の同志に迂闊に手を出せなくなった。それによって今は個人の成績や生活に干渉する妨害は完全になくなったと言っていいだろう」
「「な、なるほど・・・」」
スノーとオレ、同時に二人の存在の重要さに驚愕する。自らの立場を利用することによって生徒会からの圧力を逆手に取ったということだろう。
「異常に頭のキレる奴らだな・・・。中二病なのが惜しいくらいだ」
「・・・うわぁ、そこまで賢いのにどうしてこんな残念なの・・・」
確かに交換留学生として選ばれるだけあるが、自ら義手義眼になっている奴と自称調停者のインパクトが強すぎてすべてが霞む。
オレとスノーの反応は違えど、根本はほぼ同じで、二人の存在の濃ゆさを憂いていた。




