第九話
これで今回は一応連投は終わりになります
俺はルナさんと約束の場所に一足先について待っていた。俺の普段の格好はよく知られているので、今は黒い軍服を着ている。すると、ルナさんから一通のメッセージが来た。内容は私のフレンドも一緒に来てもいいですか? といったものだ。特に問題はないという旨のメッセージをおくり、再びルナさんを待っていることにした。
そして約十分後ほど、待っている場所に二人の女性が現れた。
「すみません、お待たせしました!」
「いえ、それほど待ってませんよ。 では先にお店に入りましょう。 自己紹介はそれからでもいいですか?」
「「はい」」
「ではついてきてください」
俺は店に向かって歩き出した。そして数分後にはゲーム内でも高価で知られるお店の前にいた。
「さぁ入ってください!」
「え、あのここかなり高いんじゃ……」
「いえいえ気にせずにどうぞ」
俺が店の中に入ると、それに続くように二人も店の中に入った。
「いらっしゃいませ」
俺が店に入ると接客してきた定員NPCに合言葉を打ち込み、事前に予約した席まで案内してもらった。俺の後ろについてきている二人はあまりの高価な雰囲気に気圧されている。
「さぁ座ってください」
俺は案内された席に着き、彼女たちを対面に座るように促した。促された二人はおずおずとした様子でそこに座った。
「何でも好きなものを頼んでください。 ここは私がおごりますんで」
「え、えっと……た、高い……」
「え、こんな高いの……」
彼女たちは数分ほど迷っていたが、申し訳なさそうに飲み物を頼んだ。俺もその後に続くように飲み物を頼んだ。
「では飲み物がくるまでの間に自己紹介でもしましょう」
俺はインベントリから衣服を選択し、いつもの格好に戻った。隠していたワインレッド色の長髪がふわりと宙を舞う。
「改めて、初めましてお二方。私はトゥルーと申します。 ソロランキングで一位をさせてもらってます」
「あ、あの初めまして。 ご連絡いただいたルナと申します。 種族はエルフです」
「わ、わたしはルナのフレンドの、アルフィストとも、申します! 種族は猫の獣人です! ほ、本日はお会いできて光栄です!」
「そんな固くならないでください」
「そんなのむりっすよ?!だって世界的に有名なトゥルーさんですよ?!」
「あ、ありがとう……」
ちょうどそのタイミングで飲み物が運ばれてきた。俺たちは一口飲み物を飲んだ後、本題を切り出すことにした。
「ではルナさん、本題に入らせていただきますね」
「は、はい」
「もう薄々わかっているとは思いますがあなたにイラストを依頼したいのです」
「で、でも普通にイラストならハヤッターとかでもよかったのでは……」
「いえ、私が依頼するイラストはDTIOに関連することなので」
「DTIOに関連すること?」
「はい。 私が依頼したいのはギルドエンブレムです」
「ギルドエンブレム?!」
「はい。 私が新たに新設するギルド、そのエンブレムを依頼したいのです」
「……」
話を聞き終わった後、ルナさんは少し黙り、その後口を開いた。
「あの、なぜ私なんですか……?」
「なぜ、ですか?」
「こんなこと言うのもあれですが、私よりも優れた方や実績を持ってらしゃる方はたくさんいらっしゃいますよね……」
「私があなたを選んだ理由ですが、あなたのイラストへ対する思い、それが決め手でした」
「イラストへの思い?」
「見てくれる人と私をつなぐ架け橋。 でしたっけ?」
「な、なんでそれを?!」
「私が作りたいギルドは、メンバーみんなが本当の仲間、強い絆で結ばれた、そんなギルドにしたいと思っています。 そしてあなたのその思いは、私の考えと似ていると感じたからです。 これでもまだ説明が足りませんか?」
「……わかりました」
「では……」
「その依頼、ぜひ受けさせてください!」
「ありがとうございます!」
俺とルナさんは立ち上がり、固い握手を交わした。そしてアルフィストさんは空気になっていた。