第七話
学校についてからも通知が止まらなかった。もう二十万ナイスを超えたあたりから諦めがついた。
「さて、だれかいい人は……」
俺は昼食の時間になると、自作の弁当を食べながらハヤッターを見ていた。ハヤッターを見ているとクラスメートの話が聞こえてきた。
「おいハヤッターみたか?!」
「おう見た見た!」
「やばいよね?!」
「……」
複数の男子生徒と女性生徒はものすごく盛り上がっている。内容はもちろん朝俺が投稿したハヤッターだ。
「おい真也、ハヤッターみたか?!」
「あ……えっと……うん」
「すごい盛り上がりだよな」
「う、うん本当に……ね」
俺は昼休みが終わるまで裕と話しながら返信してくれたイラストレーターの方々のイラストを見た。
「あ、やべ! 真也急ごうぜ。 特別芸術授業が始まっちゃう!」
「あ、そうだな」
俺は携帯の画面を消して、特別芸術授業を行うために美術室に向かい始めた。
「Runaさん……か。 頭にとどめておこう」
「なんか言ったか?」
「ん、いやなんでもない」
「んじゃ行こうぜ!」
「は~い……」
俺たちは美術室の机に座っていた。授業が始まるチャイムが鳴り響くと、美術の先生の後に一人の女性が入ってきた。遠目から見てもかなり整った顔立ちをしている。かわいいというよりは凛としているといった様子だ。
「えぇ皆さん今回の特別芸術授業はイラストレーターの方をお呼びして、皆さんにイラストを描いてもらおうとおもいます。 ではイラストレーターさん、自己紹介をお願いします」
先生にそう言われたイラストレーターさんは一言はいと答えた後、一歩前に出て話し始めた。
「皆さん初めまして。 本日お世話になります、イラストレーターの大代凛月と申します。 イラストレーターとしての活動名はRunaという名前で活動しています」
「……Runa? まさか」
「凛月先生ありがとうございます。 では授業を始めていこうと思います」
そして授業が始まった。授業は特に問題なく進んでいる。凛月さんは生徒それぞれのところに巡り、改善点やいい点の評価などを行っていた。そして俺のところにもやってきた。
「君は、たしか大姫君だっけ?」
「あ、はい」
「大姫君の絵は……」
「あの、凛月さん一ついいですか?」
俺の絵を見て批評をしようとした凛月さんに俺は話しかけた。
「はい、なんでしょう?」
「凛月さんはなんでイラストを描いているんですか?」
「そうですね……」
凛月さんは俺の質問に少し悩んだ後、答えだした。
「いろいろな人に私の世界を知ってほしいからですかね」
「私の世界を知ってほしい?」
「はい。 私は昔からよくいろいろな物を描いて、当時は親に見てもらって褒めてもらいました。 それが私にとってはすごくうれしくて……きっとそれの延長戦で、今もイラストを描いているんだと思います。 そして何より、イラストは見てくれる人と私をつなぐ架け橋のようなものだと思っているんです」
凛月先生は小さく微笑みながらそう話してくれた。
「架け橋……か」
「じゃあ大姫君のイラストなんだけど……」
凛月さんが俺の描いた絵を批評しようとした瞬間チャイムが鳴り響いた。凛月さんは少し残念そうな表情をしながら教卓のほうに戻っていた。