第四十話
ちょっと長いです
蛇ドラをラールが消滅させたことにより戦闘は終了、リザルトに移る。
「わ! すごいレベルが!」
「わ、私もです!」
戦闘が終了すると同時に、ルナさんとリラのレベルが急激に上がっていく。ルナさんは150に、リラに至っては今の戦闘一回だけで103まで上がっていく。
「この調子で行けば数回で二人とも300くらいまではいけるかな」
「えぇ、おそらくいけるかと」
俺とラールのランカー組はレベルが上がるわけもなく、入手した素材を流し見しながら話を続ける。
「まず問題は火力不足だよな」
「そうですね、火力は半分は本人のレベル依存とはいえ、もう半分は装備に依存すると言われてますし、新調をするのを視野に入れるべきかと」
「でも今から移動するのちょっとめんどくさいよな」
「トゥルーはもう使ってない装備などはあります?」
「短剣とかならあるけど……」
俺はインベントリの武器一覧を開く。正直にいえば装備は余っている。だが、装備はレベルとともに適切であるべきだ。武器に本人が使われている状況になってしまえば、本人のスキルも上がらないし、PKの対象になってしまう可能性だってある。
レベルに合わせた適切かつ、使っていない装備、となると意外と数が少ない。
「あっ、これなら……」
「どれですか?」
「これこれ」
俺は自分の装備の説明文をラールに見えるように公開する。ラールも慣れた手つきでざっと眺める。
「性能などはまずまず……と言ったところですかね。 ですがこの効果は腐ってしまうのでは?」
「それは問題ないよ……リラ! ちょっときて!」
俺はルナさんと話してたリラを手招きする。
「なんですか」
「これ、あげる。 レベルも上がったし、装備もアップグレードしないとね」
俺はそういいながらインベントリから一本の短剣を取り出して、リラに手渡す。それを受け取ると、リラは短剣を鞘から引き抜いた。
「これは……?」
リラは不思議そうに短剣を眺める。それもそのはず、短剣の刀身が赤黒いのだから。
「それは紅剣・試作っていうんだけど」
「変わった刀身の色ですね……初めて見ました」
「ちょっと変わった素材使ってるからね」
「そうなんですね、何使ってるんですか?」
「俺の血」
「え?」
「血」
「……は?」
リラが固まる。俺の横でラールが大きなため息をはきながら肩をすくめる。
「えっと、正確には俺の血液に含まれる鉄分を抽出して生成した鉄、血鉄を使って作られた武器なんだ」
まぁ、リラにあげたやつは名前の通り試作型であり、本命は別にあるがそれはいう必要はないだろう。
俺としても特に使うことも無いのであげてもいいのだが、リラにとってはそうもいかないのか、オロオロしている。
「あ、えっとその……こんなのをぼ、僕じゃなくて私がも、もらっても手に余るというかなんというか……」
「そう言われても俺も使わないし……それに、リラだから渡すんだよ。 武器の効果、読んでみて?」
武器の効果を読むように促す。
「えっと効果は……血液化? え?! これって?!」
リラも気づいたようだ。
「そう、それが血鉄の最大の特徴、刀身が血液化するんだ。 他の人がその効果を使っても、刀身が液体化するだけ。 でも俺とリラにとっては違う」
「……血液操作、ですか?」
そう、俺がリラにこの武器をあげた最大の理由、それが血液操作を有しているからだ。
「この剣の効果を発動すると、血液化する。 そして、血液操作を持つものはその刀身を自在に変形させることができる」
「だから私に……」
「そ!」
「ちょちょ、待ってください!」
俺とリラが話しているとラールが割り込んでくる。
「聞き間違いでなければ、リラさんが血液操作を使えると聞こえたのですけど……」
「うん、そうだよ。 ね、リラ?」
「あ、はい。 そうです、使えます。 もっとも、トゥルーさんほど上手く扱えませんけど」
そう言って右手を血液に変化させるリラ。その光景を見たラールがものすごい剣幕で俺の肩を取り押さえて、顔を近づける。その距離数センチほどだ。健全な男子高校生の俺は男の趣味は無いので、急に近づかれると反応に困る。
「詳しく! 説明をしてください!」
それからラールにリラのことを説明する時間が発生した。ルナさんはまた、空気になっていた。ごめん。
紅剣・試作
所有者:トゥルー → リラ
効果:血液化
概要:刃渡三十センチほどの短剣。血鉄を武装に使えるかの検証で作られた短剣。刀身が赤黒い点を除けばシンプルな作りで装飾品の類はない。一般のプレイヤーからすれば液状化系の効果と変わらないが、血液操作を有すプレイヤーがこの効果を発動させた時に限り、刀身の形を所有者の任意の形に変容させることができる




