第三十話
久しぶりの更新です
「じゃあ、遊ぼうか」
俺は翼を軽く動かす。それだけで俺はソロモンの目線の高さまで上昇する。そこで、ソロモンと目が合う。自分の有利を信じて疑ってないのか、鼻で笑っている……ように感じた。
「いつまで、その余裕を保っていられるかな?!」
「?!」
俺は目の前で全身を血液に変化させる。目の前から、突然俺が消えたことで動揺をあらわにするソロモン。俺はそのまま血液を操作して、ソロモンの両脚の腱の絡みつく。
「……?……?!」
突如、ソロモンの姿が沈む。それもそのはずだ。血液と化した俺は、そのまま纏わりついたソロモンの両脚の腱を鋭利に変化させた血液で斬り裂いた。
さすがのボスモンスターと言えど、人型であるが故に、脚の腱を斬られては立っていることはできなかったようだ。
俺は一度血液化を解除し、人型に戻る。そしてルーヴェインを肩にトントンと当てながら、ソロモンに聞かせるように呟く。
「予想通りってところか? その魔剣の発動方法」
イポスは持つだけで未来視が出来る、なんてチート武器ではなく、発動条件が必ずあると考えている。そして俺は刀身の瞳になにか意味があると、半ば確信に近い何かを持っていた。
「大方、その目に対象を何秒か映すとかだよな?」
そこまで予想がつけばあとはそう難しいことじゃない。
「てことはつまり……動き回ればいいってことだよなぁ?!」
ソロモンはマルバスの能力で傷を治癒し、立ち上がる。その瞳には俺に対するイラ立ちを感じさせる。あぁ、最高だ。
俺は再度自身を血液化させて、ソロモンの視界から姿を消す。同じ方法で地に伏せられたことを学んだソロモンは、即座に足元に目線を向ける。しかし、ソロモンの視線の先には、僅かな血溜まりだけが存在していた。
「引っかかってくれて助かるよ」
俺はソロモンの首の近くで血液化を解除、そのまま重力魔法をソロモンの頭の後ろから前に向けて発動させる。
「!」
ズゥゥン……という音と地響きを響かせながら、ソロモンは顔面から地に伏せる。
「おまけにこれをやるよっ!」
俺はMPを消費して、血液で俺と背丈が全く同じ人型を形成する。そして俺は、その血液を刀状に変化させ、倒れ込んでいるソロモンの背中に突き刺す。
「!!」
「踠け踠け〜」
起きあがろうと、踠くソロモン。しかし、俺は突き刺した血液の刀をソロモンの内部で格子状に変化させたため、動けば動くほど、ソロモンの内部からダメージが入っていく。
「ドタバタドタバタ、情けないねぇ」
俺は、未だ立ち上がれないソロモンの頭上で胡座をかきながらフヨフヨと宙を漂う。
「イテッ」
そんな事をしていると、俺の頭に小石が当たった。小石が当たった方向を見ると、鬼のような形相をしながら、魔法で砕いたと思われる小石を投げつけてくるサーラの姿があった。
「な、なんだよ……」
「さっきからドタバタさせすぎなのよ! 揺れてやりにくいったらありゃしないわ!」
「いや、バトならともかく、サーラ飛んでるんだし関係ないだろ?」
「的が! ブレるのよ!」
そう怒鳴るサーラ目掛けて、ソロモンが岩の槍を三本生み出し飛ばしてきた。その槍を、見向きもせずに上空で生み出した風の矢で中心を穿ち、地面に叩きつけて粉砕する。
「いいからもっと静かに戦いなさい!」
「今のを見せられて、その必要性ある……?」
「い! い!か! ら!」
「……はい」
俺は言い返すのを諦める。ソロモンの方に視線を戻すと、無理やり立ち上がったようで、胸の辺りが抉れている。ものによってはR18G指定の絵面だろ。
「!!」
「そうだよなぁ?! 治癒で傷が消えようとも、痛みは消えないもんなぁ?!」
「!!!!」
俺の言葉を理解しているのか、ブンブンと出鱈目に両手にもつ剣を振り回す。うまく力の乗っていない攻撃なんぞ、微塵も怖くない。俺はおちょくるように、敢えて振り回されている剣の周りを飛び回る。
「!!」
「あ? なんだぁ?」
ソロモンは剣を振り回すのを急にやめる。そして、その手に持つ魔剣、イポスを使用した。対象は、ソロモン自身だ。
「何をやって……うわっ!」
俺が訝しんでいると、横なぎにマルバスが振るわれる。それを寸前で回避し、カウンターでソロモンの目を目掛けて、血液を槍状にして放出する。自分で言うのもなんだが、確実に当たる確信があった。しかし、
「な?!」
まるで見えてるようにソロモンは顔を逸らすことで回避する。その後、イポスを突き出してくる。寸前の所で、俺はルーヴェインとシェニフェールを胸の前で交差させて突きを受ける。致命傷は避けたものの、勢いまでは殺しきれず、壁まで勢いよく吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた俺は、瓦礫をどかしながら立ち上がる。ソロモンは微動だにせず、俺の方を、ニヤつきながら見ているだけだ。
「そー言うことかよ……」
ソロモンは見たに違いない。攻撃を受ける自分の姿を。
「なるほどな……これはまた、倒しがいのありそうなことしてくれるじゃん?」
俺は機双剣を一度しまう。そして、全身を血液化させて、さらにMPをガンガン消費しながら血液を生成していく。十秒も経たないうちに、血液が俺の体から溢れ出していき、大きな血溜まりを生み出した。
「これ、疲れるからあんまやらないんだけど……せいぜい、耐えてよね?」
俺はその血液全てを操作し、ソロモンを覆い隠す。そして、その内側に、大小様々な刃を生成し、ソロモンを串刺しにした。
もう少しで今回のこのイベント戦も終わると思います。もう少しお待ちください




