第二十九話
こっちも更新です。
「さて、誰がどれをやる?」
アミーによって生み出された人型の炎と、モラクスによって極小な隕石のように空から降ってくる岩を各々の方法で回避しながら作戦会議を行う。
「俺が本体でいいか?」
そういうのは、握っている斧、【獣斧 喰い千切】で降ってくる岩を野球のように吹き飛ばし、迫り来る人型の炎に風穴を開けているバトだった。斧の使い方それでいいのかよ。
「俺はお前らより多数に対する戦闘が得意じゃないからな」
「まぁ、いいか。 サーナもいいよな?」
「えぇ、まぁいいわ」
「んじゃ、あとは二人で決めてくれ」
バトはそう言いながら手に持っていた斧をしまうと別の武器を取り出す。一見すると、なんの変哲もない斧だ。見た目だけで言えば、さっきの方が恐ろしい。だが、俺はあの斧の性能を知っている。
「オラァ!」
バトは持っている斧で岩を粉々に打ち砕く。打ち砕けば打ち砕くほど、斧を振る速さが上がっていく。
「サーナさん、俺あの斧嫌いなんですけど、どう思います?」
「奇遇ね、私もよ。 あと、あんたの敬語気持ち悪い」
「失敬な?!」
バトの持つ斧は【戦斧 矛盾】だ。効果は見てわかる通り、攻撃すればするほど、軽くなる。なのに、なぜか威力は軽くなればなるほど上がっていくのだ。物理法則を鼻で笑うような武器で、物理学科の人がいたらバチギレしてるだろう。
「んで、こっちはどうするのよ」
「俺はどっちでも」
「じゃあ、あんた未来視の方ね」
「あいよー。 死ぬなよ?」
「誰に言ってんのよそれ」
「生言ってすんませんした」
俺は肩をすくめた後に、地面を蹴って瞬時にイポスと見たことのない魔剣を持つソロモンに近づく。そのまま両手で持っていた機双剣を横薙ぎに振るう。
急に接近されたソロモンはガードができないと判断したのか、体を逸らし、俺の攻撃を避けようとした。
「見えてんだろ? 知ってるんだよ、バーカ」
「?!」
ソロモンが体を逸らしたと同じタイミングで俺は機双剣の刀身を伸ばす。伸びた刀身を避けきれず、ソロモンの胸の辺りにエックス型の傷ができる。
俺はそのまま重力魔法で体制の崩れたソロモンの体を吹き飛ばす。ソロモンは耐えきれず、その場に膝をつく。
俺はその姿を見下ろしながら、伸ばした機双剣を元に戻す。イベントように少しは弱体化されているとはいえ、強敵を見下ろすのは何度やっても気持ちがいい。気分が段々と昂揚してきた。
「ほら、立てよ。 もっと楽しもうぜ?」
「あの戦闘馬鹿、またやってるわ」
「はっはっはっ! いいことじゃないか!」
「あれされる方腹立つのよ! しかも決まってかてると思った時にしてくるから余計に」
遠くでバトとサーナがなんか言ってるが、一旦無視でいいか。一瞬だけ二人の方だけみた後に俺が視線を戻すと、ソロモンの傷がだんだんと塞がっていく。見たことない魔剣が薄い紫色に発光しながら、段々と傷は癒えていき、そして完全に塞がった。
「はぁ?!」
まじかよ。 もう一本の魔剣は回復できるのかよ。水色の刀身に大きな目がついている魔剣、イポスは過去に見たことがあり、その効果もおおよそ予測がついていた。そして、もう一本の見たことない魔剣の効果を発動しないから、それだけ警戒してたけど、まさかの治癒とかダンタリオン並みに嫌われるぞ。
「これは少し長引きそうだな」
立ち上がり、俺を見下ろすソロモンの方を見上げながら呟いた。ソロモンがニヤリと笑った……気がする。
「悪いが、見下ろされるのは趣味じゃねぇんだよ」
明けましておめでとうございます。こっちも少しづつ亀の歩幅程度に更新していくので月一とかにでも確認してくれると嬉しいです
武器紹介
獣斧喰い千切
所有者:バト
効果:斬りつけた対象に裂傷状態にする。数秒の間、切られた対象は僅かにHPを消費する
概要:斧の葉の部分が獣の大小様々な牙が集まっているような見た目から獣斧と名前がついた。
戦斧矛盾
所有者:バト
効果:攻撃をする、あるいは攻撃をされるほど軽くなっていく。そして軽くなればなるほど、威力が上がっていく。上限は有り。
概要:一見するとただの両手斧。しかし、刃の部分は威力が上がっても耐えられるように、硬度の高い金属が使われている。




