第二十三話
二章入ります。
俺がギルドを建ててから一ヶ月が過ぎた。いまだプレイヤー間では話のネタになっているらしい。なんでも最近は、どうやったら俺のギルドに入れるかの考察が盛んらしく、ネット上には入れる条件の考察動画や、俺あてのPR動画みたいなものが上がっている。
「ま、そんな魂胆見え見えの奴らは入れないけどなぁ」
「トゥルーさん、どうしたんですか?」
「あ、いえ大したことじゃないんで、とりあえずルナさんのクエストを進めちゃいましょう」
俺は横から襲ってくるモンスターを血液操作で生み出した針で滅多刺しにしながら歩いている。横にいるルナさんが少し引いている気がするが、きっと気のせいだろう。
「どうです? 終わりそうですか?」
俺はクエストを進めているルナさんに声をかけた。ルナさんはウィンドウを開き確認している。
「はい、終わりました。 トゥルーさん、ありがとうございます。 付き合ってもらっちゃって」
「まぁ、暇していたんで」
俺たちはくだらない話をしながら、ギルドハウスまで戻っていった。
「あら、遅かったじゃない」
「なんでいんだよ……」
ギルドハウスに戻ると、そこにはバルコニーで紅茶らしきものを飲みながらくつろいでいるサーナの姿が。いや、なんでいんだよ。確かに入れっるようにはしてるけど、ここお前の家じゃないんだが?
「お、お久しぶりです!」
「あら、ルナちゃん! 久しぶりね〜! どう? トゥルーになんかされてない?」
ルナさんの手を取りながら初手から失礼な事を言い出した。
「おい、吹っ飛ばすぞ」
「い、いえ! こちらこそ、お世話になってばっかりで……」
ルナさん、いい人だぜ、ほんと。サーナも見習ってほしいわ。
「こいつなんか好きにこき使えばいいのよ〜」
「お前なんかにこき使われた覚えはないけどな」
「こいつ、実力だけはあるんだから。 実力だ・け・は」
「お前より名声はあるわ」
俺はサーナのことを嘲笑う。サーナからイラついている雰囲気は感じているが、ここで止まるわけがない。
「何よ、さっきから横からヤジ飛ばしてきて」
「事実だろ」
「そんなにしつこいとモテないわよ?」
「サーナみたいなやつに好かれるぐらいならモテない方がマシだね」
「あら、私の魅力がわからないなんて、可哀想ね、トゥルー」
「うるせー、おばさん」
「まだ25よ!」
「俺、17」
「よーし、その喧嘩買うわ、後悔しなさい!」
「へっ、やだね!」
こうして俺とサーナの鬼ごっこが始まった。話の流れに乗れなかったルナさんがあわあわとしている。
「お、お二人とも落ち着いてくださ〜い!」
「今日こそはっ倒してやるわ!」
「やってみろよ、万年三位の聖霊女王様!」
「言ったわね?!」
俺たちはお互いに羽を出現させ、ギルドハウスの周りを高速で飛び回っている。ルナさんがアワアワし過ぎて電池式のおもちゃみたいな挙動をしている。
そんなこんなで、サーナとの鬼ごっこは十分ほど続いた。
「それで、なんできてたのさ」
「あぁ、それは次のイベントのことよ」
「お、詳細でたの?」
「えぇ、出たわよ。 今回のイベントはギルドランクが関わらないし、いつもみたいにやらないかと思って」
「次のイベントは、何日後?」
「来週の土曜日からよ」
「形式は?」
「俗に言うボスラッシュね。 レベル上限設定はない代わりに、パーティーの総レベルに応じてボスのレベルが上がるみたい」
「そこはいつも通りか」
「えぇ。 それでどうする?」
「やるよ。 でもサーナのとこのギルドメンバーはいいのか?」
「彼女らは彼女らでやるらしいのよ」
「やーい、余りもの」
「はいはい。 あと貴方は誰か呼びたい人とかいるの?」
「うーん、どうせあとバトはよぶだろ?」
「えぇ、そのつもりよ」
「正直、俺らいるだけでだいぶオーバーキルになるんだよなぁ」
「それはそうね」
「あ、あの……」
俺たちの会話を遮るようにルナさんが手をあげた。
「ん? どうしたのルナさん」
「その、次のイベントって……なんですか?」
俺はサーナと目顔を合わせてから、思い出した。
「そっか、まだ公開されてないのか」
「いつもこんな感じだから慣れちゃったわね」
「???」
ルナさんがはてなを浮かべている。俺はルナさんに向かって説明し出した。
「俺たちソロランカーは二つ名ともう一つ権限があるんだ」
「権限ですか?」
「そ。 運営と連絡が取れるようになるのよ」
「そうなんですか?!」
「ものにもよるけど、本来できないようなシステムを導入したりできるようになるのよ」
「俺の場合は、特定の申請をすることで、公式大会などにおける運営及び、プレイヤーの録画を不可能にする権限があるね」
情報が命のゲーマーにおいて、相手に公開する情報が制限できると言うのは大きなアドバンテージである。
「トゥルーの場合がそうなように、私の場合はイベントの早期告知を権限としてもらっているわ」
「なぜそんなことを?」
「私だって社会人だから、イベントに休みが合わなくて……ってことを避けたいからよ」
「なるほど」
「話はそれたけど、トゥルーどうする?」
「うーん」
俺は手をと胡座を組み、ふわふわと浮かびながら考えた。
「そうだ!」
俺は大きな声を出しながら、サーナの横に着地した。急に横にこられたサーナがビクッとした。
「びっくりしたわね?! 急に大きな声出さないでよ」
「ごめんごめん」
「それで、何を思いついたのよ」
俺はルナさんを指差しながら宣言した。
「ルナさんとリラに参加してもらおう!」




