第二十話
「あ、二人って来週の土曜日暇?」
「土曜日ですか?」
「うん」
「私は平気ですけど……ルナさんは?」
「私は……あ、特に今受けてる仕事の納期はまだ先なので平気です!」
「そっかよかった! 実はもう声かけちゃったから」
「声かけちゃった、とは?」
「来週の土曜日に、ギルドのお披露目会兼、記念パーティーをしようと思ってさ。 それでもう何人かの日程に合わせちゃったんだよね」
「それで」
「急でごめんね」
「いえ、平気ですよ」
「それでさ、二人も友人とか呼んでいいよ」
「え、いいんですか?」
「だって俺の知り合いだけだと寂しいじゃん」
「寂しいって……」
「かわいいですね」
リラとルナさんの視線が生暖かくなった。
「もう! 決めといてね! それじゃあ!」
「あ」
「逃げた」
俺は逃げるように、というか、逃げるためにDTIOを落ちた。
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そして日が過ぎていき、ついに土曜日となった。俺たちは先にゲーム内で落ち合っていた。
「お疲れ様」
「あ、お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です」
「二人とも何人か声かけてくれた?」
「はい、何人かフリーのイラストレーターの方や友人に」
「わ、私も何人か……」
「そっか、ありがとうね」
そう二人は話してくれた。俺はまだ読んだ人が来てないのを確認してからリラに声をかけた。
「なんかリラ、今日いつもよりよそよそしくない?」
「そ、そうですか?」
「うん。 なんか借りてきた猫みたいだよ」
「そ、それは……多分……」
「多分?」
「トゥルーさんの格好が、その……」
「あぁ、これか。 まぁ、慣れて」
「慣れて?!」
「うん、慣れて」
俺はいつもリラと会う時の服装ではなく、フル装備だ。着ている服も自分が持つ最高峰の性能を持つ服を着ている。それのせいかリラは緊張しているみたいだ。まぁ今後もきっとそういう機会はあるのでここで慣れてもらおう。
「あ、もしかして私が最初っすか?」
俺たちが話していると、門の前にアルフィストさんが来ていた。俺は門をあけてアルフィストさんを中に招き入れた。
「あー、アルフィストさん、お久しぶりです!」
「お、お、おお久しぶりっす! こ、これお祝いの品っす!」
「わー、ありがとうございます。 ほかの方がくるまでお待ちいただくんですけど平気ですか?」
「わ、私のことはお、お、お気になさらないでくださいっす!」
そういって、奥に歩いて行った。ルナさんは軽く会釈した後、アルフィストさんを追いかけていった。その十分後に二人が歩いてきた。
「おう、トゥルー、ここで会ってるか」
「なかなかいい建物買ったのね」
「おー。早いな二人とも」
現れたのはバトとサーナだった。二人とも今回は俺と同じく最高峰の装備を身に着けてきてくれている。
「お、そちらの二人は同じギルドメンバーの方か」
「そ、そうです!」
「は、はい!」
「俺はバトだ。 そうあまり緊張しないでくれ!」
「初めまして。 私はサーナよ。 よろしくね」
「は、はじめまして! ル、ルナと申します! 本日はお会いできて光栄です!」
「は、初めまして! リ、リラです! よ、よろしくお願いします!」
カチコチに緊張しているリラたちが頑張って話していると、さらに二人歩いてきた。
「やぁ、久しぶりだね。トゥルー」
「この度はおめでとうございます、トゥルーさん」
歩いてきたのはラールと、百七十ほどの背丈に凛とした和服のよく似合う、艶のある黒髪をポニーテールにしている美女、ソロランキング四位のカリンだ。
「おぉ、珍しいなその二人の組み合わせ」
「偶々会ったからさ、一緒に向かおうってなったのさ」
「あぁ、そうだこれ。 気持ちばかりにはなりますが、お祝いの品です」
「あぁ、ありがとう。 じゃあ先に入って待っててくれ。 バトとサーナもそれ以上二人をいじめないでくれ」
「すまんすまん、ではお先に失礼させてもらうとするか」
「待ってるわよトゥルー」
「早くいけって」
俺で追い払うしぐさをして四人を中に入れさせた。中に先に来ていたアルフィストさんには……うん、頑張ってもらおう。
そしてちらほらと何人かルナさんの読んだ友人やイラストレーターの方が来た。すごい勢いで黄色い声をあげられたが、一緒に写真やフレンド交換などを申し込まれないあたり、事前にルナさんが伝えてくれていたのだろう。
「お、来た来た」
その後、遠くから五人組が歩いてきた。
「よく来たな。 ラー、ネオット、キラ、ミューサ、日影」
「あ、トゥルー! おっ久!」
元気にそう返してきたのが、ラーだ。百六十五ほどの背丈に銀髪、褐色肌の青年だ。ちなみに彼はソロランキング五位だ。
「この度はお声がけくださりありがとうございます」
堅苦しい挨拶をしてきたのはネオットだ。スーツのような装備を着こなし、美しい銀髪と青い瞳が特徴的だ。そんな彼は、ソロランキング六位だ。
「どうも……今日は、よろしく」
少し暗めの彼は、背が百六十ほどで猫背気味、紫紺色の髪と瞳をした青年だ。身にまとう服から、死神を連想する人が多いだろう。それでも彼はソロランキング七位の実力者だ。
「どうも~おひさしぶりですね」
柔らかな声色でそう返事をしてきたのがミューサだ。百六十ほどの背丈に金髪と翡翠色の瞳をしているスタイル抜群の美女だ。おっとりとした雰囲気を纏う彼女だが、ソロランキング九位のまぎれもない強者だ。
「よ、よ、よろしくお願いします!」
「へへっ、ヨロっす!」
二つの返事が聞こえたのは彼、日影だ。彼は種族の特性上もう一人の自分がいる。そんな彼は百五十八ほどの小柄な少年だ。黒目黒髪と名前から分かる通り、彼は日本人だ。もちろん彼もソロランキング十位の猛者だ。
「おう、みんな今日は楽しんでくれよな!」
俺は五人が持ってきたお祝いの品を受け取りながら中に招き入れた。
「二人とも、大丈夫?」
「はぁ……はぁ……な、何とか……」
「ト、トゥルーさん、有名な方を呼びすぎです……」
「あー、うん、ごめん。 でも、みんな付き合い長いからさ」
今回声をかけたソロランカーの人たちはみな、βテスターの頃からの付き合いだ。なので、みんなが来れるように調整した。
「それで、二人の呼んだ人は全員きた?」
「私は来ましたよ」
「すみません、私の友人たちがまだ……」
そう申し訳なさそうにリラが言った。その瞬間十人ほどの人が来た。
「「あれ、あれ先頭にいるのって……?」
なんと先頭を歩いていたのは童子だった。
「よぉ童子。 子守なんて珍しいな。 がらじゃねぇぞ」
「うっせぇなぁ。 俺もわかってるよ。 ただまぁ、迷ってたみたいでほおっておけなくてよ」
「童子さん、ありがとうございました!」
「きにすんな。 んじゃ、またあとでなトゥルー」
「あぁまたな。 それで君たちがリラのご友人たちかな?」
「そうです!きょ、きょ、今日はお邪魔させていただきます!」
童子に代表してお礼を言った青年が、俺に代表して声をかけてきた。すごい目がキラキラしているのはご愛敬だろう。
「よく来たね。 俺はトゥルーだ。 今日は楽しんでいってくれ。 リラ、案内お願いしていい?」
「わかりました。 ほらみんな、こっち来て」
リラに連れられてリラの友人たちが屋敷のほうに歩いて行った。口々にすげぇーや、やば! みたいな声が聞こえてきてほほえましい気持ちになった。
「それで、君はどうするんだい?」
俺は物陰からこちらを見ている青年に声をかけた。数秒後、あきらめたように青年が出てきた。その青年は広場でリラに切れていた青年だ。
「俺は……」
「まぁ、呼ばれたんなら中に入って、仲直りしてきな」
「うわぁ?!」
俺は手を縄状に変化させて、その青年を縛り付けると、庭の方に投げ飛ばした。それを見ていたルナさんが若干引いていたが、気にしない気にしない。
「あちゃぁ……」
「あ、じゃあルナさんは先に戻っててください」
「トゥルーさんはどうするんですか?」
「あと一人、待ってるんで」
「分かりました」
「その人を迎え入れたら始めちゃいましょう。 あとから遅れてきた方はすぐに入れちゃっていいので」
「分かりました」
そういってルナさんは奥に向かっていった。ルナさんが見えなくなった後、俺は虚空に声をかけた。
「もう大丈夫ですよ」
俺が虚空に声をかけると、数秒後に空間が歪み、そこから黒いスーツに身にまとった黒いヤギの頭を持つ人が現れた。
「ご配慮いただきありがとうございます」
「いやいや、このぐらい。 にしても本当に来てくれるんですね」
「トゥルーさんの申請であれば、ね」
「今回は、なんて呼べばいいですか?」
俺は黒ヤギの獣人の方に向かって声をかけた。
「黒ヤギ、で構いませんよ」
「分かりました。 運営さん」
俺は黒ヤギさんを案内しながら、パーティーを始めるため、中に入っていった。
ソロランカーは今後、それぞれ絡みを書くのでその時に種族とかは書きます




