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第二話

 今から約二年前、世間にフルダイブ式VR機器【コネクト】が一般的に認知され始めたとき、あるゲームの発売予告が発表され、空前の大ブームを引き起こした。ゲームの名前は【Dive To Imaginary Online】通称DTIOと呼ばれるフルダイブ式VRの技術を最大限活用したVRMMOだ。


「すげぇ……」


 当時の俺は中学三年生だった。たまたまつけていたテレビの広告で流れてきたDTIOの紹介映像を見て、俺はその世界観に見惚れた。DTIOのキャッチコピーとして紹介された【飛び込もう。 思い描いてたもう一つの世界へ】のワードは当時の脳にこびりついたのを今でも鮮明に覚えている。それから俺は今まで興味のなかった【コネクト】を買ってもらい、DTIOのβテスターに応募した。運よくβテスターに選ばれた俺はDTIOに初めてログインしたとき直感で感じた。これはすごいと。









「ふわぁ……もう朝か…………学校の支度するか」


 俺、大姫真也(おおひめしんや)は携帯から鳴り響く目覚ましの音共にベッドから起き上がり、朝の身支度を始めた。三十分程かけて支度を終わらせた俺は、携帯で誰でも投稿のできるアプリ、【ハヤッター】を見ながら適当に菓子パンを頬張る。


「やべ、もう時間じゃん!」


 ハヤッターに夢中になっていた俺は、いつの間にか駅に向かわないといけない時間になり、急いで家を出た。


「行ってきます……まぁ一人暮らしだから意味ないんだけどな」


 俺は玄関の鍵を閉めた後、アパートを飛び出し、駅まで軽く走り出した。


 これが高校二年生の俺、大姫真也の日常だ。










「はぁはぁ……つ、ついた……」


 学校まで走りっぱなしだった俺は校門に着くころには呼吸は荒く、肩で息をしていた。


「おっす真也! なんだまた走ってきたのか?」


 俺が靴を履き替えていると、俺の後ろから一人の男子生徒が話しかけてきた。


「おぉ……はぁ、そうだよ裕……はぁ」

「どうせゲームして夜更かししてたんだろ」

「まぁ、それは……うん」

「ゲームもいいけど、ほどほどにしろよ?」

「ったく分かっているよ」


 俺に話しかけてきた男子生徒高山裕斗(たかやまゆうと)と話しながら俺は教室まで向かった。


「え~皆さんは誇りある芸華高等学園の生徒の一員であることを自覚し、より一層自分の夢に向かって努力をしてください。 それではこれで朝のHRを終わります」


 そういうと、先生は教室を出た。俺は席の近くに来た裕斗と話している。


「毎回毎回思うけど、誇りある芸華高等学園の誇りってなんだよ」

「ほら、うちの高校って卒業生にかなり有名なイラストレーターやアニメーター、果てには世界的なピアニストとかを輩出しているから、その人たちの後輩だっていう自覚を持てってことなんじゃない?」


 芸華高等学園は日本で最も芸術や芸能活動について力を入れている高校とされている。偏差値は普通より少し上程度だが、芸術界隈や芸能界では芸華高等学園の出身ということは一つのステータスとなっている。


「自覚もって言われてもねぇ……」

「まぁ確かにそうだな」

「まぁ今頃か」

「そうだな」


 そうして俺たちは教室に一限の担当先生が入ってきたので席に着き、授業を始めた。そして特に何もなく学校を終えた。










「ただいまっと」


 俺は家に着くと、制服を脱ぎ楽な格好に着替えると、すぐにベッドへと向かった。俺のベッドの横の小さな机には一つの機械が置かれている。


「さてと、今日もやりますか」


 俺は空調を入れ、ベッドに横たわると机に置かれている機械【コネクト】を頭に付けた。


「コネクトオン」


 俺は日常の中にある、非日常の世界に飛び込んだ。



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