第十一話
「終わりましたよ」
俺はシェニフェールとルーヴェインを鞘に戻しながら、後ろを振り向いた。そこにはまさに開いた口が塞がらないといった様子のルナさんとアルフィストさんがいた。
「い、一撃っすか……」
「これが、ソロランク一位の実力……」
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「あ! へ、平気です」
「ならいいんですが……それより、これでクエストは終わりました?」
「い、今確認します……あ、終わってます!」
「ならよかった。 では戻りましょうか」
「は、はい」
「りょ、了解っす」
俺たちは来た道を戻りだした。帰るときの話題は先ほどの俺の戦闘のことばっかりだった。
「じゃあ今日はありがとうございました」
「い、いえいえこちらこそ」
「今日一日最高だったっす!」
「それならよかったです。 あ、あとこれを」
俺はウィンドウを操作して、ルナさんに先ほど討伐したトレントロードたちの素材を渡した。自分のウィンドウに通知が届き、その通知を開いたルナさんは驚いた顔をした。
「い、いえいえ大丈夫ですよ!」
「俺は使わないんで、ぜひもらってください」
「で、では……」
受け取りを拒否しようとしたルナさんだったが、俺がいらない旨を話すと受け取ってくれた。
「ではこれで……」
「あ、待ってください」
「あ、はいなんでしょう?」
俺はその場を離れようとする二人にもう一度声をかけた。
「また会えるようにフレンドになりませんか?」
「い、いいんですか?」
「わ、私もっすか?!」
「もちろん」
「ル、ルナならまだわかるっすけど、私なんて偶々居合わせただけっすよ?!」
「まぁまぁ、これも何かの縁ですし」
俺は目の前にいる二人にフレンド申請のメッセージを送った。二人は困惑したり、遠慮しようとしたが、何とかフレンドになってくれた。
「ありがとうございました」
「こ、こちらこそフレンドになれて光栄です!」
「わ、私もほかのフレンドに自慢しまくるっす!」
「ほ、ほどほどでお願いします……」
「善処はするっす!」
俺たちの話が盛り上がっていると、辺りに威張りながら我が物顔で歩く集団が現れた。その集団は俺たち、というかルナさんを見つけると、オラついた様子でこちらに近づいてきて、その集団の中でも特に豪華な装備をしている男がルナさんに話しかけてきた。
「よぉ、元気かよルナ」
「リ、リクラースさん……何の用ですか。 ギルドの件は断ったはずですが……」
話しかけてきた男、リクラースの姿を見たルナさんはあからさまに嫌がっていた。俺は状況がよくわからなかったので、アルフィストさんに小声で話しかけた。
「あの、この人とはどんな関係なんですか?」
「あの人、リクラースって人なんですけど、ソロランクでルナに負けてから執拗に絡んで、ギルド勧誘やフレンド、果てには婚姻まで強要してる厄介人っす」
「なんとまぁ大人げない……」
婚姻とは、このゲームの特徴の一つで、一度だけプレイヤー同士が同意したときに成れる、現実でいうところの結婚と同じようなものだ。婚姻を結ぶと、相手との一部インベントリの共有化、相手の位置を常に表示などができる。
「まぁにしても、大人げぇなぁ……」
「あぁ、てめぇ今なんつった?!」
「あ、やべ。 聞かれてた……?」
「み、みたいっすね……」
「てめぇ今なんつったあぁん?!」
俺の独り言が聞こえていたらしく、リクラースは激おこ状態だった。俺は開き直って、自分の思ったことを素直に言うことにした。
「いやだって、相手に負けてからそんなに執拗に迫るって、はっきり言ってダサいっしょ」
「て、てめぇ……いい度胸だな……」
「俺ならそんな真似できないけどね」
「……」
「いったいどんな神経してるんだか」
「てめぇ……覚悟はできてるよな……?」
「ん?」
「てめぇ、決闘だ!」
開き直って煽っていたら、決闘を申し込まれちゃった。




